もう一度あなたと

もう一度あなたと

last update最終更新日 : 2025-08-29
作家:  美桜完了
言語: Japanese
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概要

現代

強いヒロイン

溺愛

幼なじみ

独占欲

一途

三角関係

幼馴染の夫は妹との子供を引き取り、2人の子として育てるよう言った。 10年彼女は双子の世話に追われ、その間冷たい夫からはほぼ無視をされ、子供たちからもいつの間にか嫌われて、最終的に棄てられた。 初恋に敗れ、身内に裏切られ、彼女は死ぬ間際この結婚を後悔した。 そして彼女は、過去へと戻ったことを知った。 愛していても報われないどころか殺されるなら、もう自分を偽るのはやめよう。 「君、変わったね」 「ぶりっ子はやめたの。悠一、別れましょう」 子供の頃、お転婆で自由な彼女に惹かれた気持ちを思い出し、彼は前世と違って彼女を囲い込もうとしてきた。 「雪乃、愛してるよ」 「ご冗談」 彼女は綺麗に微笑った。

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第1話

「死んじゃえ」

ゆっくりと閉じられていくドアの隙間から見えた息子の顔には嫌悪が浮かび、その口から信じられないような言葉が出て、青褪めた那須川雪乃(なすかわゆきの)は伸ばした腕を静かに下ろした。

冬の時季、誰も使わない別荘に忘れてきた大事なものを取りに行きたいとねだられ、父親に怒られたくないからと誰にも告げずに母子2人だけで訪れてみれば、建物裏にある物置小屋に閉じ込められた。

「陽斗(はると)!お願いっ、開けて!」

叫んでも、聞こえてきたのは遠ざかる子供の足音だけだった。

10年間我が子当然に大切に育ててきた息子の仕打ちに、雪乃はただ呆然と涙を流した。

どうしてっ…。

ちょうど1年くらい前、なぜか急に子供たちの彼女への態度が変わった。

夏休みを利用して、夫であり父親の那須川悠一(なすかわゆういち)の海外出張について行ったあの頃から、目に見えて冷たくなった。

「うるさい」「あっち行って」「僕(私)の物に勝手に触るな」

数え上げたらきりが無いほど数々の暴言を吐かれ、時には強く叩かれたりもした。

雪乃はなんとなくその理由を察してはいたが、それでも10年という絆を信じていた。

はぁ…。ママ、ママって、あんなに可愛かったのになぁ…。

ドアを叩きすぎて手は腫れ、叫びすぎて声が枯れ、毛布一枚ない粗末な小屋の寒さに体力も奪われ、とうとう雪乃は床に倒れ込んだ。

悠一…。

雪乃は夫の姿を思い描き、その冷たい表情とまるで熱のない口調を思い出して微かに嘲笑った。

こんな結婚、しなきゃよかった…。

そう後悔しながら、彼女の意識は徐々に暗闇へと沈んでいった…。

そしてー

「ーき乃っ、雪乃!」

小声ではあるがそのきつい口調に、藤堂雪乃(とうどうゆきの)はハッ…と意識を覚醒させた。

なに…。何なの、これ…?

ザワザワとした喧騒と静かなBGMが彼女の耳に触り、それと同時に目の前に立つ男を見て、雪乃は反射的に一歩後退った。

周りを見回すと着飾った家族が心配そうに自分を見ていて、雪乃はここがどこで、今何をしているのか理解した。

ただ、理解したからといって到底信じられることではなく、彼女の唇は微かに震えた。

「藤堂雪乃っ、早くしろっ」

「……」

そう急かされて、彼女は向かい合って立つ2人の横に困ったような顔で微笑う神父さまを見た。

指輪交換、ね…。

あぁ~、なんで誓っちゃったかなぁ…。

できれば永遠の愛を誓う前、できればこの結婚式の前に覚醒めたかった……。

あからさまにガッカリと肩を落とす花嫁に、新郎の那須川悠一は苛立った。

「早く手を出せ!」

はぁ〜。仕方ない…。

ため息をついた雪乃は左手をだらんと前に出した。

悠一はそれを掴んで、そのほっそりとした薬指にぎゅっと無理矢理指輪をはめ込んだ。

それから「んっ」と自らの手も新婦に向かって差し出し、嫌そうな表情をする彼女に早くしろと言わんばかりに、また改めて「ん!」と突き出した。

雪乃は本当にしぶしぶ…という感じで悠一に指輪をはめたが、その時突然、彼女の胸に後悔の波が押し寄せて来た。

「ったく…指輪の交換くらいで、何をそんなにもったいぶってんだか…っ」

悠一の文句を聞きながら、雪乃は呟いた。

「やだ…」

「は?なんだって?」

「やだって言ったの!」

そう叫んで、雪乃は徐ろに薬指にはまった結婚指輪を外そうとしだした。

「おい!」

悠一は慌てて彼女の手を掴み、サッと神父の方を見た。

「おいっ、さっさと宣誓しろ!」

「やだやだやだやだ!神様お願いぃーっ。こんなの認めないで!」

「雪乃!!」

この急なドタバタで結婚式はめちゃくちゃだった。

でも雪乃の必死な抵抗も懇願も虚しく、2人の婚姻は一応成立したのだった。

控室にてー

「どういうことなんだ!?」

那須川悠一は目の前のテーブルをバンッ!と叩いた。

「お前は結婚をなんだと思ってんだ!?遊びじゃないんだぞ!」

そう怒鳴っても、ウェディングドレスを脱いだ藤堂雪乃は平気そうに、その唇を尖らせてぶつくさ文句を言った。

「だって、いやだったのよ」

「なに!?」

ふんっとそっぽを向く雪乃に、悠一は怒りで目眩がしそうだった。

自分との結婚が嫌だった?なにを言ってるんだ、この女は!

イライラと歯軋りし、悠一はドカッと椅子に座った。

ふふっ

そんな時、場違いに響いた微笑い声にギロリと視線を向けた。

「なにが可笑しいんですか、母さん?」

「だって…」

答えながらも、彼女は笑いが止まらないようで、ふふふっと目を細めていた。

「母さんっ」

「ごめんなさい?だって、昔の雪乃さんを思い出しちゃって…っ」

「……」

悠一は黙って一つ息をついた。

「おばさま…」

雪乃は恥ずかしそうに頬を染め、ちらりと悠一の方を見た。

確かに、今『完璧な令嬢』と世間で言われている藤堂雪乃は、かつて子供の頃それとは程遠いお転婆な女の子だった。

両家の祖母同士が姉妹ということもあって昔から付き合いがあり、雪乃と悠一も幼い頃から顔見知りだった。

再従兄妹という間柄、割と頻繁に顔を合わせてはいたが男女だったからか、単に性格上か、そこまで親しくしてはいなかった。

悠一は那須川家唯一の後継者として小さい頃から厳しく育てられていたし、友人として付き合う相手も好きに選べる状況ではなかった。

それに比べて藤堂家は比較的自由な家風で、令嬢としての教育も最低限恥をかかない程度、という感じだった。

初めて会った時、悠一は大人たちが食事を楽しんでいるその横で静かに本を読んでいて、その姿は子供とは思えない落ち着き払ったものだった。

一方、雪乃は3歳下の春奈(はるな)と手を繋ぎ、那須川家の広大な庭を散歩中迷子になっていた。

不安で泣き出した妹を慰めながら歩く姿を窓から見た悠一が、執事に声をかけ、迎えに行かせたのだった。

あちこち歩き廻ったのだろう…うっすらと汗をかき、乱れた髪の毛に葉っぱを付けて「ありがとう」とはにかんだ笑顔にドキンと胸が鳴ったことを憶えていた。

悠一は目の前で柔らかそうな頬を膨らませ、拗ねているようにそっぽを向く雪乃を見て、確かに子供の頃を思い出すな…と微かに微笑った。

それを横目で見た雪乃が「なによ?」と言うのに、「いや…」と目元を緩めた。

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