LOGIN親友の吉永優花(よしなが ゆうか)は婚約パーティーで婚約者の浮気現場を目撃した。 しかし、その婚約者は謝罪することもなく、大勢の前で嘲笑した。 「俺以外の誰がお前なんて受け入れると思う?」 優花は立っていられないほどにふらつき、大泣きしていた。 私はその瞬間カッとなり、彼氏の佐伯蒼大(さえき そうた)の手を引いて、優花の手と握らせた。 「優花を誰も受け入れないって? 優花、たった今から、この人があなたの彼氏よ」 その言葉に蒼大は驚いていた。 そしてすぐ、彼はスーツの上着を脱いで優花の肩にかけ、大勢が見守る中、優花の手を引いたまま会場を出ていった。 その日の夜、私たち三人は一緒にお酒を飲み、今回だけだからと、笑い合った。 しかし、それからというもの優花の元婚約者は頻繁に付きまとってくるようになった。 蒼大は彼氏のふりをして、優花が仕事帰りに迎えに行って、家に送り届け、彼女の両親とのやり取りも多くなってきた。 私は一度たりとも二人のことを疑ったことはなかった。 あるSNSの投稿を見てしまうまでは…… 【浮気した元婚約者に仕返ししてやるために、親友の彼氏を借りたんだけど、本気になっちゃった。返したくないわ、どうしよう】 その投稿者は親友自ら彼氏を自分に貸してくれたのだと言っていた。 初めて手を繋いだのは演技のため…… 初めて抱き合ったのも同じ理由で…… そして初めて彼女の家で一夜を過ごした時は、本気だった。 コメント欄には恩を仇で返すひどい女だと多くの罵るコメントが寄せられていた。 優花はそのコメントに返信した。 【彼はね、あの夜そういう関係になってしまったんだから、絶対に責任をとるって言っているの】 この時、私はリビングで三人一緒に撮った写真を見つめ、全身から血の気が引いていった。 私はただ、あの婚約パーティーで優花のプライドのために、彼氏を貸しただけだ。 たった一晩だけ恋人のふりをするはずだったというのに、まさかそのまま本物の恋人へと変わってしまうなんて……
View More結婚式の一週間前、優花が会いにきた。彼女は3年前と比べると、だいぶやつれていた。彼女の左薬指には、蒼大が彼女のためにオーダーメイドした指輪もなかった。彼女は私の目の前に座り、ずっと黙っていた。「いい気味って、思ってるんでしょ?蒼大は私と結婚しなかった。私は、仕事も友達もなくしてしまった。周りはみんな、私が恩を仇で返すクソ女だって罵るの」私は彼女をじっと見つめた。「それは私があなたにそうさせたわけじゃなくて、あなた自身が選んだことでしょう」その瞬間、優花の目は真っ赤になった。「でも、もしあのパーティーで、あんたが彼の手を私に繋がなければ、全てのことは起こらなかったのよ」今になっても、この女は全て私が悪いと思っているらしい。私は小さな声で尋ねた。「彼にはあなたと演技をするようにって言ったのよ。それが、私のパジャマを着て私のベッドで寝ていいって言った?私が挙げる予定だった結婚式も?あなたね、私があなたにチャンスをあげたから、裏切ったんじゃないの。自分を納得させられる言い訳をあなたはずっと待っているだけでしょ」優花はわなわなと唇を震わせていた。暫くして、やっと彼女は俯いた。「ごめんなさい。あの時、元婚約者に裏切られたばかりだったし、蒼大もずっと私を守ってくれたから。あの時の私は、ただ、また誰かに捨てられるのが怖かったの」私はその言葉を受け入れることもなく、拒絶もしなかった。ただ、立ち上がって彼女に教えてやった。「誰かに裏切られたからといって、私を傷つけていい理由にはならないわ。あなたこそ、一番裏切られた時の苦しみを知っているでしょ。それなのに、その同じ苦しみを私に味わわせたのよ」優花は泣きながら尋ねた。「私たち、昔のように戻れないの?」私は首を横に振った。「無理ね。あなたを憎むことはなくなっても、もう二度と信じることはできない。結婚式当日、海斗は先に私と結婚手続きに行った。その後、真剣に約束してくれた。「今後は、大切な物は全部君が保管しておいてね」結婚式が始まる前、私は知らない番号からショートメッセージを受け取った。そこにはこう書いてあった。【どうか、お幸せに】差出人の名前もない。でも、私にはそれが誰から送られてきた
三年間の業務を終え、私が担当したプロジェクトが業界でトップの成績を収めた。その祝賀パーティーが昔いた都市で開かれることになった。私は帰りたくなどなかった。しかし、海斗がこう言ってくれた。「これは緑川さんの3年の成果なんだ。あんな価値のない奴のために、輝かしい晴れ舞台まで捨ててしまうつもり?」そして私は最後、あの街に戻る飛行機に乗った。会場から出てきた時、蒼大が外で待っていた。3年会ってなかっただけで、彼はかなり痩せてしまっていた。彼の表情からは以前のような意気揚々としたパワーが感じられない。彼の手には、あの新居の鍵が握られていた。「柚乃。家はリフォームしたんだ。全部、君が好きだった家具とレイアウトに変えたよ。あの女は暮らしたことがないよ」私は彼を見つめて言った。「だから?」彼は少し涙をにじませた。「あれから3年、俺は他の女とは誰とも一緒にいなかったよ。あの女も、もうこの街から去っていった。今さら、何を言っても遅いってことは分かってる。だけど、俺にチャンスをくれないだろうか?」私は暫く黙っていた。「ねえ、あなたは私が一番つらいことはなんだと思う?」彼は俯いた。「俺が君を裏切ったことだ」私は首を横に振って否定した。「ただあの夜裏切られたことじゃない。私がいくら強くても、そんなことされたら辛くないはずがないことを分かったうえで、毎回すべての責任を知らん顔して私に負わせたことよ」婚約パーティーで、彼が私を彼女だと説明したってよかった。しかし、彼は私が元彼につきまとっているストーカーにさせることを選んだ。5周年記念日のあの夜、彼はレストランに戻ってきたってよかった。でも、彼は結局優花と寝室で共にすることを選んだ。あの結婚式会場を借りた時だって、彼は拒否することもできた。だけど、彼は私の目の前で指輪をあの女の手にはめた。ネットのみんなから総攻撃された時だって、彼は真実を伝えることはできた。それでもやっぱり彼は自分の手で私たちの5年の記録を消し、私に優花に謝罪するよう迫った。「あなたが犯したのは一度の過ちではないわ。何度も選択する機会はあったのに、いつも私選ばなかった」その時、蒼大の目からやっと涙がこぼれ落ちた。「俺、あの
記者会見が終わると、優花はまたあの家に引っ越してきた。彼女は指輪を蒼大の目の前に突き出した。「私に責任をとるって言ったよね。今みんな、私たちの関係を知ってるわよ。どうして結婚してくれないの?」蒼大は彼女を見つめた。「責任を持つことは、別にお前を愛することじゃない」優花は突然笑いだした。「私を愛していないって?だったらどうして、毎回あの女をほったらかしにして、私に会いに来てたの?どうして助手席に私を座らせて、寝室まで使わせたのよ?どうしてあれは彼女のために用意した結婚式の会場だと知りながら、私の両親の前でプロポーズしたわけ?ねえ、あなたは私が助けを求めるたびに、いつだって私を選んできたじゃない。彼女は今あなたのことはいらないって言ってるの。それなのに、全ての責任を私に押し付けるつもり?」蒼大は一言も発することができなかった。それは優花の言葉は間違っていないからだ。彼女は確かに私を裏切った。でも、毎回優花を選んだのは、全て蒼大、彼自身だ。すぐに、警察が脅迫メールの出所を突き止めた。優花はそれを元婚約者が殺すと脅してきたと主張していたが、大部分は自分が他の電話番号から自分に送ったものだった。その電話番号の契約者の住所は、まさに彼女自身の家だった。蒼大は家にある監視カメラを起動した。あの5周年記念日の夜、優花が言っていた「元婚約者が外にいる」と言っていたのは全くの嘘だった。電話をかけている時、彼女はまさにあのパジャマを着て、寝室にいたのだ。テーブルにはワインを置いていた。浴槽には熱いお湯も溜めていた。私が蒼大からもらうはずだった5周年記念のプレゼントは、彼女はすでに開けて身につけていた。優花は恐怖で蒼大に電話をして呼び出したのではなかった。彼女は私たちにとってもっとも大切な日に、彼が私を捨てて自分のところに駆けつけるのか確認したかっただけだ。蒼大は監視カメラの映像を停止させた。画面には、優花が私と彼のベッドに座って、静かに彼の帰りを待つ様子が映っていた。「どうして?」優花はもう隠すことなく本性を見せた。「だって、あなたがあの夜彼女にプロポーズするって分かってたから。あの日、あなたを呼び戻してなかったら、あなた達はあの寝室に戻ってきたはずよ。
私はあの街を離れれば、全てが終わると思っていた。しかし、あのライブ配信の影響がすぐに北関市にまで及んだ。私があのネットで「曖昧な態度で男を騙し、親友の悪い噂を流した」と言われている狂った女であることに気づく人が出てきた。そして盗撮された動画が仕事グループに送られてきた。するとそれを知った提携先が婉曲に、責任者を変えてほしいと伝えたきた。海斗は、多くの意見がまとめられた報告書を私の前にさし出した。「チームで、君に代わって事態を収拾しようか」私は首を横に振った。「いえ、自分でどうにかします」以前、説明しなかったのは、私があの男のもとから去ると決めていたからだ。しかし、今、ネットで広がった噂が、私の仕事に影響を及ぼし始めた。だから、これ以上彼らに代わって悪役を続けることはできない。私は全ての証拠をまとめた。私と蒼大の5年間に及んだ恋愛の記録。婚約パーティー当日に起きた一部始終がおさまった映像。優花がSNSに投稿した内容とその返事。5周年記念に予約したレストランの予約確認メール。結婚式場を予約した時の本当の花嫁の名前。それから、蒼大が多くの人を引き連れて、私に声明文を読むように迫った時の、会議室でした実際の会話の録音。その録音の中で、優花が泣きながらこう言った。「これ以上、私のために柚乃に背負わすことはできないわ」しかし、蒼大はこう言った。「お前は優花より強いだろ。言い終われば、それで全部終わるんだから」私は説明のために長ったらしい文は書かなかった。たったの二行。【謝罪は強制された偽物。彼と別れたのは事実】証拠をネットにアップしてから30分も経たずに、ネットの意見は完全に逆転した。優花の元のSNSの投稿も誰かの手によって流出した。彼女は自ら親友の彼氏と関係を持ったことを認めた。しかも、本気になったから、返したくないと。蒼大は私のSNSから5年間の恋愛記録を削除させたが、ネット民がそれを復活させた。そしてみんなが事実を知ることになった。私はもう元彼に執着してつきまとう狂った女ではなくなった。私はあの裏切り者たちを守るために、相手に脅迫されて「すでに別れたと」認めなければならない被害者なのだ。優花は私に電話をかけてきた。彼女は大泣き