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インターンの食べ残しで婚約破棄
切ない恋
逆転
ひいき/自己中
NJマスター
私、有栖川朔乃(ありすがわ さくの)は、社内の会食で目を疑った。 インターンの白石風香(しらいし ふうか)が、一口かじったアワビを、そのまま私の婚約者、稲富竜也(いなとみ たつや)の取り皿に入れたのだ。 竜也は少しもためらわず、それを箸でつまんで口に運んだ。 その夜、私は両家で進めていた縁談の書類を細かく破り、ごみ箱へ捨てた。 竜也は眼鏡を外し、眉間にしわを寄せた。 「アワビ一切れで、そこまでするのか?」 「彼女が食べかけたものを、あなたは平気で食べたのよ」 竜也は顔を上げ、薄く笑った。 「朔乃、お前がそこまで面倒な女だとは思わなかった。 わかった。そこまで言うなら、結婚はなしでいい。ただし、あとで泣きついてくるなよ」 彼は、私がまた以前のように自分へすがると信じていた。 けれど私は笑った。 「わかった。その言葉、忘れないでね」
15
夫と息子が憎む私はもう死んだ
システム
切ない恋
ひいき/自己中
福満
西村慎吾(にしむら しんご)と結婚して8年目。西村柚(にしむら ゆず)は、無人島で「システム」からの攻略ミッションの誘いを受け入れた。 「本当にいいんですね? ご主人と息子さんをあれほど愛しているのに、このミッションを引き受ければ、新しい体と身分に切り替わります。二度と彼らとは関われませんし、別の男性と恋に落ち、結婚することになりますよ?」 柚は俯き、手にした写真を見つめる。 そこには慎吾と我が子、そして大野蛍(おおの ほたる)の姿があり、3人はまるで本当の家族のように寄り添っていた。 結婚して8年、結婚式すら挙げていない。 それ以上に、1枚の家族写真すらなかった。 慎吾と我が子は好みまでそっくりで、蛍のことは溺愛しているくせに、柚のことだけはひどく嫌っていた。 柚は涙を拭い、写真を引き裂く。「決めた……」 システムが淡々と告げる。「承知いたしました。では、7日後に攻略ミッションを開始します」
6
554
晴れゆく霧のように、静かに去る
切ない恋
ひいき/自己中
不倫
怠け王様
塚崎雅史(つかさき まさし)が囲っている大勢の愛人の中で、私は一番のんびりとした存在だ。 他の女たちは必死に彼の夜の相手を務め、彼を離さないように頑張っている。 だけど私はすっかり開き直り、彼が買い与えてくれた大きな屋敷で、食べて飲んで、遊びながら暮らしている。 雅史が新しい女を囲うたびに、他の女たちは危機感に襲われ、たまらなく不安になる。 それでも私は相変わらず、気にも留めない。 彼が婚約するという噂が流れた時でさえ。 私は少しも気にせず、ただ微笑んで言った。 「それなら、彼の結婚を祝ってあげようよ。末永くお幸せに、ってね」 だけど、誰も知らない。かつて私がどれほど雅史を愛していたかを。 すべてを投げ打ってもいいと思えるほど愛し、彼が何も持たなかった頃から、成功を収めるまでずっと寄り添ってきた。 でも、記憶の中にいるあの明るくてまっすぐだった男の子は、とうとう変わってしまった。 だから私は、雅史に別れを告げた。 彼はかすかに眉をひそめ、なだめるような低い声で言った。 「大人しくしてくれ。わがままを言うな。 一ノ瀬家の令嬢との政略結婚は、あくまで仮の姿だ。しばらくの間、我慢してくれ」 私はもう、十分に我慢してきた。 名分もない日陰の身のままで、彼の愛人でいることも。 彼の周りに絶えない女たちの影も。 他の女と結婚することさえも、耐えてきた。 今回ばかりは、もう疲れ果ててしまった。 そして、本当に去る時が来たのだ。
5
488
記憶を消した私と北の暖かな光
逆転
執着
ひいき/自己中
みやこじるし
辛い記憶を消すための通電療法・MECTの処置室で、月城影(つきしろ えい)のそばには誰もいなかった。 心から愛する婚約者、神崎蒼真(かんざき そうま)の姿すらない。 医師によって筋弛緩薬が投与され、意識が薄れていく中、影はあの日の夕暮れをぼんやりと回想していた。 三時間も並んで買ったケーキを手に、蒼真を驚かせようと帰宅した彼女が目にしたのは、彼と妹の月城結愛(つきしろ ゆあ)が唇を重ねている光景だった。 二人はきつく抱き合い、互いを貪るように口づけを交わしていた。 手から滑り落ちたケーキが床で無惨に潰れる。影は蒼真の頬を力任せに張り飛ばした。だがその直後、結愛の手によって階段から突き落とされた。 階段を転げ落ちていく最中、影の胸の内にあったのは、どこか「やっぱり」という奇妙な納得感だった。 影の周りにいる人間は皆、最終的には結愛に奪われていくのだ。
15
愛した日々は、もう戻らない
妻を取り戻す修羅場
しっかり者
クズ男
逃げる揚げパン
娘の一歳の誕生日。初めての選び取りだった。 夫の佐倉湊(さくら みなと)が用意した箱から、娘は女性ものの下着を取り出した。 その場が凍りつく中、葉山奈々(はやま なな)だけが「あっ」と声を上げ、両指を小さく合わせて子猫のような表情で私に謝る。 「ごめんごめん。この前、湊とふざけて交換した時のやつ、持って帰るの忘れちゃった……紗耶さん、気にしないでね」 せっかくの誕生日祝いを台無しにしたくなくて、私は何事もなかったかのように必死にこらえた。 気を取り直して、二度目の選び取り。 今度は、娘の手が厚みのある封筒に伸びた。 親族からのお祝いだろうと思い、ろくに中身も確認せずに受け取る。 すると、奈々がぷっと吹き出した。 「紗耶さんってば、がめつすぎない?中身も見ずに受け取るなんてさ。まさか、お祝い金でも入ってると思った?」 奈々はその封筒から一枚の書類を引き抜き、私のほうへバサッと投げてよこした。 ばらばらと床に落ちた紙を見て、ようやく気づく。 娘が選び取ったのは、私と湊の離婚届だった。 私は呆然と湊を見つめた。 「あなた……私と離婚したかったの?」 湊は一瞬、言葉に詰まった。けれどすぐに奈々を庇うように前へ出る。 「紗耶、違う。ただの冗談だって。真に受けるなよ。奈々の悪ふざけだ」 その背後から、奈々がひょっこり顔を出した。 「悪ふざけ?湊、まさか今さら弱気になってるの?」 祝いの席は水を打ったように静まり返り、客たちの視線が一斉に私へ向けられた。 長い沈黙の末、私は泣きも騒ぎもしなかった。皆が固唾をのんで見守る中、ペンを取り、離婚届の署名欄に「紀野紗耶(きの さや)」と迷いなく書き込んだ。 「分かったわ。離婚する」 娘が選んだものは、笑って受け止めるつもりでいた。 それが、たとえ離婚届だったとしても。
20
13年愛したクズ男の末路
逆転
ひいき/自己中
不倫
NJマスター
私、秋元莉葉(あきもと りは)と長谷悠河(はせ ゆうが)は学生時代から付き合っている、お互いにとって初恋の相手だ。二人で必死に支え合い、苦楽を共にしながら、どん底の地下アパートからペントハウスへと這い上がってきた。 しかし会社が上場を果たしたその日、彼は自分の若いアシスタントを傍らに引き寄せてみせた。 「これまで数々の困難を共に乗り越えてきてくれたのは萌彩だ。だから今日、会社の株式の半分を彼女に譲渡しようと思う」 森下萌彩(もりした もあ)も一切躊躇うことなく振り返り、集まった大勢のメディアの目の前で悠河と熱いキスを交わした。 その場にいた誰もが、この若き「夫婦」の姿に感動し、涙を流していた。 私はヒステリックに問い詰めることもなく、首から下げていた社員番号「01」のIDカードを静かに外し、そのまま背を向けて立ち去った。 この十三年という歳月が、私に「諦める」ことを教えてくれたのだ。
19
試す彼女、99回目で御曹司に捨てられる
男性視点
夫を取り戻す修羅場
御曹司
はなまる日和
一ノ瀬澄佳(いちのせ すみか)は昔から、人を試すのが好きだった。 大学を出たばかりの俺に、一億の住宅ローンを背負わせようとしたのも、その一つだ。 俺が断ると、澄佳はすぐに、大学時代から人気者だった藤森雅彦(ふじもり まさひこ)へ、一億を超える豪邸を一括で買い与えた。 そして豪邸の権利書を手に、俺へ告げた。 「謹也、実は私、お金に困ってなんていなかったの。貧しいふりをしていたのは、あなたを試すためよ。 でも残念ね。あなたは不合格だったよ。もう、終わりにしましょう」 俺――遠野謹也(とおの きんや)は、ただ笑って背を向けた。 奇遇だな。 俺も国内一の資産家の息子で、貧しいふりをしていただけだ。 四年後、俺たちは富豪ランキングサミットで再会した。 その時の澄佳は、富豪ランキングの五十位以内に食い込んだばかりで、雅彦と腕を組んで会場へ入ってきた。 彼女は、ブランド物に見えない地味な服を着た俺が、カイエンのキーを手にしたまま子供を抱いてあやしているのを見て、どこかの家の運転手だと決めつけたらしい。 そして、嘲るように笑った。 「謹也、私に会うためにここまで来たの?ずいぶん必死なのね。 でも、もう無理よ。私は富豪ランキングに名を連ねる側で、あなたは人に雇われる側。今さら私に手が届くと思わないで」 俺は相手にしなかった。 ただ、親父にどうしても顔を出せとうるさく言われて来たことだけが、ひたすら恨めしい。 せっかく空けた、息子と過ごすための一日が、こんな場所で潰れてしまったのだから。
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奪われた光と命懸けの贖罪
婚姻生活
妻を取り戻す修羅場
ひいき/自己中
涼木
私、神谷天梨(かみや あまり)に深く傷つけられた恋人の深山律希(みやま りつき)が、海外へ留学して八年。彼がようやく新しい彼女を連れて、実家へ戻ってきた。 そして同じ頃、私もまた、八年間にわたるがん闘病の末に病院から治療のすべはないと宣告され、自宅に帰って死を待つだけの身となっていた。 母の神谷志保(かみや しほ)に支えられながら車椅子に座る私を見て、律希は口元に嘲笑を浮かべた。 「へえ、八年ぶりだな。ずいぶんと惨めな暮らしをしてるみたいじゃないか。歩くことすらできなくなったのかよ」 その嫌悪に満ちた声を耳にしながら、私はただ静かにダウンジャケットの袖を引っ張り、手の甲に残る無数の注射痕をそっと隠した。 「平気よ。歩いていて転んで、骨折しちゃっただけだから」 律希は再びふっと嘲笑った。 「それならちょうどいい。俺、もうすぐ結婚するんだ。お前、俺の婚約者のブライズメイドでもやってくれよ」 私は相変わらず、ただ静かに微笑んだ。 「やめておくわ。私、もうすぐ遠いところへ行かなくちゃいけないから」 そう言って母の手の甲を軽く叩き、早く車椅子を押して家に帰るよう合図した。
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決して手の届かないあの人への恋
ドロドロ展開
逆転
ひいき/自己中
エイスース
15歳の時、白石紬(しらいし つむぎ)は、姉の白石澪(しらいし みお)が近所の九条航(くじょう わたる)を壁際に追い詰めてキスしているのを見た。航の背筋はピンと伸びて、耳まで真っ赤になっていたが、拒んだりはしなかった。 18歳の時、紬は、澪と航が手を繋いで両親に挨拶をし、結婚の相談をしにくるのを見ていた。 20歳の時、紬は、澪が留学という貴重なチャンスを手にするために、結婚式の前日に逃げ出したのを知った。 その時、紬は路地の入り口まで追いかけ、澪の後ろ姿に向かって震える声で叫んだ。「お姉ちゃん!彼と別れるなら……私がもらってもいい?」 澪は一瞬足を止めると、振り返りもせず、適当に手を振った。「いいよ、あげる」 こうして、両家の面目のため、自分自身の誰にも言えない秘密の気持ちのために、紬は自分のものではないウェディングドレスを着て、ブライダルカーに乗り込んで、航の花嫁になった。
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