初恋を忘れられないあなたへ、継母なんてもうごめん
名門の令嬢・高瀬彩乃(たかせ あやの)は、一族の猛反対を押し切り、勘当されてもなお、未婚ながら子ども二人を抱え、事業も傾いた水野蒼司(みずの そうじ)との結婚を選んだ。
結婚して六年――彩乃は二人の子どもをわが子のように育て、夫を支えて事業を軌道に乗せた。
子どもたちは素直で聡明な子に育ち、蒼司の会社も見事に上場を果たした。
だが、蒼司がついに、上流階級の仲間入りを果たした祝賀会の夜、二人の子どもの実の母親が突然姿を現した。
理性的だったはずの蒼司は、その女を狂ったように引き留め、彩乃が街中の笑いものになることすら厭わなかった。
その夜、彼は一度も帰らず二人の子どもを連れて、大好きだった彼女と再会の時を過ごした。
やがて蒼司は離婚を切り出した。「これまでの尽力には感謝している。でも、子どもたちに必要なのはやはり実の母親だ」
実母もまた言った。「この数年、私の子どもたちを育ててくれてありがとう。でも継母は所詮継母。本当の母親には敵わないわ」
――育てた恩は、生んだ恩に及ばないのか?
ならばこの継母の座、きっぱり降りさせてもらおう。
ところが、義娘も義息も実母を受け入れず、実の父親すら拒絶した。
さらにこう言い放った。「この先一生、私たちのママは彩乃だけだ!離婚するならママについていく!」