わたくしは何も存じません

わたくしは何も存じません

last updateปรับปรุงล่าสุด : 2025-11-11
โดย:  綾雅(りょうが)อัปเดตเมื่อครู่นี้
ภาษา: Japanese
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『今回』は大切にする? そもそも『前回』を存じませんので結構です!  冤罪による凄惨な死を与えられた、アードラー王国の公爵令嬢ガブリエルは、死の間際に女神に祈った。願いを聞き届けた女神アルティナは、世界へやり直しを命じる。  目覚めた人々は、過去の過ちを悔いて言動を改めた。  守ろうとする周囲、取り込もうと画策する王家。ロイスナー公爵家は独立を選び、記憶を持たない娘の幸せを模索する。  ハッピーエンド確定(ロイスナー公爵家側) 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ #愚か者の自業自得 #独立後はほのぼの #やり直し #女神の慈悲 #群像劇

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บทที่ 1

01.女神はやり直しを命じた

「私は違う、何もしていないわ」

 呟く少女は、みすぼらしい恰好をしていた。裾や襟が汚れたドレスは何日も洗っていない。着たきりなので、皺だらけだった。美しかった黒髪も雑に切り落とされて、ざんばら状態。白く滑らかだった肌も傷や汚れが目立った。

 離れていても悪臭が届くほど、放置された……彼女は元公爵令嬢だ。アードラー王国で最も古い血を誇るロイスナー公爵家長子ガブリエルは、才色兼備の完璧な淑女と謳われた社交界の華だった。今は見る影もなくやせ細り、汚れ、目も虚ろだった。

 アードラー王国王太子殿下の婚約者、麗しきロイスナーの華、病に伏せる国王陛下のお気に入り。すべての称号がいまの彼女を貶める。王太子ニクラウスは、淡々と彼女の罪状を並べた。すでに公爵夫妻は処刑され、弟ラファエルも殺されている。残るのは、ガブリエルただ一人。

 豊かな資源が眠る領地を治めていた筆頭公爵家の直系は、彼女で途絶える。ああ、それが望みなのね? ガブリエルは唐突に悟った。様々な理由を付けたけれど、王家の財政はひっ迫している。改善するには、豊かな貴族を潰して財産を没収するしかないほどに。

 政略ゆえの婚約と知っていたけれど、異世界からの聖女に夢中になったニクラウスが考えたのは最悪の一手だった。叔父様達が警告したとき、どうして退けてしまったのだろう。

 愚かな私達のせいで、伯爵家の叔父様達は排除された。騎士団長の地位も軍を指揮する権限も、奪われたわ。あれもきっと、私達を助けられないようにするため。

 王家に弓引いた反逆罪、異世界からきた聖女リリーを傷つけた罪。ほかにも横領や利敵行為など……最後は使用人への虐待まで付け加えられた。黙って俯くガブリエルの口角が持ち上がり、甲高い笑い声が周囲を満たした。

 気狂いのように笑い続けるガブリエルを、騎士達が処刑台に拘束する。ギロチン、首を落とすためだけの道具も……異世界からの知恵だったわね。ガブリエルの目に、家族の首が映った。死しても辱めるため、公開処刑後に朽ちる姿も晒すと宣言されている。

 わたくし達が、それほどの罪を犯したと、本気で思っているなんて。どれだけ尽力して領地を豊かにしたか、その恩すら仇で返された。ガブリエルの心に黒いシミが生まれる。それは憎悪の色をして広がった。

「あははっ、げほ……けふ……そうなのね? 全部わたくし達のせいにして……終わらせる、気? ふふっ、もう好きにしたらいいわ。女神アルティナ様、敬虔なる信徒を……どうか」

 お救いください、お慈悲をくださいますよう。

 手を組んで祈ることもできぬまま、ガブリエルの声は途中で途絶えた。涙はない。すでに枯れていた。首桶へ落ちた黒髪に喝采の声が上がり、王族への称賛が響く。手を挙げて応えるニクラウスの醜い笑みが、引きつった。

 突然の落雷で、処刑台が吹き飛ぶ。血に赤く染まった板は、近くにいた騎士の腹部に突き刺さり、公爵令嬢へ刃を落とした処刑人の頭を潰した。悲鳴が周囲を満たし、人々は逃げ惑う。

『このアルティナが認めた天使を、可愛いガブリエルを殺したのは、この国の民。敬虔なる信徒を殺したのは、そこの邪悪なる娘……異世界から入り込んだ異物』

 澄んだ美しい声に、人々が立ち止まる。先ほどまで狂喜して処刑を楽しんだ民は、女神の光を見た。疑う余地はなく、光を浴びた瞬間に畏敬の念を覚える。慌てて膝をつき、幼い頃から慣れ親しんだ祈りの姿勢をとった。

『女神アルティナの権限を行使する。世界の時間を戻し、やり直すことを命じる。神への反逆をあがなうがよい』

 宣言は静かに響いた。世界はやり直しの機会を与えられ、人々は罪を贖うための記憶を持ったまま……新たな人生を歩むことになる。痛みと苦しみが溢れるいばらの道を。

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02.人々の怒りは王城へ向かう
 特別な祝祭日ではない、ごく平凡なある日。正午の鐘が鳴る。教会の鐘が鳴るのは、一日に三回だけ。朝の仕事始め、昼の休憩、夕方の帰宅を促すとき。決められた時間に鳴る鐘は、人々の生活になくてはならない音だった。 からんからん、軽やかないつもの音が鳴った直後……人々は唐突に思い出す。よみがえった記憶は、あの日の惨劇だ。殺されたロイスナー公爵家の人々、女神アルティナによる断罪、王家の横暴さ……砕け散った血塗れの処刑台。一気に脳へ流された記憶は、自らが持っていた過去のもの。 ここは現在ではなく、記憶から続く未来だ。女神アルティナが巻き戻したのは世界の時間、やり直しを命じる声は怒りに満ちていた。巻き戻ったのではなく、これは延長であり……ここで間違えた者は救済されない。信仰心の強いアードラー王国の民にとって、恐ろしい事実だった。「っ、そんな……」「女神さまのお慈悲を」 祈りに手を組む大人をよそに、一人の少年が叫んだ。「貴族が勝手にやったのに、巻き添えかよ!」 事実であっても、誰も口にしなかった言葉だ。王侯貴族への暴言は不敬罪が適用され、一家揃って断罪されることもある。その危険性より、言葉に潜む事実が胸に突き刺さった。そうだ、悪いのは王族で、王太子だった。なのに、俺たちは巻き添えになるのか? 国の頂点に立つ王族は賢く強く正しい。その概念が崩れていく。あちこちで不満や懸念の声が上がった。女神アルティナを最上位とする教会は、扉を開いて信者を受け入れる。人々は女神への信仰を掲げ、救いを求めて群がった。 動いたのは平民だけではない。お茶会に集う夫人や令嬢が青ざめて茶器を落とし、混乱して泣き喚く。王城で仕事をしていた文官が手を止め、ペンを置いて駆けだした。書類を払いのけて叫んだ文官もいる。訓練中だった騎士は剣を取り落とした。 これから起きる出来事、未来を知ることは女神の恩恵である。自分だけが覚えていたなら、恩恵と考えてもいいだろう。しかし、ほかの皆も覚えていたら? 互いに顔を見て、ぎこちなく目を逸らした。 女神が断罪する前、公爵夫妻の首が落ちるとき……喝采したのは誰だ? まだ幼いと表現できる小公爵や令嬢の死を喜んだのは、自分だ。まるで酒に酔ったように、雰囲気に呑まれた民衆は処刑を楽しんだ。まるで観劇するかのように。 ざらりと嫌な感情が胸に広がる。女神は、公爵令嬢を『天
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03.怖い夢でも見たの?
 ロイスナー公爵として、王家に仕えてきた。アードラー王国は地の利に恵まれていた。北に山脈、南に海、東側に大きな川が流れる。高低差のない平地が広がり、その大地は肥沃だった。東、北、西に国境を接する国々が四つ。どの国とも友好関係を築いている。 北の山脈を背負い、東からの大きな街道を管理するのが、ロイスナー公爵家だった。麦を育てる平地が少なく、領地の半分が山である。一般的に豊かになる要素が少なく見えるが、北と東の三か国と接していた。街道を整備し、西側との中継地の利点を生かす。 麦が育たない山裾は、放牧を推奨した。ヤギ、牛、馬、羊……様々な家畜に解放され、チーズや燻製肉などの輸出量は近隣国で最大規模だ。荒れた領地を自ら望んで開拓した初代から、試行錯誤と苦労の連続だった。翌年の予算に頭を悩ますことのない生活を享受し始めたのは、先代からだ。 貴族としての体面を保つため、ロイスナー公爵家の財政を支えたのは軍人だ。アードラー王国の軍人のほとんどは、ロイスナー公爵領出身だった。屈強な男達が戦いや護衛の任に就き、出稼ぎのような形で領地を支援する。王家への忠誠は当然だと思ってきた。「俺が間違っていたようだ」 父ヨーゼフの苦しそうな呟きに、十二歳になったばかりのガブリエルは首を傾げた。誕生日にもらったリボンを選んだら、両親がいつもと違う行動に出た。不安そうに両親を見上げる。「このリボンは、だめですか?」 きょとんとした娘の様子に、ロイスナー公爵夫妻は顔を見合わせた。「覚えて、いないの? リル」 問われた意味がわからないガブリエルは、右に倒した首を左へ傾けた。何の話かしら? そんな表情に、問うた母ミヒャエラは「なんでもないわ」と取り繕った。 この子は何も覚えていない。だったら、息子ラファエルは? 立ち上がったのはヨーゼフだった。急いでラファエルの部屋に向かう。広い公爵家の廊下で、子供の泣き声が聞こえた。半ば走るようにして扉を開ける。「ラエル、無事か」「おと、ぅさま!」 しゃくり上げながら、走って来る。まだ十歳とはいえ、その勢いは激しかった。思い出した記憶が、重すぎたのだろう。頬を伝う涙を父のシャツに押し付け、ラファエルは怖いと泣く。抱きしめて背中をぽんぽんと叩いた。落ち着くのを待って、ガブリエルの部屋へ戻る。「ラエル、聞いてくれ。リルは覚えていないようだから、話
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04.領地への脱出が最優先だ
 ガブリエルは困惑していた。お父様もお母様も、弟のラファエルまで一緒になって「もう王城へいかなくていい」と口にする。そんなことをしたら、叱られてしまうわ。「誰にもお前を傷つけさせない。頼むから聞き分けてくれ、リル」 親しい人だけが呼ぶ愛称が、耳に優しい。たとえ声を荒らげて叱られたとしても、両親の愛情を疑うことはなかった。困惑しながらも、ガブリエルは承諾する。王家から連絡があっても、勝手に王城へ行かないこと。屋敷を出るときは報告すること。 しばらくは危険だから、屋敷から出ないことも言い含められた。すぐにでも領地へ戻る準備をする、父の言葉にガブリエルの気持ちは浮き立った。領地なら叔父様達もいる。従兄弟達とも遊べるわ。何より、王城で王太子殿下に会わなくて済む! 素晴らしいことに思えた。ロイスナー公爵家の領地は国の端だから、追いかけてこないでしょう。嬉しくなったガブリエルの表情が明るくなる。そんな娘の様子に、ヨーゼフは眉根を寄せた。 やはり、という気持ちが強い。王城でつらい思いをしていたのだろう。おそらく『前回』も同じだったはず。政略結婚の意味を理解するガブリエルは、我慢していた。つらい思いを口に出せず、呑み込んで……四年後に我々は裏切られる。「領地へ行く準備をしなさい。二人とも、荷物は二箱までだ。それ以外の荷物は後で運ばせる」 いつもより厳しい声に、ガブリエルが首を傾げた。二箱? 明らかに少ない量だが、最低限の着替えだけ詰めればいい。それ以上の荷物は馬車の速度を遅らせる。今は王城から離れることが先決だった。距離を取り、何かあってもすぐに手が出せない状況を作る必要がある。 ヨーゼフの目配せを受け、ミヒャエラがぽんと手を叩いた。ガブリエルとラファエルの注意を引き、笑顔を作って二人を焚きつける。「勉強道具はいらないわ。着替えや身の回りの物を優先してね。どちらが先にできるか、競争よ」「競争? 負けないわよ」「ぼ、僕だって」 覚えていないガブリエルは、控えていた侍女バネッサの手を取って衣装室へ向かう。ラファエルも自室へ駆け戻った。二人が荷物を作る間に、出かける準備を整えなくては。ミヒャエラは侍女達に指示し、装飾品から包ませた。 高価な飾り物や絵画はすべて地下室へ運ばせる。王家が攻め込んでくる危惧があるからだ。地下ならば、上の屋敷を焼
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05.無理を承知で頼む
 半日で荷物を積んで、馬車は走り出した。ガブリエルはいつもより揺れる馬車に、首を傾げる。道が荒れているのかも。数日前に雨が降ったから、そのせいだわ。様々な知識を吸収させられたガブリエルは、同じ年齢の子より聡い。 元からの賢さに加え、未来の王妃たるべく教育された水準が高すぎた。正直、愚かな王太子の尻拭い役なのでは? と公爵夫妻は懸念していた。 遠ざかる屋敷を見ながら、ミヒャエラはほっと息を吐きだす。家族だけの馬車は、長期移動用だった。長細い馬車は寝台に似た作りで、腰掛けがない。代わりに低い肘置きのような円柱クッションが用意されていた。「僕、この馬車は好き!」 ラファエルがはしゃいだ声をあげるので、嬉しくなったガブリエルも隣に寝転ぶ。王城では「お行儀が悪い」と叱られる行いも、父と母は笑顔で見守っていた。並んで窓から景色を楽しむ。住み慣れた屋敷が遠くなるのは寂しいけれど、王城が小さくなるのは嬉しかった。 後ろに続くのは、付き従う侍女達を乗せた馬車だ。さらに外出用の荷馬車が続く。領地との往復も多い貴族だが、数日の道のりは野営もある。テントから調理道具まで、荷物を運ぶ必要があった。 幌馬車では足が遅いうえ、見た目が悪い。寝台タイプの馬車に似せた外見で、荷を運ぶ馬車を仕立てるのが伯爵家以上の常識だった。野営の際は荷を下ろすため、雨の場合は護衛の騎士や御者が休む場所にも使える。 ロイスナー公爵家の紋章を付けた一団は、貴族とは思えぬ速さで街道を走り抜けた。ロイスナー領の端まで、通常三日の距離がある。半分に短縮するつもりで走らせる御者は、馬の疲労を見て休憩を判断した。 すでに日が暮れ始めた馬車の中で、幼い姉弟は眠っている。起こそうか迷い、ミヒャエラはそのままにした。馬の疲労が激しく、途中で交代する必要がある。街道沿いにいくつか、馬を預ける中継地が用意されていた。昼過ぎに一度馬を交換しているため、このまま野営に入るのも検討される。「あなた……」「先に進みたいが、皆は限界だろう」 乗り心地が改善された長距離用の馬車ならともかく、後ろに続く馬車は一般的な作りだ。当然、街道の揺れが直接伝わるので疲れる。加えて、荷馬車のほうは御者の交代ができなかった。 事前の準備ができず、最低限の人員と装備で出てきた以上、あまり無理は出来ない。ヨーゼフの判断で、街道脇の集落で野営の準
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06.父親を殺して王位を簒奪した事実
 国王グスタフは、昼の鐘と同時に立ち上がった。大量の記憶が流れてくる。信じがたい状況が走馬灯のように流れた。 体調には気を配ってきたし、体力もある。そう自負していたし、主治医も太鼓判を押す健康状態だった。それが突然倒れ、手足は動かず言葉もおぼつかなくなる。何が起きたのかわからぬまま、外からの情報に頼った。 毒を盛られた可能性がある。神妙な顔で告げた主治医は翌日から来なくなった。後で知ったが、息子ニクラウスが解雇していたらしい。代わりに入った医師は、ただ無言でベッドサイドに座り半刻ほどで出ていくだけ。治療どころか、診察の脈を取ることもしなかった。 グスタフが倒れて二年もすると、臣下も寄り付かなくなった。外部の話をする宰相は引退したと聞かされる。徐々に人が消え、シーツなどを交換する侍従すら減っていった。清潔だったシーツは饐えた臭いを放ち、体は痒さと痛みに覆われる。医師は一か月に一度、扉を開けて顔を見て閉めた。室内に入ることすらない。 その頃には、状況を理解していた。息子に謀られたのだと。 妻が早逝したため、我が子はニクラウスしかいない。能力の足りない王子を支えるため、ロイスナー公爵家の有能な令嬢を婚約者とした。不満そうなニクラウスを叱り、ガブリエルを婚約者として大切にするよう言い聞かせる。家柄、財力、才能……すべてを備えたガブリエルが王妃になれば、民も納得するだろう。 王政であっても、愚かな王に民も貴族も従わない。どうしてもさぼること、楽なことに向かう息子を情けなく思った。先だった妻に申し訳が立たないと、必死で導こうとする。それが息子にとって迷惑なのは承知の上だった。 結局、アレは力尽くで邪魔な父王を排除したのだ。その記憶が一気にグスタフを満たした。 最後の記憶は、無表情のニクラウスに胸を刺されて終わる。にやりと黒い笑みを浮かべた黒髪の女を連れていた。黒い瞳は闇のように深く、恐ろしいほど暗かった。 殺されたのは、病に伏して二年後くらいだろうか。それまで生かした意味は不明だ。だが、一つだけ確かなことがある。自分が死んだ後の治世に、何も期待できないこと。グスタフは王であり、国の頂点だった。民を潤し、貴族を動かし、国を豊かにすることが役目だ。「他家から養子をとるしかあるまい」 ぼそりと呟き、立ち上がった椅子に崩れ落ちる。そこでようやく、グスタ
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07.やり直しになるならやらなかった
 まずい、まずい、まずい。こんなこと想定していなかった。ニクラウスは混乱の中にあった。 リリーが来てから、俺には欲が出た。父上の古臭い説教は腹立たしいし、好きな女と結婚したい。王位も早く継いで、自由に振る舞いたかった。それらを叶える方法として、リリーは『聖女』という概念を持ち込む。異世界から来た彼女は、前の世界で『聖女』だったと口にした。 人々を癒す至高の存在で、女神に選ばれると。アードラー王国は、女神信仰の国だ。王族に次いで権力を持つのが教会だった。もし、リリーが女神に送り込まれた『聖女』なら……その女を妻として王妃の座に据えるのが正しい。俺の権威は一気に高まり、誰も文句は言えないだろう。 王になれば頂点だ。勉強しろと注意されることもなく、うるさい宰相や騎士団長を首にすることも可能になった。貴族も民も俺の前にひれ伏す。 ニクラウスはそう考えた。叱られて再教育、最悪の展開でも幽閉ぐらいだろう。王族とは、それだけで価値がある。ニクラウスの考えは、ある意味正しかった。 夢見た状況を引き寄せるため、ニクラウスは汚い手を躊躇なく使った。『前回』のニクラウスは、父王に毒を飲ませている。急ぎすぎて、手に入れた毒薬を半分も飲ませた。健康だった王が突然倒れたことに、いぶかしむ声が上がる。リリーにも「疑われるわ」と言われ、そこからは少量ずつ飲ませた。 じわじわと弱る父親の姿に、ニクラウスはひそかな喜びを覚えた。あんなに偉そうに俺へ意見していたくせに、俺のさじ加減一つで命が潰える。細くなった蠟燭の火も同然だ。吹き消す前に、絶望を味わわせてやろうと思った。ニクラウスの精神は、ある意味崩壊していたのだろう。 王位継承権を持つロイスナー公爵も、ニクラウスにとって目障りだった。 王になる資格は俺だけでいい。公爵夫人は、ガブリエルを大切にしろと煩い。挙句、弟とやらも俺を睨みつけやがった。気に入らない。ガブリエルは言うに及ばず、勉強や鍛錬を休むなと顔を合わせるたびに口にした。家族全員、処刑してやる。 単純なニクラウスを操るリリーが罪状を考えた。後押しされて、王太子は崩壊へ向かう。処刑の命令を出した。証拠など必要ない。いまの王族は俺と父上だけで、父上は口を利けないのだ。 命令に逆らう騎士団長に罪を着せて投獄し、あれこれ指図する宰相を首にした。リリーが見つけてきた男を騎士団長に据
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08.動き出した歯車は赤く軋む
 騎士団長バーレ伯爵は、鍛錬中だった。昼の鐘が鳴ると同時に、頭痛に見舞われる。刃を潰した訓練用の剣を杖代わりに、ずるずると体勢を崩した。だが膝をつく直前で持ち堪える。「……なんだ? この記憶は……」 広場で兄が殺された。義姉や甥、最後に姪も。全員の首が、見たこともない器具で落とされた。地位を追われ、兄への進言も届かない。身に覚えのない横領の罪を着せられ、次は俺の番だったはず。 叫ぼうとした喉は潰され、ひゅーひゅーと掠れた音を絞り出すのがやっとだ。両肩は骨が砕かれ、脹脛を切られた。満身創痍の身に、落雷の光が届く。眩しく輝かしい……そこで記憶は途絶えた。いや、誰かの声を聞いた気がする。 奇跡は一度だけ、と。 白黒だったバーレ伯爵の記憶が、徐々に色を取り戻した。鮮血の赤、嘲笑う王太子の緑の瞳、不吉な聖女の黒い微笑み……。思い出した記憶が鮮明になるにつれ、怒りで視界が赤く染まっていく。 ぐっと膝に力を入れれば、足は応える。立ち上がって、手足を確認した。肩は無事で、騎士団が鍛錬をする広場に立っている。己の状態を確認するため、バーレ伯爵は短く声を発した。「あ、ああ」 喉も無事だ。「っ、騎士団長!」 涙ぐんだ副官の焦げ茶の髪に、ぽんと手を置いた。あれらは夢ではない。だが、ここも現実だ。混乱したバーレ伯爵に、部下の騎士達が駆け寄った。口々に無事を喜び、女神のやり直しの話をする。拾った情報で、バーレ伯爵は事情を理解した。 女神アルティナ様の恩寵か。膝をついて祈りを捧げるバーレ伯爵の姿に、騎士達は剣を置いて同様に祈りの手を組んだ。やり直せることへの感謝、止められなかった不甲斐なさを詫び、二度と同じ失態をしないと誓う。「王太子ニクラウスを捕まえろ。『前回』であろうと罪は罪だ!」「「女神様のご加護を」」 主君に勝利を、と叫ぶ声が違う言葉を叫ぶ。不敬ではない。王太子より女神を選んだのだ。走る騎士の先頭で、バーレ伯爵は王城内へ踏み込んだ。許可を取る必要はない、誰かに詫びる理由がない。女神への反逆者を捕らえることは、女神への信仰の証でもあった。 侍従や侍女は道を空け、誰もが涙ぐんだ目元を隠そうとしない。無言で指さす先が、王太子のいる場所だろう。疑うことなく、騎士団は王城を走った。居住区域は奥にある、その一角を目指して進むのみ。途中で合流した近衛騎士
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09.簡単に終わらせるな!
「貴様のせいだ!」 怨嗟と黒い感情が滲む声が、大きく響いた。リリーは痛みに倒れ、その勢いで剣が抜ける。蝶番が悲鳴を上げた扉が倒れる。転がった彼女を殺そうと、ニクラウスが剣を持ち直した。逆手に掴み、突き刺そうとする。その所作は『前回』父親の遺体を損壊したときと、よく似ていた。「い、いやぁ」「死ね!」 赤い血に濡れた手で、何かを掴もうとするリリー。後ろから止めを刺そうとするニクラウス。修羅場に飛び込んだのは、騎士団長のバーレ伯爵だった。状況を見て取り、ニクラウスの手にある剣を弾く。キンと甲高い音がして、刃が折れた。 折れた剣先が落ちて、うつ伏せで逃げようとするリリーの脹脛を叩いた。刃を潰していたため、切り裂くほどの鋭さはない。重さで骨折でもしたのか、肌は青黒く変色した。「ぎゃぁ、あぅあ゛」 聞き苦しい叫びに、騎士達の顔が歪む。同情する色は誰にもなかった。ただ嫌悪感を得ただけだ。近衛騎士が、王太子ニクラウスを殴って引き倒す。その間に折れた剣は回収された。床に落ちた剣先も、他の騎士が蹴飛ばして遠ざける。「なんだ、貴様ら! 離せっ!」 暴れるニクラウスを二人の騎士が拘束する。手足を縛って転がし、顔を三発蹴飛ばした。手を使うほど、人扱いする気はない。野良犬以下の扱いが妥当と判断した結果だった。触れるだけで、悍ましい何かが感染しそうな嫌悪を感じる。彼らの心情がそのまま出ていた。 今までも地位をひけらかし、近衛騎士に迷惑をかけてきた。仕事だからと我慢しても、悔しさや怒りは消えない。蓄積した悪感情を叩きつける近衛騎士達に、バーレ伯爵は淡々と告げた。「殺すな、簡単に終わらせる気はない」「承知いたしました」 一礼する騎士に「まあ、手や足が滑ることはあるさ」と口角を持ち上げる。作られた笑みは、多少の報復は許すと匂わせていた。叫ぶ声が煩いと猿轡をされたニクラウスは、じたばたとのたうち回る。その背を足蹴にし、足や腕を蹴飛ばす。 殺さなければいい。力加減は彼らの得意分野だった。騎士達の様子に、ニクラウスが恐怖心を覚える。ここでようやく、自分が強者の地位から転落したことを理解した。今後、何をされるか……恐怖で震える。その下肢がじわりと濡れた。高価な絹は肌に張り付き、濡れて色を変える。「うわっ、汚いな」「仕方ないだろ、獣以下のクズだ」 叩きつけられ
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10.家族と一緒がただただ嬉しい
 ロイスナー公爵家の馬車は走る。一番後ろの荷馬車が遅れ、護衛の騎士を二人付けて速度を緩めた。彼らを残し、先を急ぐ一行の正面から騎馬の一団が現れる。他領を通り抜けている途中のため、街道の整備状態は悪かった。土埃を巻き上げる一団は、馬車のために道を空ける。 彼らの掲げる紋章を見て取った御者が、声を張り上げた。「公爵閣下、ロイスナーの騎士団です」 国境付近に位置するため、ロイスナー公爵領には騎士団が常駐していた。国ではなく公爵家に忠誠を誓う彼らは、速度を落とした馬車の手前で馬から飛び降りる。少し通り過ぎたところで、ゆっくりと馬車が止まった。「お父様、領地の騎士が来てくれたのですか?」 ガブリエルは無邪気に尋ねる。『前回』を覚えていないのは、彼女にとって幸いなのだろう。あのような凄惨な記憶があれば、心が壊れてしまう。泣きそうな顔をするラファエルは、母ミヒャエラにしがみついた。ぽんぽんと背中を叩くリズムに、深呼吸して感情を立て直す。「ああ、迎えに来たようだ」 自身にそっくりな黒髪を撫でて、公爵は馬車を下りた。その先で話し始める。ガブリエルは嬉しそうに頬を緩めた。王城へ行くようになって、あまり触れあえていなかった。髪を撫でる仕草や一緒に過ごす時間、すべてが新鮮で嬉しい。 ミヒャエラを振り返れば頷くので、ガブリエルは父の後を追って下りた。馬車に同行した王都邸の騎士が抱き上げ、下ろしてくれる。彼は従兄の一人だった。「ケヴィン兄様、ありがとうございます」 お礼を言って走った。追いついた父が、振り返って腕を差し出す。抱き着いて見上げた。娘を愛おしいと見つめる青い瞳に、嬉しくなったガブリエルも笑顔を返す。 領地の騎士の一部が目元を涙で濡らした。何かしら? 久しぶりだから懐かしいとか? 首を傾げたガブリエルの上で、ヨーゼフが首を横に振る。察した騎士達は口を噤んだ。「お迎えに上がりました。公爵閣下、お嬢様」「ご苦労」「お久しぶりです、皆さま」 綺麗にスカートの端を摘まんで挨拶する。公爵家の騎士団は、王都と領地の警護に分かれている。それ以外に、国にも貸し出されていた。国の財政が厳しく、豊かになったロイスナー公爵家を王が頼ったのだ。従兄弟という関係のヨーゼフは、王の願いを聞き入れた。 ロイスナー公爵領が潤ったのは、先々代からだ。ヨーゼフの父の代で、やっと金の工面
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