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奇想天外 Short Stories & Novels

Discover a collection of enchanting 奇想天外 short stories that explore the depths of passion. Perfect for readers seeking one-hour short stories to inspire and ignite their imagination about 奇想天外.
兆円の遺産とマッチ三本、私はマッチを選んだ - 奇想天外 novels & stories
弥
祖父が臨終の際、兆円の遺産と三本のマッチを残した。 「君たち姉妹で一つずつ選びなさい。真由美が姉だから、先に選べ」 私は迷わず兆円の遺産を選んだ。 義理の妹――竹田亜由美(たけだ あゆみ)は、たった三本のマッチを受け取るだけ。 ところが、あのマッチには、とんでもない力が秘められていた――火をつけて願い事をすれば、何でも叶う力。 妹は、両親が私ばかりを可愛がるのをずっと恨んでいた。真っ先に、彼女はマッチを擦った。 「あの二人が、惨めな最期を迎えますように」 案の定、父は突然の心臓発作で急死。母は病院へ駆けつける途中、大型トラックに跳ね飛ばされた。 私は包丁を手に、妹に詰め寄った。 「あんたが大人になったら遺産も分けるって、約束したよね!? 父さんと母さんが善意であなたを引き取ったんだよ!食べるものも着るものも、ずっと私と同じにさせてきたのに!どうして恩を仇で返すの!?」 妹の顔には、むき出しの欲望がにじんでいた。 「引き取るんなら、あんたを捨てて、全部私に譲るべきだったのよ! あんたが恵んでくれる遺産なんて、要らないわ。みんな死ねば、結局お金は全部私のものになるんだから!」 そう言い捨て、妹は冷たい笑みを浮かべ、二本目のマッチに火をつけた。 「竹田真由美(たけだ まゆみ)が山奥に売り飛ばされて、産む機械になって、難産で死にますように!」 私は青ざめた。ありったけの貯金をはたき、千人ものボディガードを雇い、鉄壁の警護を敷いた。 ……でも、ある深夜、全てのボディガードが同時に気を失い、私は結局、あの山奥に売り飛ばされた。 地獄の日々が始まった。私は豚や犬以下扱いの、ただの産む機械になった。 どれほどの時が流れただろう。激痛と屈辱の果てに、私は静かに息を引き取った。 そして、目を開くと――遺産を分配する、あの日に戻っていた。
キンモクセイの下で、君を待っていた - 奇想天外 novels & stories
清木ゆうよ
離婚して5年目。私は、キンモクセイの木の下で、元夫の加賀谷修吾(かがや しゅうご)と再会した。 修吾はずいぶん痩せていた。けれど、身につけているものはどれも見るからに高価で、以前着ていたものの2倍以上はしそうだった。 「久しぶりだね。元気にしてた?」 (元気だよ。ちょっと退屈なくらい。修吾は?) 「会社は上場した。順調だよ。ただ、少し忙しい」 (そっか。それならよかった) 長い沈黙のあと、修吾はため息をついた。 「陽菜(ひな)。今年もキンモクセイが咲いたよ。いったい、どこへ行ったんだ」 透けた自分の身体を見つめながら、私はまた、彼の独り言に答えた。 (ここにいるよ――) けれど、もう修吾にこの声は届かない。
愛の反対
 - 奇想天外 novels & stories
玉子焼き姫
結婚式の1週間前、妊娠が発覚した私・黒崎栞(くろさき しおり)のもとに、見知らぬアカウントからメッセージが届いた。 差出人は、自分が7年後の私の子供だと言う。 【ママ、僕をおろして】 【僕は生まれつき両足が不自由で、ママとパパはいつも僕のことで喧嘩していた。結局ママは心の病気にかかって、薬を飲んで自殺しちゃったんだ】 【ママにそんな苦しい思いをしてほしくない】 私はすぐに病院へ行き、中絶手術を受けた。 藤原蒼佑(ふじわら そうすけ)は怒り狂い、病院に駆けつけて私と大喧嘩したあと、ドアを乱暴に閉めて立ち去った。 退院して家の前に着いた途端、中から蒼佑が執着している女、桐生遥(きりゅう はるか)の得意げな声が聞こえてくる。 「未来からのメッセージ?そんな馬鹿げた話を信じる人が本当にいるとはね。ふふっ。 たかがデタラメなメッセージ一通で、自分の子供まであっさり捨てるなんて」 蒼佑は淡々とした表情で警告した。 「今回は大目に見てやる。次にまたこうして栞をいじめたら、ただじゃおかないぞ」 ドアの外にいる私は、異常なほど冷静だ。 もう二度と「次」はない。 あのメッセージが嘘だということは知っている。 けれど私自身は、嘘偽りなく、絶望に打ちひしがれた7年後からこの「過去」に戻ってきたのだ。
月が来なかった、あの夜のこと - 奇想天外 novels & stories
小林
北条悠斗(ほうじょう ゆうと)と結婚して7年目。北条遥(ほうじょう はるか)は、彼に黙って家を出ることに決めた。 「システム。7日後に、この任務を終わらせるわ」 賑やかな街角で、ビルのモニターに流れるプロポーズ映像を見ながら、遥は決意を固めた目でシステムを呼び出した。 ピッ、と音がして、システムの機械的な声が響いた。 「宿主による任務の強制終了リクエスト、処理中です……」 すこしして、遥の頭上にカウントダウンの数字が浮かび上がった。 「任務を終了しました!宿主は7年前に攻略任務を完了しています。世界からの離脱を遅らせたため、死因は交通事故となります。残り時間は6日と23時間59分です……」
死にたがりの私を、なぜか皆が愛し始めた - 奇想天外 novels & stories
金星鈴里
財閥の御曹司である九条海斗(くじょう かいと)と、午前中に入籍したばかりだというのに、その日の午後には、私たちは離婚届を提出するために再び役所を訪れていた。 手元に残されたのは、結婚届と離婚届受理証明書だけだ。 私・如月琴音(きさらぎ ことね)はその場で立ち尽くし、周囲を取り囲む彼の友人たちからの嘲笑を浴びていた。 「おい海斗、莉奈の一言のために、まさか本当に如月家のご令嬢と結婚して即離婚するとはな」 「見ろよ、お嬢様のあの顔、真っ青だぞ。泣くんじゃないか?」 しかし、海斗は如月家の養女である白石莉奈(しらいし りな)を愛おしそうに抱き寄せ、甘い声で囁いた。 「ほら、これで二つの受理証明書、揃ったぞ。 これで笑ってくれるか?」 莉奈は「ぷっ」と吹き出し、その澄ました顔に花が咲いたような笑みを浮かべた。 文句の一つも言ってやろうと踏み出したが、三人の兄たちに力ずくで止められた。 如月グループ総帥である如月家長男の如月大和(きさらぎ やまと)は、眉をひそめて言った。 「莉奈を笑顔にできるのは海斗だけだ。 お前も少しは弁えたらどうだ?」 トップ俳優である如月家次男の如月蓮(きさらぎ れん)は、私を地面に突き飛ばした。 「あの子は身寄りがなくて可哀想なんだ。 お前は恵まれているんだから、男の一人や二人、くれてやれ」 生物学教授である如月家三男の如月湊(きさらぎ みなと)は、冷たい表情で告げた。 「海斗は最初から彼女と結ばれるべきだったんだ。二度と二人の邪魔をするな」 心の奥底にいる「最愛の人」の幸せを、私なんかに邪魔させないために、彼らは私を無理やり車に押し込んだ。 その時、長い間沈黙していたシステムがついに起動した。 【プレイヤー様、攻略ミッションの完了を確認しました! 直ちに元の世界へ帰還しますか?】 後部座席に座り、私は憂鬱なふりをして窓外を眺めたが、危うく笑い出しそうになった。 ミッションのために演じてきたこの茶番劇も、ようやく終わりだ。 彼らの茶番になんて、もう二度と付き合ってられないわ!
心の声が教えてくれた真実 - 奇想天外 novels & stories
イリコ
あの年、川に落ちた時、母・清田千佐子(きよた ちさこ)は先に妹・清田心海(きよた ここみ)を助けた。 そのあと、救助隊が私・清田美波(きよた みなみ)を引き上げた。しかし、長時間の呼吸停止によって、脳に深刻なダメージを負い、私の知能は5歳の水準で止まってしまった。 それを境に、人の心の声が聞こえるようになった。 それから13年間、父・清田昌大(きよた まさひろ)と母は、私を一番愛している、今まで苦労をかけた分を償いたいと、口癖のように言ってきた。 けれど、聞こえてくる心の声は、愚痴ばかりだ。 【バカの世話には、もううんざりだ!】 【どうして私たちが、こんな思いをしなきゃいけないの】 都京大学の合格通知書を受け取った日、心海は両親に願いを聞いてほしいとねだった。 「こんなに頑張ったんだからさ。みんなで旅行に行こうよ。お父さんとお母さんと私の3人で」 こちらを見る心海の目に浮かぶ感情は、知能の低い私には理解できないほど複雑だ。 【13年前、どうして死ななかったの。今度こそ、家で一人、飢えて死ねばいい!】 両親の顔に、わずかな迷いが浮かぶ。やがて母は私の頭をそっと撫でる。 「美波はいい子にして、お留守番しててね。お母さんが帰ってきたら、遊園地に連れていってあげるから」 でも、母はまた嘘をついている。聞こえてくる心の声は、あまりにもはっきりしている。 【今度こそ、素直に死んでくれたら、私たちは楽になれる】
小説の世界に転生し、夫に見捨てられた端役の私 - 奇想天外 novels & stories
匿名
この小説の世界に転生したとき、物語はもうすぐ終幕を迎えようとしていた。 石井蒼夜(いしい そうや)は二番手の男だった。 ヒロインとヒーローがビジネス界の頂点に立ち、彼だけが海外へ姿を消した。 私は作中で白血病の末期を迎えた、目立たない端役にすぎなかった。 なのに、そんな存在感すらなかった私が、蒼夜の妻になった。 ずっとわかっていた。 彼が愛しているのはヒロインだということ。 そして、私の命がいつか尽きるということ。 それでも結婚から三年、彼は細やかに私を気遣ってくれ、大金を投じて治療費を出してくれた。 本当に愛してくれているのかも、と思いかけた矢先、ヒロインが交通事故に遭った。 蒼夜はチャーター機で国内の病院へ駆けつけた。 あの日が私の最期の日だとも知らずに。
死を決意した後、遅すぎた愛が押し寄せた - 奇想天外 novels & stories
金星鈴里
朝、朝倉未月(あさくら みつき)と婚姻届を提出した。 夫婦になったのは、ほんの数時間だけだった。 昼過ぎには、今度は離婚届を書くために役所へ連れて行かれた。 二通の受理証明書を握り締めたまま、俺はその場で立ち尽くす。周囲では、未月の友人たちが遠慮なく笑い声を上げていた。 「未月、真斗のひと言だけで、本当に高城秀樹(たかしろ ひでき)と結婚して、その日のうちに離婚までしちゃったの?」 「見てよ、高城の顔真っ青!今にも泣き出しちゃいそうじゃん!」 未月はそんな声など意にも介さず、義理の弟の藤本真斗(ふじもと まさと)の胸へ飛び込むと、甘えるように見上げた。 「これで結婚も離婚もしてきたよ。もう笑ってくれるよね?」 次の瞬間、それまで冷え切っていた真斗の表情に、ようやく笑みが浮かんだ。 俺は問い詰めようと一歩踏み出した。 だが、その腕を三人の姉が力任せにつかみ、動きを封じる。 社長を務める長姉・高城鈴華(たかしろ すずか)は眉をひそめた。 「真斗を笑顔にできるのは未月だけよ。少しは思いやりを持ちなさい」 女優の次姉・高城佳澄(たかしろ かすみ)は俺を睨んで、冷たく言い放つ。 「真斗はつらい生い立ちなの。あなたは何不自由なく育ったでしょう。女一人くらい譲ってあげなさい」 生物学教授の三番目の姉・高城結花(たかしろ ゆか)も険しい顔で口を開く。 「未月はもともと真斗と結ばれるはずだったの。これ以上、二人につきまとわないで」 三姉妹は抵抗する俺を無理やり車へ押し込み、自分たちが何より大切に思う人の幸せを邪魔させまいとした。 そのとき、長い間まったく反応のなかったチートシステムが、ようやく姿を現す。 (プレイヤー、任務の達成を確認しました!ただちに元の世界へ帰還しますか?) 俺は後部座席に身を預け、窓の外をぼんやり眺める。そして、思わず笑いがこみ上げそうになった。 任務のためだけに演じ続けてきた、この報われない恋の芝居も、これで終わりだ。 これから先、あいつらの愛憎劇に俺が付き合うことは、二度とない!
愛情値は満点でも、心はもう戻らない - 奇想天外 novels & stories
ミントソーダ
「攻略者様、北条京平(ほうじょう きょうへい)様のあなたへの好感度は依然として100パーセントのままです。それでも本当にこの世界から離脱なさいますか?」 北条英理(ほうじょう えり)の胸の奥に、じわりと苦いものが広がる。それでも彼女は、迷うことなく静かに頷いた。 「……ええ、決めたわ」 「承知いたしました。離脱ゲートは15日後に開放されます」 システムの声がふっと途絶え、部屋は再び静寂に包まれた。 英理の視線は、目の前のテーブルにぽつんと置かれたケーキへと落ちる。好感度100パーセント。そんな言葉が、頭の中を何度も駆け巡って離れない。 本来であれば、この上ない幸福をかみしめるべき言葉のはずだ。しかし今の英理にとって、これほど皮肉に響く言葉はほかに存在しなかった。
あなたの世界は、私の生きる場所ではない - 奇想天外 novels & stories
鬼火
攻略に失敗した私は、感情との交換で、元の世界に戻ることができた。 それから2年が経ったある日、システムから緊急の連絡が入る。 攻略対象の岩崎颯太(いわさき そうた)が暮らす世界を救うには、私が彼に会うしかない、というものだった。 私は即座に断った。 たとえ今は感情がなくても、以前私を傷つけた人間になどあいたくなかったから。 それでも、システムは必死に条件を提示してきたので、結局、3か月だけ戻ることで話がまとまった。 戻ったときには感情を返してくれることだけでなく、巨額の報酬も支払われることになった。 しかし、一切の感情を失った私が颯太の前に戻った時、彼は以前にも増して壊れていった。
裏切り恋人にさようなら - 奇想天外 novels & stories
早起き
誰もが知っている。林田文彦(はやしだ ふみひこ)は、私が二十歳になって彼の嫁になるのを、ただひたすら待っている。 彼は心底から私を愛している。忠誠の証として自らGPSを渡し、居場所を常に把握させてくれた。 それが、婚約パーティーのそのすぐ傍の部屋で。 文彦は色っぽい女を抱き、狂ったように身体を交わらせていた。 GPSの内蔵通信から、彼の荒い息遣いが流れてくる。 「蕾(つぼみ)……今度は、コンドーム五箱全部、使い切ってやる」 私は心が冷め切った。システムを呼び出した。 「任務をやめた。この世界から脱出させて」 耳元で、冷たい電子音が響く。 「任務失敗。脱出まで残り3日」
愛想を尽かした妻は二度と振り返らない - 奇想天外 novels & stories
ネズミマン
息子が六歳の誕生日を迎えた日、綾瀬厚司(あやせ あつし)は私の引き留める声も聞かず、家を飛び出した。 義妹から足を捻挫したと電話があった。ただそれだけの理由で。 「行かないで」と懇願する私に、彼は冷たい目線を向けた。「お前には思いやりってものがないのか?」 息子でさえ、私を責めるような目で見てきた。「ママのわがままなのに、なんで僕まで巻き込むの?」 この父子二人の冷たさにまたしても深く傷つけられ、私はついに未練を断ち切った。 システムを呼び出し、この世界から去ることを決意した。
3年悼んだ息子は、親友をママと呼んだ - 奇想天外 novels & stories
灰野
3年前、私は難産の末に子供を失った。高瀬直人(たかせ なおと)は分娩室の外で泣き崩れ、膝をついていた。 それから3年、彼は何くれとなく私を気遣ってくれた。 それなのに、出産ミッションの進捗は99%から動かない。 もう達成できないのだと思っていた。 子供の命日、墓参りの帰りにふと思い立って海辺へ向かった。気晴らしに歩いていると、小さな男の子が私の脚にぶつかってきた。 「大丈夫?パパとママはどこ?」 男の子は起き上がると、私の手を振り払って駆けていった。 その先を目で追い、私は凍りついた。 ヤシの木の下。ビーチチェアに寝そべった直人が、飛び込んできた男の子を笑顔で抱き留めていた。 「パパ!ママ!」 その子が笑ってママと呼んだ相手は、私の親友、藤代美緒(ふじしろ みお)だった。 隣には私の両親までいて、ココナッツジュースを手に男の子の相手をしている。 「悠真(ゆうま)、おいで。おばあちゃんが抱っこしてあげる!」 父はジュースをひと口飲むと、ため息をついた。 「紗季(さき)は、また墓参りか。あの子が知ったらなあ。悠真が実は……」 「お義父さん!」 直人は父を遮り、悠真の耳をふさいだ。 「この子は、紗季が美緒に償うための子なんです」 手のひらに爪を食い込ませた。信じられず、何度もまばたきをした。 久しく聞いていなかった、冷たい電子音が耳元に響いた。 (ユーザー様、確認が取れました。この子は、あなたが産んだ子供です…… 出産ミッションの達成を確認しました。この世界から離脱しますか?)
裏切りを知った受験前夜 - 奇想天外 novels & stories
福餅あん
親友の松本圭吾(まつもと けいご)、幼なじみで恋人の藤井由佳(ふじい ゆか)、そして俺――浅野修司(あさの しゅうじ)の三人は、そろって明峰大学を第一志望にしていた。 国内最高峰と名高い国立大学で、通称は明峰大だ。 大学入学共通テストの前日、俺は、10年後の自分へのメッセージとして、あれこれ質問する動画を撮っていた。 ところが、ただ動画を撮っていただけのはずなのに、10年後の自分とリアルタイムで通信がつながるなんて夢にも思わなかった。 「明峰大に受かって、そのまま院まで行けたか?圭吾とは今も親友のままか?あいつの面倒くさい性格に付き合えるの、俺くらいだろ。 もう院も出て、由佳と結婚してたりするのか? もしかしたら、もう子どももいるか?名前なら、もう考えてあるんだけどな」 そんな未来が当たり前に来るものだと、俺は信じきっていた。 だが、由佳の名前を口にした途端、10年後の俺の表情が一変した。 「由佳は、圭吾に共通テストで県内トップを取らせるため、お前には特殊な鉛筆を用意したんだ!マークシートを塗っても、機械が読み取れないようなやつだ! そのせいで明峰大に落ちて、浪人する羽目になった。 由佳はつらそうな顔で、遠距離になっても付き合い続けるって言ってたくせに、お前が浪人してる間に圭吾と付き合い始めた。大学じゃ、お似合いの二人だともてはやされてたんだぞ! お前は本当に救いようのない馬鹿だ!親友に彼女を奪われたとも知らず、由佳を支えてくれたと勘違いして、圭吾に礼まで言ってたんだからな!」
記憶を捨てた私は元婚約者の親友に溺愛される - 奇想天外 novels & stories
匿名
「桜井様、こちらは記憶置換センターでご予約いただいたサービスの同意書です。実行日は2週間後の結婚式当日、方法は記憶催眠、対象者はご本人様でお間違いありません。こちらにご署名ください」 桜井梨花(さくらい りか)は頷き、書類の最後のページに迷いなく署名した。 繁華街を歩きながら、梨花は一人で家へ向かっていた。大通りの向かいにある巨大ビジョンでは、経済チャンネルが氷室凌真(ひむろ りょうま)のインタビューを流していた。 映像の中の彼は、仕立ての良い黒いスーツに身を包み、誰もが息をのむほど洗練されていた。 北央の名士たちの頂点に立つ彼は、「ストイックな男」として知られる一方で、3か月連続で「世界中の女性が抱かれたい男ランキング」の1位に君臨していた。 梨花と7年にわたって人知れず交際してきた彼が、まさかカメラの前で突然、結婚を発表するとは誰も思っていなかった。 たちまちスタジオ中から息をのむ声が上がり、プロ意識の高い女性司会者でさえ、驚きに目を丸くして尋ねた。 「3年前に芸能界を引退した、あのトップ女優の桜井さんですか?」 凌真は笑顔で頷き、カメラに向かって愛情たっぷりに語りかけた。 「梨花、俺が一番苦しかった時期に、そばで支えてくれたのはお前だった。成功を手にしたら、必ずお前に最高の結婚式を贈ると約束したよな」 映像の中の愛情あふれる場面に、通りすがりの若い女性二人が興奮して抱き合い、羨ましそうに声を上げた。 「きゃあっ!氷室社長、桜井さんのことが好きすぎる!」 「氷室社長と桜井さんって、幼なじみでしょ。18歳で待ちきれずに告白して、20歳の時には貯金を全部はたいてルビーのティアラを買い、『お前は永遠に俺のお姫様だ』って言ったんだって。22歳で北央の一等地に邸宅を買って、絶対に裏切らないって誓ったらしいよ。 23歳の時、桜井さんが撮影中にけがをしたら、氷室社長は自分が血液凝固障害を抱えているのに、彼女に輸血するため無理をして命を落しかけたんだって。見事に返り咲いた今も、一刻も早く桜井さんを妻にしたいなんて。この世に、こんな一途な男の人がいるなんて信じられないわ!」
転生したら、姉と夫を交換することになった - 奇想天外 novels & stories
冷泉
転生したら、姉と夫を選ぶ日だった。 そして、なぜか、他人の心の声が聞こえるようになっていた。 姉の心の声が響いた。[今度こそ、絶対に良い旦那様を手に入れてやるわ!] そして、姉は焦ったように、前世で私が嫁いだ温和そうな夫を連れ去った。 一方、前世で姉を毎日殴っていたDV男が、私に残された。 私は笑ってしまった。 姉は、私が前の人生で選んだ男が、まともな人間だとでも思ってるのか?
運命を書き換えて、霧のち晴れ - 奇想天外 novels & stories
金運おいで
最近、ネットで話題になっているアプリがある。未来の自分と会話できるという、不思議なアプリだ。 大学入学共通テストの最終日、試験会場へ向かう前、ちょっとした好奇心から、私も流行りに乗ってメッセージを送ってみた。 【未来の私へ。悠真と結婚してる?】 画面がチカッと光ったかと思うと、すぐさま「名無し」から返信が届いた。 【してるよ。すごく盛大な結婚式だった】 スマホを握りしめたまま、フリック入力する。 【じゃあ、芽唯が介添人をしてくれたの?彼女は私の一番の親友だから!】 返信は相変わらず早い。 【ええ、でもね、ただの介添人じゃない。あなたの夫の新婚初夜の相手でもあるの】 口元に浮かんでいた笑みが凍りつく。 立て続けに、次のメッセージが届く。 【実はね、悠真はわざと悪い点を取ったんだ。そうすれば、学年最下位の芽唯と、堂々と同じ大学に行けるから】 【彼があなたに白紙答案を出して、帝都大学への進学を諦めようと言ったのも、芽唯があなたの成績の良さに引け目を感じないようにするためなの】 間もなく試験会場に入る時間なのに、体の芯まで冷えていくような感覚だけが広がって、一歩も動けない。 そして、追い打ちをかけるように最後のメッセージが送られてきた。 【もし信じられないなら、今日の試験が終わったあと、駅前のホテル、209号室へ行ってみて。そうすればすべてが分かるから】
風にさらわれた恋 - 奇想天外 novels & stories
そよそよ
港市では誰もが知っている。 極道の大物・桐生蓮(きりゅう れん)、私を狂おしいほどに愛し、私が姿を消すことを何より恐れていた。 どんな銃弾が飛び交う修羅場にいても、「今どこにいる」「すぐ戻る」と報告してくれるほど、私に安心を与えようとしてくれたのに…… 結婚式の前夜、彼は一晩中帰ってこなかった。 そして夜明けに帰ってきたとき、彼は全身に青あざだらけの気を失った女を抱きしめながら、私の前で膝をついた。 「とわちゃん、涼宮遥(すずみや はるか)は俺を助けようとして媚薬を盛られたんだ。俺は、彼女が死ぬのを黙って見ていられない!」 私が許さないと悟ったのか、彼は自分の腕にナイフで六本の傷を刻み、真っ赤な血がシャツを瞬く間に染め上げた。 けれど、結婚式が終わった直後、彼の子分たちの軽口が耳に入った。 「兄貴、婚礼服も脱がないうちにまた涼宮のとこに行く?あの愛人、どんだけ色っぽいんだ?」 蓮は低く、甘く笑った。 「この前は三日三晩、部屋から出られなかった……さて、今回はどうかな?」 雷に打たれたような衝撃。 私の中で、何かが音を立てて崩れた。 「この世界から脱出したい」 思うと、謎のシステムから、冷たい電子音が響いた。 「脱出後、この世界からあなたの存在記録は完全に削除されます。 カウントダウン開始――残り7日」
蜘蛛の夢 - 奇想天外 novels & stories
ミスティラ
高野不動産の恋愛バカな社長は、夢を見た。 妻の背中が蜘蛛に引き裂かれ、彼の体に卵を産みつけられるという、奇妙で不吉な夢だった。 翌日、彼は妻が毎日こっそり他の男たちと密会していることを知った。 調査を依頼した私立探偵は、なぜか全員謎の死を遂げてしまった。 一方、ベランダで星空を眺めていた私が、意外にも淫らな光景を目撃してしまった。 陰陽師として、私にはその状況が一瞬でわかってしまった。 「お前の妻は夢蜘蛛に寄生されてる。それに、今お前の腹の中にはクモの卵が詰まってる」
さよなら、17歳の君 - 奇想天外 novels & stories
べつに
富裕層の間では、ある周知の事実が囁かれている。 令嬢である神崎凛音(かんざき りおん)は夫を溺愛しているが、外で刺激を求めるのが好きだということだ。 彼女は若い男たちを甘やかし、欲しがるものは何でも買い与えているが、ただ一つだけ絶対に破ってはならない掟がある。 それは、夫の耳に入るような騒ぎを絶対に起こさないことだ。 彼女の夫は、彼女が十年間愛し続け、命がけでようやく結ばれた相手であることは誰もが知っている。 夫が死ねば自分も後を追うと、彼女は公言していた。 しかし、今回の男はひどく反抗的で、彼女からの寵愛を盾にして俺の前に乗り込んできたのだ。 男は俺にコンドームの写真ばかりを何枚も送りつけ、そこには安らかに眠る女の寝顔も添えられていた。 【湊さん、イチゴ色の特殊なやつは刺激が強すぎましたよ。神崎社長、一晩中声を出してました。あなたと使ったことあります?】 その瞬間、俺はようやく気づいた。 俺だけを真っ直ぐに見つめていたあの少女は、愛を俺に与え、体を別の男に与えていたのだと。 俺は送られてきた写真を見て涙を枯らし、離婚協議書を作成してサインした。 振り返ると、17歳の神崎凛音が俺の後ろに立ち、涙を流しながら俺を見つめていた。
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