Novels
Short Stories

Genres

奇想天外×
All
恋愛
ラノベ
人狼
極道
BL
ケモノ
神話
ファンタジー
学園
奇想天外
転生
ミステリー・サスペンス
怪談·伝説
短篇
男性視点

奇想天外 Short Stories & Novels

Discover a collection of enchanting 奇想天外 short stories that explore the depths of passion. Perfect for readers seeking one-hour short stories to inspire and ignite their imagination about 奇想天外.
忘れた恋、届かぬ手のひらの君 - 奇想天外 novels & stories
せんべい君
生まれつき、驚異的な自己治癒能力を持っていること。それが私、望月知尋(もちづき ちひろ)という人間のすべてだ。 沢田修平(さわだ しゅうへい)にとって、私は彼の「想い人」のために用意された、ただの生きた薬箱に過ぎない。 彼女を生かすため、修平は私の心臓から99回も血を抜き取った。 最初は彼の巧みな手口に騙され、最後には自ら差し出すようになった。 そこに至るまで、たったの5年。 修平が角膜をよこせと言えば、私は差し出した。 富永麻里奈(とみなが まりな)と腎臓を交換しろと言えば、大人しく従った。 そして、修平が100回目の心臓の血を求めてきた時、私はただ静かに微笑んだ。 彼は知らない。私の心臓が100回傷ついた時、この世界から完全に消滅してしまうことを。 あの日、私は迷うことなく心臓にナイフを突き立て、彼に告げた。 「修平、もう二度と会うことはないわ」 いつも冷徹な修平が、その時ばかりは狂ったように手術室の前に跪き、泣き叫んでいた。 「何もいらない!お前さえ戻ってきてくれれば、他には何もいらないんだ!」
インキュバスの育成ルール - 奇想天外 novels & stories
少女の呟き
私はネット通販で、イケメンでクールなインキュバスを一体ポチった。 けど、届いたそいつはなんかずっと唸ってるし、私をじっと見つめてくるし、体温も死ぬほど熱い。 病気なんじゃないかって心配になって、私は慌ててサポートセンターに問い合わせた。 私の説明を聞き終わった担当者は、黙り込んでしまった。 【お客様……もしかしてそのインキュバスは病気なんじゃなくて、ただお腹が空きすぎて……お客様とキスしたいとか、何か他の『悪いコト』がしたいだけ、とかじゃないですかね?】
祖父の命令で夫選び、私は宿敵を選んだ - 奇想天外 novels & stories
川滔々
私は幼なじみの石持英樹(いしもち ひでき)と一緒に交通事故に遭い、次に目を覚ましたとき―― 長年愛し合ってきた英樹が記憶を失ってしまった。 そして私はかすり傷ひとつないのに、体の中には何年も前に亡くなった祖母・花田歩美(はなだ あゆみ)の魂が入り込んだ。 「このガキ……また記憶を失ったって言い訳で、うちの可愛い菫を騙そうとして!私がこの世にいれば、あいつの足の骨の一本や二本、叩き折ってやるわ!」 私はぽかんと目を見開いた。 歩美の声は、なおも頭の中で怒鳴り続けている。 「前世で、うちの菫は英樹にさんざん苦しめられたんよ。 何年もろくでもない日々を過ごし、心臓病で死にかけてたのに、あいつは小雲安奈(おぐも あんな)と誕生日祝いでキャッキャして……腹立つわ! 菫よ。今回、おじいちゃんが縁談を選んでくれるとき、英樹だけは絶対にダメよ。川連涼太(かわつれ りょうた)を選びなさい。あの子は信頼できるわ!」 次の瞬間、本当に祖父の花田光夫(はなだ みつお)と数人の年長者たちが病室に入ってきて、四大名家の跡継ぎの写真を私の前にずらりと並べ、「夫にする相手を一人選べ」と言った。 私は迷うことなく、宿敵である涼太を選んだ。 ――私はおばあちゃんが大好きだから。 彼女が「英樹はあなたのことを愛してないわ」と言うなら、私はもう英樹なんて必要ない。
ド近眼の私、ホラーゲームでは無敵らしい - 奇想天外 novels & stories
ホラーゲームに入り込んだ私は目がすごく悪くてよく見えなかった。 だから、血濡れの姫を本当の娘みたいに可愛がったり、ラスボスを夫みたいに扱ったり、年老いた化け物を実の親みたいに敬ったりしていた。 初めてラスボスに会ったときなんて、思わずその腹筋をわしづかみにしちゃって、こう言ったのだ。 「わあ、すごい体してるね。でも、ちょっと背が低いのがもったいないかな」 そう言われボスは言葉を失ったけど、手に持っていた自分の首を体にくっつけると、歯ぎしりしながら言った。 「俺は身長186センチだ。さあ、もう一度よく見てみろよ」
深き夢、儚き花 - 奇想天外 novels & stories
チョウドイイ
「栗原さん、今回のプロジェクトのテスターになるということでよろしいでしょうか? 念のため申し上げておきますが、このプロジェクトへの参加がもたらす結果はただ一つです。 つまり、あなたはいずれかの時空へ転送され、この世界から姿を消すことになります。 会社の上層部としましては、やはり慎重にご判断いただきたいと……」 担当者の言葉が終わる前に、私は静かに口を挟んだ。 「考える必要はありません。消えることこそ、私が一番望んでいる結果です」 こうするしか、横山雅紀(よこやま まさのり)親子に見つからずに済む方法はないのだ。
裏切り恋人にさようなら - 奇想天外 novels & stories
早起き
誰もが知っている。林田文彦(はやしだ ふみひこ)は、私が二十歳になって彼の嫁になるのを、ただひたすら待っている。 彼は心底から私を愛している。忠誠の証として自らGPSを渡し、居場所を常に把握させてくれた。 それが、婚約パーティーのそのすぐ傍の部屋で。 文彦は色っぽい女を抱き、狂ったように身体を交わらせていた。 GPSの内蔵通信から、彼の荒い息遣いが流れてくる。 「蕾(つぼみ)……今度は、コンドーム五箱全部、使い切ってやる」 私は心が冷め切った。システムを呼び出した。 「任務をやめた。この世界から脱出させて」 耳元で、冷たい電子音が響く。 「任務失敗。脱出まで残り3日」
月が来なかった、あの夜のこと - 奇想天外 novels & stories
小林
北条悠斗(ほうじょう ゆうと)と結婚して7年目。北条遥(ほうじょう はるか)は、彼に黙って家を出ることに決めた。 「システム。7日後に、この任務を終わらせるわ」 賑やかな街角で、ビルのモニターに流れるプロポーズ映像を見ながら、遥は決意を固めた目でシステムを呼び出した。 ピッ、と音がして、システムの機械的な声が響いた。 「宿主による任務の強制終了リクエスト、処理中です……」 すこしして、遥の頭上にカウントダウンの数字が浮かび上がった。 「任務を終了しました!宿主は7年前に攻略任務を完了しています。世界からの離脱を遅らせたため、死因は交通事故となります。残り時間は6日と23時間59分です……」
自分に百回の後悔を - 奇想天外 novels & stories
チャオ
攻略完了後、私は攻略対象・高槻蒼介(たかつき そうすけ)と結婚した。 新婚初夜、私は彼に告げた。「システムから九十九粒の『後悔の薬』を授かった。あなたが私を裏切るような真似をするたび、私はそれを一粒飲むわ」と。 そして、薬が尽きた時、私は完全に彼の世界から消え去るのだと。 彼は胸を痛めたように私を抱き寄せ、「君を後悔させるようなことは二度としない」と誓った。 しかし結婚から三ヶ月後、彼の幼馴染が帰国した。 彼が初めて無断外泊をし、私が一度だけ泣き喚いた後に黙って薬を飲む姿を見て、彼は味を占めたようだった。「なんだ、その程度か」と。 それ以来、彼の態度は日に日に増長していった。 そして十周年の結婚記念日。蒼介の幼馴染である保科里美(ほしな さとみ)が、またしても自殺未遂騒動を起こした。 彼は躊躇うことなく私を置き去りにして出て行った。 翌日、首筋に無数のキスマークを残したまま帰宅し、許しを請う彼に対し、私は泣きも喚きもせず、ただ伏し目がちに尋ねた。 「後悔の薬を、一粒飲んでもいい?」 彼は悪びれる様子もなく答えた。「好きにすればいい。どうせまだ沢山あるんだろう?」 私は微笑み、彼がその幼馴染を家に連れ込むのを黙認した。 彼は知らない。箱の中の薬は、残りあと三粒だということを。 チャンスを使い果たせば、私は彼を捨てる。
時の狭間に消えた約束 - 奇想天外 novels & stories
睦月 レイ
俺・霧島海人(きりしま かいと)が彼女に告白したあの夜、彼女は泣きじゃくっていた。 未来を見たとか何とか言って、俺とある「約束」を交わそうとしたのだ。 「どうして?」と聞くと、彼女はただこう言った。 「詳しくは覚えてないの。ただ、未来の私がすごく、すごく後悔してることだけは覚えてる……ねえ海人。これから何があっても、絶対に私に三回のチャンスをくれないかな」 雨宮美桜(あまみや みお)を深く愛していた俺は、もちろん二つ返事で頷いた。 しかしその後、彼女はその約束のことなどすっかり忘れてしまったようだ。 自分のマネージャーと、あんなにも親密な関係に溺れていた時でさえ。 そして今になってようやく、その理由がわかった。 離婚協議書にサインをしたその瞬間、懐かしい声が聞こえたからだ。 それは、十九歳の美桜の声だった。 彼女は泣きながら、こう言った。 「海人、約束してくれたでしょ?私に三回チャンスをくれるって……」
未来からの手紙、消えた悲劇 - 奇想天外 novels & stories
雪とお茶
大学入学共通テストを控えたある日、私は10年後の自分から手紙を受け取った。 【垣見萌々香(かきみ ももか)、お願いだから浮海卓(うきがい たかし)とは絶対に結婚しないで。あなたたちの結婚生活は、救いようのない悲劇にしかならないから】 顔を上げると、向かいの席で卓が繊細な手つきで私のために魚の小骨を取り除いてくれている。 彼は誰もが憧れる学校の王子様だが、決して威張ることはなく、私にはいつも尽くしてくれて、何でも言うことを聞いてくれる。 手紙の内容は、あまりにも突飛で悪質な嫌がらせにしか思えない。 私は納得がいかず、ペンを手に取って手紙の裏に怒りを込めて反論を書き綴った。 【あなたに何がわかるの!彼の瞳には私しか映ってない。彼が私をないがしろにするはずなんてないわ。 子供の頃から今まで、私が誰かにいじめられたら、彼はいつだって真っ先に飛び出して守ってくれた。 雨の日だって、自分がずぶ濡れになっても、傘を全部私の方に向けて差してくれる人なのよ】 最後に、私は力強くこう書き添えた。 【最悪の結果になったとしても、せいぜい苦労するくらいでしょ?命まで取られるわけじゃないんだから】 ペンを置いた直後、紙の上に新たな文字が浮かび上がった。 【いいえ、あなたは死ぬことになるわ】
最後の願いは、貴方に弔いなき死を - 奇想天外 novels & stories
でで
私、入江日美子(いりえ ひみこ)は、この世に残された最後の人魚の末裔。生まれながらにして三度、わが身を削ったら天に願う禁忌の力を宿していた。 一度目は、恋い慕う男である横山清隆(よこやま きよたか)が死の淵を彷徨ったとき。私は腹に宿した赤子と、将来母となる未来のすべてを生贄とし、清隆の長命息災を乞うた。 二度目は、この哭海村(なきみむら)の網元・横山家が没落の危機に瀕したとき。私は積年の修行で得た霊力のすべてを代償に、横山家の再興と万事の安寧を祈祷した。 そして三度目。清隆の幼馴染である白井美紗緒(しらい みさお)が難産に苦しむと、あろうことか彼は私に、三度目の生贄となれと迫った。 美紗緒母子の無事を祈れと。 拒絶した私を、彼は荒くれ漁師たちが寝泊まりする「番屋」へと放り込んだ。 「一回につき十円だ。好きに抱け。どうせこいつは、孕まぬ石女だからな」 その夜、獣のような息遣いの中で、私は喉が裂けるほどに泣き叫んだ。 翌朝、障子の隙間から薄光が差し込む頃。 私は自らの命を最後の代償として、懐の勾玉に血を這わせ、最期の呪詛を詠った。 「我を欺き、辱めし外道どもよ……汝らが血脈、末代まで根絶やしとなれ。死して屍を拾う者なく、魂は永劫、無縁の闇を彷徨わん!」
豚殺しの逆襲人生 - 奇想天外 novels & stories
酸っぱいミカン
一年前の「百鬼夜行」の日、冥界の門が破られ、溢れ出した妖怪たちが人間界を蹂躙し、大虐殺を行った。 幸運にも生き残った者たちは皆、妖怪を退治する「異能」を覚醒した。 私に宿ったのは、命中すれば百発百中の必殺スキル。だが、その発動対象は「豚」限定だった。 そのため私は「最弱の役立たず」と蔑まれ、食堂の裏方で家畜の解体係としてあてがわれた。 そして一年後、妖気が最も強まる「百鬼夜行」の日が再び巡ってきた。基地は瞬く間に妖怪の群れに包囲される。逃げ道を作るため、恋人はあろうことか私の手足を拘束し、囮として妖怪の群れの中に放り込んだのだ。 「竜美、俺たちを恨むなよ。お前の異能何の役にも立たないから、この大災害の世の中じゃ、無能は死ぬのがお似合いなんだよ!」 彼は未亡人である義姉を大事そうに抱えて脱出用のバスに乗り込み、妖怪に喰らわれる私を見下ろした。 「お前の命で、俺たちのようなS級異能者が助かるんだ。光栄に思え。これぞまさに名誉の戦死ってやつだ」 彼は知らなかったのだ。私の「妄想症」が悪化していたことを。 そして、目に映るすべての禍々しい化け物たちが、私にはただの「豚」に見えていたことを。
兆円の遺産とマッチ三本、私はマッチを選んだ - 奇想天外 novels & stories
祖父が臨終の際、兆円の遺産と三本のマッチを残した。 「君たち姉妹で一つずつ選びなさい。真由美が姉だから、先に選べ」 私は迷わず兆円の遺産を選んだ。 義理の妹――竹田亜由美(たけだ あゆみ)は、たった三本のマッチを受け取るだけ。 ところが、あのマッチには、とんでもない力が秘められていた――火をつけて願い事をすれば、何でも叶う力。 妹は、両親が私ばかりを可愛がるのをずっと恨んでいた。真っ先に、彼女はマッチを擦った。 「あの二人が、惨めな最期を迎えますように」 案の定、父は突然の心臓発作で急死。母は病院へ駆けつける途中、大型トラックに跳ね飛ばされた。 私は包丁を手に、妹に詰め寄った。 「あんたが大人になったら遺産も分けるって、約束したよね!? 父さんと母さんが善意であなたを引き取ったんだよ!食べるものも着るものも、ずっと私と同じにさせてきたのに!どうして恩を仇で返すの!?」 妹の顔には、むき出しの欲望がにじんでいた。 「引き取るんなら、あんたを捨てて、全部私に譲るべきだったのよ! あんたが恵んでくれる遺産なんて、要らないわ。みんな死ねば、結局お金は全部私のものになるんだから!」 そう言い捨て、妹は冷たい笑みを浮かべ、二本目のマッチに火をつけた。 「竹田真由美(たけだ まゆみ)が山奥に売り飛ばされて、産む機械になって、難産で死にますように!」 私は青ざめた。ありったけの貯金をはたき、千人ものボディガードを雇い、鉄壁の警護を敷いた。 ……でも、ある深夜、全てのボディガードが同時に気を失い、私は結局、あの山奥に売り飛ばされた。 地獄の日々が始まった。私は豚や犬以下扱いの、ただの産む機械になった。 どれほどの時が流れただろう。激痛と屈辱の果てに、私は静かに息を引き取った。 そして、目を開くと――遺産を分配する、あの日に戻っていた。
死にたがりの私を、なぜか皆が愛し始めた - 奇想天外 novels & stories
金星鈴里
財閥の御曹司である九条海斗(くじょう かいと)と、午前中に入籍したばかりだというのに、その日の午後には、私たちは離婚届を提出するために再び役所を訪れていた。 手元に残されたのは、結婚届と離婚届受理証明書だけだ。 私・如月琴音(きさらぎ ことね)はその場で立ち尽くし、周囲を取り囲む彼の友人たちからの嘲笑を浴びていた。 「おい海斗、莉奈の一言のために、まさか本当に如月家のご令嬢と結婚して即離婚するとはな」 「見ろよ、お嬢様のあの顔、真っ青だぞ。泣くんじゃないか?」 しかし、海斗は如月家の養女である白石莉奈(しらいし りな)を愛おしそうに抱き寄せ、甘い声で囁いた。 「ほら、これで二つの受理証明書、揃ったぞ。 これで笑ってくれるか?」 莉奈は「ぷっ」と吹き出し、その澄ました顔に花が咲いたような笑みを浮かべた。 文句の一つも言ってやろうと踏み出したが、三人の兄たちに力ずくで止められた。 如月グループ総帥である如月家長男の如月大和(きさらぎ やまと)は、眉をひそめて言った。 「莉奈を笑顔にできるのは海斗だけだ。 お前も少しは弁えたらどうだ?」 トップ俳優である如月家次男の如月蓮(きさらぎ れん)は、私を地面に突き飛ばした。 「あの子は身寄りがなくて可哀想なんだ。 お前は恵まれているんだから、男の一人や二人、くれてやれ」 生物学教授である如月家三男の如月湊(きさらぎ みなと)は、冷たい表情で告げた。 「海斗は最初から彼女と結ばれるべきだったんだ。二度と二人の邪魔をするな」 心の奥底にいる「最愛の人」の幸せを、私なんかに邪魔させないために、彼らは私を無理やり車に押し込んだ。 その時、長い間沈黙していたシステムがついに起動した。 【プレイヤー様、攻略ミッションの完了を確認しました! 直ちに元の世界へ帰還しますか?】 後部座席に座り、私は憂鬱なふりをして窓外を眺めたが、危うく笑い出しそうになった。 ミッションのために演じてきたこの茶番劇も、ようやく終わりだ。 彼らの茶番になんて、もう二度と付き合ってられないわ!
子なしを誓った夫、義妹と双子を作ってました - 奇想天外 novels & stories
八つ橋
黒川修造(くろかわ しゅうぞう)と連れ添った三十年。私・佐倉青葉(さくら あおば)は、不運にも十五回もの流産を繰り返した。 四十歳になった年、医師から非情な宣告を受けた。 「もう二度と、子供を授かることはできません」 それを聞いた修造はひどく悲しみ、私を安心させるためだと言って、その日のうちにパイプカット手術を受けてくれた。 …… 修造の還暦祝いを目前に控えたある日。義理の妹である佐倉百合(さくら ゆり)が、都会から男女の双子を連れて、祝いにやってきた。 その時、思いもよらず彼女の「心の声」が聞こえてきた。 [青葉は本当に、骨の髄までおめでたい女ね。自分が不妊になるよう仕組まれたとも知らずに、私と修造の子供を二十年も育ててくれたんだから] 悲しみに暮れる間もなく、今度はその双子の声が響いた。 [親父の還暦祝いが済んだら、このババア名義の財産を全部俺たちに相続させて、さっさと叩き出してやろうぜ] …… 私は、手の中にあった実家の立ち退き通知を、きつく握りしめた。 口角に、冷たい笑みが浮かぶ。 天に感謝しなくては。この者たちの、あまりにも薄汚い本音を聞かせてくれたことに。 だったら、この五千万円の立ち退き補償金も、私一人で独占させてもらうわ。
未来からの電話、裏切り者への断罪 - 奇想天外 novels & stories
ちょうどいい
結婚を控えたある日、私、佐藤優花(さとう ゆうか)は三年後の自分からかかってきた電話に出た。彼女は「楓斗と結婚しちゃダメ」と忠告してきた。私はただの、彼が心に秘める「忘れられない人」の身代わりに過ぎないのだと。 しかもその人とは、私の親友であり、私たちの結婚式でブライズメイドを務める女性、鈴木愛音(すずき あいね)だった。 当然、私はそんな話を信じなかった。 しかし火災が発生した際、高橋楓斗(たかはし ふうと)が一切の躊躇なく私を置き去りにし、愛音を抱きかかえて火の海から逃げ出したことで、私はついに悟った。楓斗が一番愛しているのは私ではないのだと。 結婚式当日、私はウェディングベールを脱ぎ捨て、指輪を投げ捨てて、楓斗と愛音が思い通りに結ばれるよう、潔く身を引いてやることにした。 後になって聞いた話だが、帝都随一の権力を誇り、誰よりも高貴だったはずの御曹司である楓斗が、まるで浮浪者のように地面に這いつくばって、私が捨てた指輪を探し回っていたそうだ……
彼の助けなど、私には必要ない - 奇想天外 novels & stories
十五夜
谷口翔(たにぐち しょう)にプロポーズされた日、私たちは自分たちがとある運命に翻弄される物語の中にいると知った。 彼はこの物語の主人公。つまりは、ヒロインを救うために存在するのだ。 そして私はといえば、名前すら与えられていない、ただの脇役にすぎなかった。 だが、翔は目を真っ赤にしながら、私の手を引いて役所へと向かう。勢いのまま婚姻届を出すと、周りのことなど一切気にせず、私との盛大な結婚式まで挙げた。 彼は私を強く抱きしめてこう言った。 「日和(ひより)。運命なんてくそ食らえだ。俺が信じてるのは、お前を愛してるってことだけだから」 私たちは、誰もが羨む仲の良い夫婦だった。 こうして二人で幸せに暮らし、静かに老いていくものだと信じていた。 しかし、結婚して3年目のことだった。この物語のヒロインが酒に酔ったまま逆走し、狂ったようにバイクを飛ばして、まっすぐ私に突っ込んできたのだった。 反射的にハンドルを切った私は、ガードレールに激突した。 体は血だらけで、運の悪いことに、ガラスの破片が心臓に突き刺さっていた。鼓動のたびに命を削る激痛が走る。 助手席に座っていた翔は、呆然としていたものの無傷だった。 翔はなんとか車の中から這いずり出し、倒れ込んでいる相手を見た。その瞬間、彼の顔が真っ青になる。 「莉奈!」 その名前を聞いた瞬間、私は自分の体から血の気が引いていくのが分かった。 宮本莉奈(みやもと りな)。それがこの物語のヒロインの名前だったから。
攻略失敗で死んだ私と、崩壊する彼ら - 奇想天外 novels & stories
冷泉
物語の舞台であるこの世界に転生して、システムから4人の攻略対象が割り当てられた。 彼らのうち誰か1人でも恋に落とせば、元の世界で交通事故で死んだ私は生き返ることができる。 けれど、その4人とも私に落ちることはなかった。 彼らが揃いも揃って、この世界の原作ヒロインに惹かれていたからだ。 その結果、4人は口を揃えて私に酷い言葉を投げかけ、死ねと言い放った。 最後は、任務に失敗した絶望で自ら命を絶ってこの世界を去った。 けれど、私の死体を見た彼らは、取り乱して泣き崩れた。
十年の見果てぬ終曲 - 奇想天外 novels & stories
緋色の追憶
高柳寧々(たかやなぎ ねね)は悪性脳腫瘍を患い、余命わずか一月と宣告された。 その日、診断書を受け取った直後、脳内でシステムの機械的な声が響いた。 「宿主様、もう一度並行世界に戻っていただけませんか? かつてあなたが攻略した対象・菅野春樹(かんの はるき)が、ハッキング技術であなたの世界の座標を特定しようとしています。その影響で、空間の安定が大きく損なわれています。 それから、あなたの息子・菅野優希(かんの ゆうき)にも、精神的な問題が生じています」 システムの機械的な声を聞きながら、彼女は十年前のことを思い出した。それは、ほとんど忘れかけていた攻略任務だった。 寧々は診断書を握りしめ、指先は冷たくなっていた。 「戻っていただく期間は、たった一か月で結構で、その後現実世界に帰還できます。報酬として、あなたの癌を完治させます。それに、追加で賞金もご用意します」 がんが治るというのは、とても大きな誘惑だった。 しかし、かつて自分を裏切った夫は、親友と浮気したあげく、娘を死に追いやったのだ。そして息子は、恩知らずだった。 そんな二人に再び向き合うことを思うと、彼女の心に癒えることのない傷が再び蘇った。 だが、たった一か月で、健康な体を取り戻せるというのなら、これは悪くない取引だ。
拾った夫は主がいた - 奇想天外 novels & stories
緋色の追憶
【ヒーローはストックホルム症候群なんだから、ヒロインはもう少し思いやりを持てないの?】 【そうだよ、病人にそんなにこだわってどうするの……】 【ヒロインはヒーローが本当に自分を愛しているって信じなきゃ。彼は病んでいるんだ。救えるのは君だけなんだから】 楚山晴美(そやま はるみ)は目の前を漂う半透明の文字列を見つめると、腰のあたりに新たに浮かび上がった大きな紫色のあざが目に入った。 それは、さっき藤原涼太(ふじわら りょうた)に突き放され、テーブルの角にぶつけたときにできたものだ。 彼女はコメントを見て、それから自分のあざを見る。 ある思いが、はっきりと脳裏に浮かぶ――涼太は本当に私を愛しているのだろうか。 彼女が初めて涼太に出会ったのは、三年前の幼稚園のフェンスの外だった。 彼はプラタナスの木の下に立ち、中で遊ぶ子どもたちを見つめていた。その瞳は、まるで水の枯れた井戸のように、虚ろだった。 外へ出て尋ねると、彼は長い沈黙を置き、ようやく口を開いた。「ただ……普通の人がどうやって生きているのか、それを見たかっただけだ」
PREV
12345
Related Tags of Short Novels
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status