短編恋愛 のストーリーと小説

情熱の深淵を探求する魅惑的な 恋愛 短編ストーリーのコレクションをご覧ください。 恋愛 についての想像力を刺激し、燃え上がらせる 1 時間の短編小説を探している読者に最適です。
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人気のあるおすすめ評価更新
瓦礫に沈んだ命 - 恋愛 小説 & 故事
幽霊目線
愛人
ひいき/自己中
クリームシチュー
震災から四十八時間が経過していた。私は廃墟の下敷きとなり、すでに完全に息絶えていた。 三歳の息子、森永浩之(もりなが ひろゆき)は狭い隙間に閉じ込められ、私の傷口から滲み出る血を舐めることで、かろうじて命を繋いでいた。 トランシーバーから、夫である森永行人(もりなが ゆきと)の苛立ちに満ちた怒鳴り声が響いてくる。 「街中が震災救助に追われているっていうのに、よりによってこんな時に失踪か?非常時だって分かってるのか?」 パパの声を聞いた息子は、泣きじゃくる幼い声でトランシーバーに向かって叫んだ。 「パパ、ママね、寝ちゃったの。もうすぐおうちに連れてってくれるって言ってたよ。 ママの言うことを聞いて、イチゴジュース全部飲んだよ。でも、ママ、どうしてまだ寝てるの?」 通信の向こう側が、一瞬にして静まり返った。直後、行人が半狂乱になり、ショベルカーを速く動かせと怒鳴り散らす声が響き渡った。 救助を待つばかりの息子を見つめながら、私はほっとしたように微笑んだ。 行人、おめでとう。あなたを苛立たせてばかりいた妻は、ようやく望みどおり消えてあげられる。
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婚約者に裏切られた私は、幼なじみを選ぶ - 恋愛 小説 & 故事
親友
不倫
切ない恋
ソアキ
私の名前は安藤恵理子(あんどう えりこ)。 結婚式の前日、婚約者の木寺大介(きでら だいすけ)が酔いつぶれた。 彼を家まで送る途中、私のことを私の友達・清水早苗(きよみず さなえ)だと勘違いした。 「早苗、明日子供を式場に連れて来るなよ。俺が実父なんて恵理子にバレたらまずいから」 急ブレーキの衝撃で、大介は座席にぶつかり、酔いがさめた。 私だと分かると一瞬呆然とし、ゆっくり口を開いた。 「聞いてしまったのか?悪いが、結婚式は一旦延期する。安心しろ。早苗は結婚する気はない。だが彼女と子供ができたんだ。責任を取らなきゃならない。 お前の親友だろ? 彼女が一人で子供を育てるのが可哀想だと、お前も思うだろ?だから結婚の話はその子供が小学校に上がってからにしよう」 私は無理矢理笑みを作った。「……ええ、わかった」 家に着くと、彼は何も言わずスーツケースを引きずってその場を去った。 私は涙を拭い、ベッドに座ってぼんやりしていた。 その時、携帯が鳴り響き、幼なじみが嗄れた声で言った。 「恵理子、彼と結婚するのはやめてくれ。頼むよ」 私は少し沈黙した。 「うん」
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7年間支えた弁護士夫に捨てられ、目が覚めた - 恋愛 小説 & 故事
愛人
ひいき/自己中
後悔
アカリ
法律事務所で999件連続で勝訴した。それを受けて、長年結婚の事実を隠していた弁護士の夫・渡辺翼(わたなべ つばさ)が、ようやく私・高橋凛菜(たかはし りんな)との結婚式を挙げることに同意してくれた。 けれど、日が暮れても翼は現れなかった。代わりに私が見たものは、彼がパラリーガルの杉本日和(すぎもと ひより)と結婚式でキスをしている、インスタの投稿だった。 【さっき同僚に『売れ残り』ってバカにされたけど、弁護士の彼が助けに来てくれた。これから、昼は彼の優秀な部下、夜は彼の愛する妻になるわ】 写真の日和のひとと翼の薬指にはめられた結婚指輪が、やけに目に焼きついた。 きっと誰もが、私が怒りで我を忘れると思っただろう。でも私はあっさり笑って、こうコメントをつけた。 【次は赤ちゃんだね!ご祝儀、たっぷり包んであげる!】 すると次の瞬間、一日中電源を切っていた翼のほうから、電話がかかってきた。 「日和は妊娠したのに、相手のクズ男に捨てられたんだ。彼女の両親はすごく保守的な人たちだから、このことがバレたら、きっと勘当されてしまう。お腹の子とどうやって生きていけっていうんだ。同じ弁護士なのに、君には少しも同情心がないのか? 今すぐあのコメントを消して、日和に直接謝罪するんだ。彼女が何の問題もなく無事に子供を産めたら、君との結婚式はちゃんとやり直すから」 でも、私は手にした離婚訴訟の書類を見つめながら、ただ冷ややかに笑った。 「もう必要ないわ。あなたは、私たちの離婚裁判の準備でもしていればいい」
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5.1K
港町に雪が再び降った - 恋愛 小説 & 故事
ひいき/自己中
愛人
切ない恋
マリモ
町で最も有名な天気予報アナだったが、私・田中圭子(たなか けいこ)の予報が一度も当たったことはなかった。 長い間そんな状態が続くうちに、それが町中の常識になっていた。 港町では、雨が降るか雪が降るかは、夫の白井哲夫(しらい てつお)の愛人が泣くか笑うかで決まるのだった。 一秒前までテレビで「大雪注意報です」と伝えていたのに、次の瞬間には曇り空が晴れ間に変わった。 直属の上司が皆の前で、皮肉たっぷりに言う。 「以前は局の看板アナだったのに、もう時代遅れなんじゃない?旦那さんが資金を出して人工的に天気を操作しているのに、君の予報に誰が耳を傾けるって言うの?」 隣にいた同僚が、容赦なく付け加えた。 「噂だとね、旦那さんの新しい愛人は寒がりなんだって。そしたら港町、半年も雪ひとつ降らないだろうな?圭子さん、減給で首が回らなくなるんじゃないかって心配だよ」 私は十数枚の減給通知を握りしめ、何も言えなかった。 家に帰ると、表情一つ変えず、それらを哲夫に投げつけた。 「自分の始末は自分で払いなさいよ。白井夫人なんて肩書き、欲しい人に譲ってあげる」
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私を冷蔵庫に詰めた後、彼は狂った - 恋愛 小説 & 故事
愛人
幽霊目線
ひいき/自己中
寧心
夫は、初恋の相手が鼻血を少し流しただけで、罰として私を冷蔵庫に押し込み、反省文を書かせた。 「ロープで冷蔵庫ごと縛って地下室に放り込め。こいつをしっかり償わせろ」 私は必死に冷蔵庫を叩き続け、血を流しながら、外に出してほしいと泣いて懇願した。 だが彼は初恋の相手を連れて南極へ行き、ペンギンを見てスキーを楽しんだ。 一週間後、旅行から戻ってきた彼が冷蔵庫を開けると、私の死体があった。そこで彼は完全に狂ってしまった。
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死後、クズ息子をクズ夫の初恋相手に譲り渡した - 恋愛 小説 & 故事
幽霊目線
愛人
ひいき/自己中
クカ
大物俳優である夫、深津蒼介(ふかつ そうすけ)が、息子を連れて親子バラエティ番組に出演した。 その途中で、息子が思いがけず迷子になり、人気トップ女優が彼を背負って森を出てくる場面が、感動の名シーンとなった。 病院では、三人が、まるで本当の家族のように和やかだった。 記者が息子に尋ねた。 「お母さんも現場にいたと聞きましたが、姿が見えませんでしたね?」 息子は小さな顔を上げ、無邪気に答えた。 「ママは僕のことが嫌いなんだ。きっと先に帰っちゃったんだよ」 夫は眉をひそめ、私にメッセージを送った。 【子供がこんな目に遭ったというのに、他の男と浮気か?いい度胸だ、二度と俺の前に現れるな】 彼が知る由もなかったのは、息子が落ちたその穴の中に、私の死体も残されていたということだ。
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爆弾専門家である夫との対決 - 恋愛 小説 & 故事
逆転
ドロドロ展開
愛人
マヨネーズ
息子の哲也(てつや)が幼稚園から拉致された。 見つかった時、彼の小さな体には時限爆弾が仕掛けられていた。 私は安井薫(やすい かおる)。夫の伊藤一輝(いとう かずき)は、全国トップクラスの爆発物処理の専門家だ。 一輝は急いで現場に駆けつけた。 私は車内で、モニター画面をじっと見つめていた。 画面には、頭に粗末な麻袋を被らされ、全身が激しく震えている哲也が映っている。 一輝の初恋でありアシスタントでもある夏目奈々(なつめ なな)も現場に入っていた。 彼女は爆弾処理に行きたいと言い出した。 「一輝さん、私にも爆弾処理を手伝わせて!私だって、一輝さんのように人を助けたいの!」 一瞬の沈黙の後、一輝は優しい微笑みを浮かべた。 「落ち着いて。赤い線を切ってくれ。万一の時は、俺が責任をもつ」 奈々は覚悟を決めたように、ハサミを手に取った。 一瞬のためらいもなく、彼女はあの青い線を切った。 次の瞬間、爆弾のカウントダウンが、10分から一瞬で残り10秒へと切り替わった! 一輝と奈々は表情を一瞬で変え、パニック状態でその場から逃げ出そうとした。 私は焦り、哲也の元へ駆け寄ろうとした。 その時、小さな手が私の裾を引っ張った。 「ママ……パパが翔太(しょうた)をきっと助けてくれるよね……?」 ふと我に返ると、なんと私のそばに、哲也が立っていることに気づいた。 突然、今朝哲也が言ったことを思い出した。 「ママ!翔太が今日、どうしても僕と服を交換したいって言うんだ。僕の服の方がかっこいいって!」 翔太は奈々の息子、つまり哲也の腹違いの弟である。
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もう君の兄をやめたい - 恋愛 小説 & 故事
ドロドロ展開
禁断の恋/疑似近親相姦
後悔
伽耶
清子の兄として十年も過ごしてきたが、もうやめたい。 僕は地面に落ちたタバコの吸い殻を踏み消し、彼女に言った。「清子、僕と結婚しない?」
5.2K
港都のいい子ちゃん、やめました - 恋愛 小説 & 故事
執着
甘々シリアス
愛人
マリモ
私は水瀬静香(みなせ しずか)。この港都市で、誰もが知る「従順な妻」だった。 夫の桐生彰人(きりゅう あきと)が「離婚届なんて、愛人を喜ばせるための小道具にすぎない」と言い放てば、私は八回判を押させられたが、結局は引き止められた。 就寝前のホットミルクにピルが仕込まれていると知りながら、私はそれを一滴残らず飲み干した。 社交界の噂好きたちは、口元を隠してこう囁き合う。「桐生夫人は、玉の輿に乗る前、悟りでも開いたのかしら。まるで聖女のような忍耐力ね」と。 けれど、彼らは知らない。 あの日、最初の復縁を決めた瞬間から、私の瞳には「金」という文字しか映っていないことを。 港都市のマダムたちが集う夜会。 私の座るべき場所には、彰人の新しいお気に入り――奨学金で大学に通う苦学生、佐藤梨花(さとう りか)が座っていた。彼女は主賓席に収まり、得意げに微笑んでいる。 対する私は、使用人たちと同じテーブルにつき、気配を消すように静かに座っていた。 彰人は、嘲りを隠そうともせず私を見据えた。 「今夜は帰らない。田舎から、梨花の従兄がボロい軽自動車で迎えに来てるそうだ。お前も一緒に田舎へ帰ったらどうだ?」 周囲の人々が、私とその薄汚れた男はお似合いだと嘲笑する中―― 私はただ、従順に頷いた。 けれど、私が軽自動車のドアに手をかけた、その瞬間だった。 彰人の車が、アクセル全開でこちらへ突っ込んできたのだ。
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記憶喪失、3人のイケメン御曹司をATM扱い - 恋愛 小説 & 故事
スカッと
ひいき/自己中
クズ男
夏ノ黙
医者によると、私は交通事故で頭を打って「解離性健忘」になったらしい。一番大好きな人のことだけが、鮮明に残っているという。 病室のドアが乱暴に蹴り開けられた。そこに立っていたのは、東都で最も厄介だと言われる、あの三人組の御曹司たちだ。 太田正人(おおた まさと)は目を真っ赤にしていた。「葵(あおい)、お前が覚えてるのは、俺だけだよな。なんたって、俺のためなら命も惜しくないって言ってたんだから」 金子渉(かねこ わたる)は数珠を指で弄び、冷たい声で、でも確信に満ちた様子で言った。「葵、俺がいなきゃダメなんだって、そう言ったのは君だろう」 工藤竜也(くどう たつや)は、わざとらしく色気を漂わせて笑った。「葵、しらばっくれるのはやめてよ。僕たち、昨日の夜もあんなに……忘れるわけないでしょ」 昔は私をパシリ扱いしてたこの男たちを前に、私はゆっくりと一冊の手帳を取り出す。それは、彼らが宝物みたいに大事にしている、赤い手帳だ。 最初のページを開くと、そこには【太田正人:1000000】とだけ書かれていた。 正人は大喜びして、残りの二人に向かってドヤ顔をした。「ほらな!やっぱりお前の中で、俺が一番なんだよ!」 渉と竜也の顔が、途端に曇った。だって、二人のページはまだゼロのままだったから。 その場がシーンと静まり返る中、正人だけが、賞状をもらった小学生みたいにはしゃいでいた。 私は微笑みながらも、優しい目つきで正人を見つめた。もちろん、心の中では思いっきり悪態をついていたけど。 このアホ。 それはあなたが先月、私に払ってないパシリ代の100万円だろう? 今日、利子付きできっちり払ってもらうまでは、誰もこの部屋から出しやしない。
4.5
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豪雨の後に枯れた愛 - 恋愛 小説 & 故事
幽霊目線
切ない恋
愛人
大晦日の夜、年越し蕎麦の香りが部屋いっぱいに漂っていた。 おばあちゃんが古びた写真を持ってきた。端がすり切れるほど触られた一枚だ。 「蒼はもうすぐ帰ってくるんじゃないかい?」 言葉に詰まった。 三年経っても、おばあちゃんはいつも忘れてしまう。弟はもうとっくにいない。 骨壺を受け取りに行ったのは、私だった。 そこへ、スマホが鳴った。 その名前を見た瞬間、全身の血が凍りついた。 「何か用?」 向こうの声は嗄れていた。 「もう三年だぞ。まだ怒ってるのか? 俺と息子はずっとお前の帰りを待ってる、今、下にいる」 私は窓際に近づいて、下を見た。大きな影と小さな影が並んで立っていた。 電話の向こうで、息子が泣きそうな声で「ママ」と呼んだ。 私は静かに答えた。 「私たちはとっくに離婚した。息子も、私についてこないと言ったでしょう」 言い終えて、電話を切った。
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冷血の烙印と追放の代償 - 恋愛 小説 & 故事
逆転
スカッと
愛人
キミズ
私は共感能力がゼロのサイコパスだ。 兄が溺れた時、私は冷静に最適な救助タイミングを計算した。一秒遅ければ彼は死ぬ、一秒早ければ彼への罰が甘くなってしまう。 父の会社が罠にはまった時、私は無表情にハッキングを行い、相手の犯罪証拠をまとめて相手側の法務部に送った。 母が浮気相手に嫌がらせされた時、私はあの女のスキャンダルを徹底的に印刷し、彼女の住むマンションに張りまいた。 家族は私の冷血さを恐れつつ、同時に私の能力に依存している。 やがて、とある特殊機関が私に連絡し、百年に一人の天才スパイだと評価し、私をスカウトしてきた。 養女として迎え入れた妹が追いかけてきて、私に弱音を吐いた。 「姉ちゃん、本当に行っちゃうの?私たちこれからどうすれば……」 私は振り返り、淡々と言った。 「計算によると、私がいなくなった37日後に99.8%の確率でこの家が潰れるわ。頑張ってね」
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女性恐怖症の夫が男性の部下を妊娠させた!? - 恋愛 小説 & 故事
逆転
ドロドロ展開
愛人
チチ
夫に手作りの料理を届けに行った時、彼はまだ手術の真っ最中だった。 市内でも有名な天才歯科医である彼には、重度の女性恐怖症がある。 彼のクリニックのスタッフは全員男性だ。以前、彼は私に出会えてよかった、でなければ一生結婚できなかっただろうと、ひどく喜んで言っていた。 だが今日、彼の専用休憩室にあるゴミ箱の底には、口紅がべっとりとついた丸まったティッシュが落ちていたのだ。 取り替えたばかりの新しいゴミ袋の中は空っぽで、その底に横たわる、鮮やかすぎる「スターダストピンク」の色だけが、酷く目に焼き付いた。 詳しく見ようとしたその時、突然ドアノブが回った。 夫がドアを開けて入ってくる。ツンとした消毒液の匂いを漂わせながら、ごく自然に私を抱きしめた。 「静香(しずか)は優しいな。わざわざ料理を届けてくれるなんて」 私は体をこわばらせたまま抱かれ、胃がひっくり返りそうになるのを堪えながら言った。 「会いたくなったから、様子を見に来たの」 クリニックを出て車に乗り込むと、私は私立探偵をしている親友にメッセージを送った。 【クリニックの監視カメラの映像、直近三ヶ月分のバックアップが全部欲しい】
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深く愛した果てに、結末はあまりにも淡く - 恋愛 小説 & 故事
切ない恋
愛人
ひいき/自己中
こぐまミルクフォーム
結婚も間近に迫っていたある日、江本清司(えもとせいじ)が招待状を手に私と招待客の名簿を確認していたとき、何の前触れもなく、こう言った。 「話がある。 俺、法律上はもう妻がいるんだ。 君さえ気にしないなら、招待状はそのまま出す。式も予定どおりやる」 彼は何でもないことのように煙草に火をつけ、気のない口調で言い添えた。 「昔、家に押しつけられたんだよ。受け入れた以上は、責任くらい取らないとな」 頭の中が真っ白になった。 しばらくして、ようやく声を絞り出した。 「じゃあ、この六年……私たちは何だったの?」 「俺が最低だったってことだ」 彼は灰を落としながら言った。 「で、これからどうするかは、君が決めろ」 下腹に添えていた手が、かすかに震えた。 そこには、今日こそ彼に伝えようと思っていたサプライズがあった……
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捧げた想いは、届かなくて - 恋愛 小説 & 故事
切ない恋
愛人
ひいき/自己中
ちょうどいい
誕生日当日。 六年付き合った恋人、柏木恒一(かしわぎ こういち)は、私にプロポーズするはずだった。 だが現場に駆けつけた私が目にしたのは、本来なら私のために用意されていたはずの指輪を、別の女に差し出す彼の姿だった。 恒一は、悪びれる様子もなく淡々と言った。 「恩師の奥様が不治の病なんだ。最期を迎える前に、優月(ゆづき)の花嫁姿を見たいそうなんだ。いい子で待っていてくれ。長くても三か月だ」 ――その一か月後。 私は栄都市随一の富豪と盛大な結婚式を挙げた。 式場に駆け込んできた恒一は、息を切らして復縁を懇願した。私は薬指に輝く十カラットのダイヤをひらりと掲げ、微笑んだ。 「悪いけれど恒一。私、もうあなたに割く時間はないの。どうぞ大人しく列に並んでちょうだい。来世なら、まだチャンスがあるかもしれないわよ」
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奈落に散る、十年の嘘と贖罪 - 恋愛 小説 & 故事
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本物と偽物のお嬢様
ひいき/自己中
宝田元
私の妹、高橋羽衣(たかはし うい)は、極度の愛情飢餓を抱えた地雷女だ。 彼女の人生最大の執着、それは私、高橋咲茉(たかはし えま)の持ち物を奪うこと。 幼い頃は両親の愛を、大人になってからは恋人の愛を奪おうとした。 彼女は若さを武器に、大学教授である私の恋人のベッドに何度も潜り込んだ。 「お姉ちゃん、あなたのものは全部私が奪ってやるんだから!」 彼女は牙をむいて挑発してくるが、その度に黒木奏多(くろき かなた)に無慈悲に放り出されていた。 「俺は咲茉のものだ。誰にも奪わせない」 私の妹であることに免じて、奏多は根気強く彼女を傍に置き、その更生に力を貸してくれていた。 羽衣が騒ぎを起こすたびに、奏多は容赦なく彼女を少年院へと叩き込んだ。 25歳の誕生日、私は警察の昇任試験に合格した。 羽衣がケーキを持ってやってきた。その瞳の奥からは、かつての刺々しさが完全に消えていた。 奏多は片膝をつき、差し出した婚約指輪が暖かな光を反射して煌めいている。 友人は皆、仕事も恋も順風満帆だと言ってくれた。 反抗的だった妹さえも更生させた、人生の勝ち組だと。 ――あの日。初めての風俗店摘発任務で、ホテルのドアを蹴破るまでは。 そこで私が目にしたのは、羽衣に跨がれ、なすがままに快楽を貪るに任せる奏多の姿だった。
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ロマンスの始まり - 恋愛 小説 & 故事
切ない恋
愛人
ひいき/自己中
一時
年末のこの日、音楽アプリが私、篠原茜(しのはら あかね)の「2025年度リスニングレポート」をポップアップで通知してきた。 キーワードは、「共鳴」 今年、私自身の再生時間はそれほど多くない。このアカウントはずっと、恋人の橘奏太(たちばな そうた)が使っていたからだ。 その下には、小さな文字でこう記されていた。 【12月1日午前4時、あなたはまだあの人と、同じ曲を共有していた。曲名は『愛とは、眠れぬ夜を共にすること』】 私は息を呑んだ。 12月1日は私の誕生日だ。だがその日、私は早々に眠りについていた。 奏太はケーキを切り分けるやいなや、「会社に戻って残業がある」と言って慌ただしく出て行ったはずだ。 何かに取り憑かれたように、震える指で、頻繁にインタラクションのあるその見知らぬアイコンをタップした。 相手の年度キーワードは「独占」 心臓が跳ねる。詳細を開く。 【今年、あなたはこのユーザーと深夜に688回、同じ曲を聴きました。その一回一回が、魂の囁きです】 その直後、奏太からラインの通知が届いた。 【今夜も残業になりそうだ。待たなくていいから、先に寝ててくれ】 一方で、あの見知らぬアカウントはたった今、タイムラインを更新していた。車の中で、二つの手が恋人繋ぎをしている写真だ。 【奏太さんと一緒に残業するのが一番好き。私たち、一生同じ歌を聴いていこうね】
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灰色の檻を抜けて、光の明日へ - 恋愛 小説 & 故事
甘々シリアス
逆転
愛人
ちょうどいい
三年前、恋人の須藤悠真(すどう ゆうま)は国内有数の富豪の令嬢に取り入り、私、芳賀結希(はが ゆうき)を捨てた。 帰宅途中に暴漢に襲われ、凌辱された末に荒れ野に捨てられて死を待っていた私を救い出してくれたのは、黒川湊斗(くろかわ みなと)だった。 故郷を離れ、格安アパートで同棲した三年間の平穏な生活は、私に未来への希望を抱かせてくれた。 一生妊娠できないと宣告されていた私が、妊娠検査薬を手に湊斗へこの吉報を伝えようとした時、彼が誰かと話している声が聞こえてきた。 「お坊ちゃま、お嬢様がそろそろ遊びを切り上げて戻るようにとおっしゃっております」 「……もう少し、待て」 「まさか……あの芳賀結希とかいう身寄りのない女を本気で好きになったわけではありませんよね? 彼女の男を奪い、さらに暴漢に襲われるよう仕向けたのがあなたの実の姉だと知ったら、恐らく……」 「黙れ!俺がこんな下賤な女を好きになるわけがないだろう。ただの遊びだ。なるべく早く帰ると姉さんに伝えておけ」 私が救済だと思っていたものは、またしても運命が仕掛けた残酷な悪戯に過ぎなかった。
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遠距離恋愛の末、七年間付き合った彼と別れた - 恋愛 小説 & 故事
切ない恋
愛人
ひいき/自己中
紗々
元日のことだった。 国際遠距離恋愛にきっぱり終止符を打つため、彼氏の篠原蒼生(しのはら あおい)は、十数時間のフライトで帰ってくる。 その時、なんとなくスマホをスクロールしていた私の目に、ある掲示板のスレッドタイトルが飛び込んできた。 【愛って、距離を乗り越えられるのか?】 一番「いいね」がついているコメントは以下のようだった。 【乗り越えられないな。 国際遠距離恋愛なんて、会うたびに何万キロも移動しなきゃならないし、片道で平気で十数時間もかかる。 やっと会えたと思っても、すぐにまた別れの時が来る。そこから先は、また長くて終わりの見えない離れ離れの日々だ。 どれだけ熱烈な愛だって、その十数時間の移動と待ち時間ですり減って、消えていくんだよ。 もうすぐ彼女とは998回目の再会になる。飛行機を降りたら、そろそろ、この関係を真剣に見直そうと思ってる】 読み進めるうちに、胸の奥がギュッと締め付けられた。 蒼生にこのスレをシェアして、「わかるかも」なんて感慨深げに語り合おうとした、ちょうどその時。 彼が離陸前に送ってきたメッセージが、画面にポップアップで表示された。 【ひな、これが俺たちの998回目の再会だね。 着いたら、話したいことがあるんだ】
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エリート夫の遅すぎる後悔 - 恋愛 小説 & 故事
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愛人
ひいき/自己中
アカリ
娘の寧々(ねね)が六歳になったあの年、彼女は重い病に倒れた。 私が巨大グループ企業の統括部長を務める夫、桐生蒼介(きりゅう そうすけ)に半月も懇願し、ようやく彼の赴任先にあるグループ系列の総合病院で娘を治療させる許可を得た。 入院した日を除き、その後の三ヶ月間、彼は一度も娘の病室に姿を見せなかった。 四ヶ月目に入った頃、私は偶然、二人の看護師の雑談を耳にした。 「聞いた?今日、系列劇団の舞台セットが突然崩れてね、桐生部長が何も言わずに、怪我をした水瀬玲奈(みなせ れいな)さんを抱きかかえて病院に飛び込んできたのよ。大勢の人の前であんなに親密そうにしてるんだから、きっともう裏で入籍の手続きも進んでるんでしょうね!」 心臓が冷たく沈み、さらに話を聞こうとした瞬間、一人の看護師が私を見て露骨に白い目を向け、もう一人に言った。 「ほら、あそこの女。桐生部長の田舎の親戚よ。娘を連れて、私たちの系列病院にまでおこぼれに与りに来たんだから、本当に厚かましいわよね」 田舎の親戚。私と娘のことだろうか。
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