Short Stories & Novels

Explore a diverse collection of captivating short stories that span various genres. Perfect for readers looking for quick literary escapes and engaging narratives.
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君の影、永遠に届かず - All novels & stories
ゆたか
彼氏がプロポーズしてきたその日、一本の電話で彼は呼び出されてしまった。 そして私は大勢の前で、彼の初恋の女性に強い酒を無理やり飲まされた。 「曜太が飲めないなら、あなたが代わりに飲みなさい。これまでもずっと代わりに飲んできたんでしょ?」 四年もの間、心臓病を患う水野曜太(みずの ようた)を必死に守り続けてきた私への報いは、彼からの平手打ち一つだった。 その後、私が曜太の母親を刑務所送りにした日、彼は病床にひざまずき、私に泣きながら結婚を懇願していた。 残念ながら、私ももうすぐ死んでしまうのだ。
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来世では、二度と出会わぬように - All novels & stories
水瀬
肺がんの末期。私、白石一花(しらいし いちか)は最後となった誕生日に息を引き取った。 厳冬のさなか、大きな牡丹雪が空からひらひらと舞い落ちる。私は冬が好きだ。そして、この季節に永眠できることを、どこか幸運だとも思っている。 人生の最期の瞬間。頭に降り積もる雪を見つめながら、私はようやく、佐藤時安(さとう ときやす)と「白髪を共にする」という願いを叶えたような気がした。 私の方へと駆け寄ってくる時安を視界に捉え、私は微かに唇を動かした。「さようなら」 来世では、あなたに出会わないように。そして、あなたを愛したりしないように。
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愛が消えゆく時 - All novels & stories
アスカ
水無月雪(みなづき ゆき)は、望月陽介(もちづき ようすけ)と5年間、籍も入れずに一緒に暮らしてきた。 この5年間で、二人は新居を買い、雪の好みに合わせた内装にリフォームした。 雪は、陽介からプロポーズされる日を夢見ていた。しかし、ある日、陽介が母にこう話すのを聞いてしまった。 「心変わりなんてしてないよ。俺は雪をずっと妹のように思っていた。男女としての好意を持ったことは一度もない。 いいか、お母さん。俺の嫁は萌しかいないんだ」 ……
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白く染まる悔恨 - All novels & stories
皆無
誰もが、名家である土方家が最も重んじるのは釣り合った家柄だと知っている。 だが土方安雄(ひじかた やすお)は、よりにもよって一般人の如月真白(きさらぎ ましろ)に恋をし、彼女でなければ結婚しないつもりだ。 彼女と結婚するため、安雄は兆単位の財産を捨てることも厭わず、真白と十平方メートルの地下室で暮らした。 彼女に少しでも良い生活をさせるため、御曹司である彼は皿洗いの仕事をするしかなく、毎日手が血だらけになるまで洗い続けた。 彼女の無事を願う一心で、彼は千回も地に額をつけ、仏様に彼女の一生の安泰を祈り続けた。 真白は、彼らがこのままずっと、平凡でも幸せに暮らしていけると思っていた。 しかし彼女が重い病に倒れ、命の危機に瀕したとき、一度も頭を下げたことのなかった安雄は土方家に助けを求めた。 その日、安雄が戻ってきたとき、顔色は極度に青白く、立っているのもやっとだったが、それでも彼は彼女に安心させるように微笑んだ。 「真白、もうお金はあるから安心して、きっと治れるんだ」 後になって彼女はようやく、安雄が金を得るために雪の中で百回もの鞭打ちを受けていたことを知った。 そのうえ、安雄は土方家の仕組んだ政略結婚に屈し、金井瑠花(かねい るか)を妻として迎えることを強要されていたのだ。
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婚約指輪の日、婚約者は幼なじみの元へ - All novels & stories
匿名
婚約した翌日、婚約者の鳴海景臣(なるみ かげおみ)に、指輪を受け取りに一緒に来てほしいと頼まれた。けれど、ブライダルジュエリー専門店が閉まるまで待っても、彼の姿は現れなかった。 帰り道でようやく届いたのは、彼からのメッセージだった。 【志乃がお腹を壊して下痢になった。先に病院へ連れて行く】 慌てて電話をかけると、返ってきたのは春川志乃(はるかわ しの)の声だった。 「景臣さん、さっき私と運動した後疲れて寝ちゃったの。用があるなら明日にしてね」 四年間の恋。 大事な時ほど、彼の幼なじみにはいつも「助けが必要な事情」があって、景臣は迷うことなく彼女のもとへ走っていった。 婚約指輪を受け取るような一大事でさえ、私を置き去りにした。 もう疲れた私は、静かに答えた。 「もういい。私、景臣とはもう別れたから」 ……
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計画された結婚詐欺 - All novels & stories
夏目リン
私はSNSで、ある投稿を目にした。 投稿者は自分がHIVに感染しているが、それを婚約を控えている彼女に隠していると言っていた。 この投稿には何万もの「いいね!」がついていた。 気になってクリックし、詳しく読んでみると、その投稿者が描写している彼女がどうも私と似ている気がした。
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私たちは永遠を誓っていた - All novels & stories
山田奈々子
婚約者の藤村安弘(ふじむら やすひろ)は私の試着に付き添ってくれている最中、突然スマホが鳴った。洲崎詩織(すざき しおり)からの電話だ。 「先輩……」 それを聞いた瞬間、今日のウェディングフォトもまた台無しになると分かった。 案の定、安弘は困った顔で私、松本恵美(まつもと めぐみ)を見て言った。 「ねえ、詩織のほうでちょっとトラブルがあって、行ってこないと」 相談じゃない。 ただの通知だ。 鏡に映る、たった今ドレスに着替えたばかりの自分を見つめ、私は頷いた。 「行ってきて」 大丈夫だ。 どうせ、私の婚約者も変わることになるのだから。
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幾千の波を越えて、私の人生はまだ遅くない - All novels & stories
灯り
親友の吉田真央(よしだ まお)が出産を終え、私、藤原咲希(ふじわら さき)は赤ちゃんを抱いてあやしていた。 「いい子ね。私は第二のママ、この人は第二のパパよ」 傍らに立っていた瀧川侑斗(たきがわ ゆうと)が、ふいに口を開いた。 「第二のパパじゃない。実の父親だ」 聞き間違いかと思った。 まさかと思ったが、彼は気だるげに口元をわずかにゆがめ、もう一度言った。 「その子は俺の子だ。 お前の親父さんが死んだあの日、俺は真央と一晩中やった。コンドームも一箱まるごと使った」 私はその場で凍りついた。喉の奥が詰まったようで、どうしても声が出なかった。 どれほど経ってからか、ようやく一言を絞り出した。 「でも……私たち、昨日やっと入籍したばかりでしょう」 侑斗は笑って私を抱き寄せ、優しくあやすように言った。 「安心しろよ。俺とあいつは、せいぜいセフレみたいなもんだ。結婚する気があるなら、とっくにしてる」 そう言って、彼は少し間を置いた。 意地の悪い調子で続けた。 「真央、まだお前に隠してたのか?俺たち、付き合ってたんだ。俺はあいつの初めての男だった」
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愛の終わり、帰る日のない場所へ - All novels & stories
無名
響音寺の境内は、読経の響きと人々の熱気で満ちあふれていた。 そんな中、望月明日香(もちづき あすか)も本堂の座布団にひざまずき、ひたすらに祈りを捧げいた。 「私、望月明日香は聖地へ向かいます。聖山を守り、二度と北嶺山地からは出ないことを誓います!」 その傍らで住職の藤原宗道(ふじわら そうどう)は質素な衣をまとう明日香を見つめた。「聖山朝霧は、最後の浄土だ。足を踏み入れるなら、執着を捨て、人の情けも欲もすべて断ち切らねばならぬ」 それを聞いて、明日香の瞳がわずかに揺れる。だがその奥にあるのは、すべてをあきらめたような静けさだった。 「はい、もう結婚も子供も望まない。すべての未練を捨てて、この身を捧げる覚悟はできているから!」 そんな彼女を見て宗道は目に憐れみの色を浮かべて言った。「聖山は空気も薄く、一年中凍えるほどの寒さだ。それだけ生活環境も厳しく、一度入れば、命尽きるまで聖地を守り続けねばならないのだ。 明日香、本当に覚悟はできているのか?」 だが、明日香は深くうなずいて言った。「はい。私は命あるかぎり一生を聖地に捧げるつもりよ!」 彼女の決意が固いのを見て、宗道もそれ以上引き止めなかった。「では3日の間、身を清めて待てなさい。その後、地元の者に聖山へ送らせよう」 明日香が向かう聖山朝霧は、仏教の聖地で、部外者が足を踏み入れることは許されていないのだ。 一旦聖地を守るために山に入れば、外の世界とは完全に切り離されてしまうことになる。 それはつまり、青木涼太(あおき りょうた)とも、もう一生、二度と会えなくなるということだった。
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睫に降る雪 - All novels & stories
イール
細川陽(ほそかわ よう)が最も貧しかった頃、四、五時間も歩いて私に会いに来た。 あの日はとても寒かった。 彼はほとんど凍えきっていて、まつげにまで雪が積もっていた。 その後、幾度となく喧嘩を重ねた夜、私はいつも彼のあの時のまつげを思い出した。 だから私は、喜んで仕事を辞め、遠くに嫁ぎ、妊活までしたのだ。 ついさっきまで。 私のブルートゥースイヤホンが、彼のスマホに繋がったまでは。 相手は言った。 「和泉楓(いずみ かえで)って、結構ピュアなんだね。 今でも知らないんでしょ?君があの夜彼女を選んだのは、汚れていないだったからか、それともただでできたからかなんて」
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あなたがくれた指輪は、もう約束じゃない - All novels & stories
ほろ酔いの猫
二十七歳の誕生日、その日。 私はサイドテーブルで、陽翔がこっそり隠していたちょっと高めのレディースリングを見つけた。 ――もしかして、プロポーズのとき指輪をくれなかったこと、今さらだけど埋め合わせしようとしてるのかな。 そんな期待を胸に、一晩中そわそわして待った。 でも翌朝、彼は「急に出張が入ったんだ」とだけ言って、他県へ行ってしまった。 そのすぐあと。 橘が更新したSNSには、花火を背に手を繋いで並ぶふたりの姿が写っていて、彼女の指にはあの指輪が光っていた。 【十八のときの約束、やっと叶ったね。ぐるっと回っても、ずっとあなたはそばにいてくれた】 ――そんなキャプション付きで。 私は、そっと目尻の涙を拭った。 ……どれだけ真っすぐな愛も、時間には敵わないのかもしれない。
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昔の笑顔、遠くなりし夢 - All novels & stories
心原蔵之
椎名育也(しいな いくや)と結婚した望月絵里(もちづき えり)は、お嬢様生活を捨て、夫と息子のために全てを捧げてきた。 だが、どれだけ尽くしても報われることはなく、むしろ犬扱い。 最期の瞬間に、絵里が聞こえたのは息子の歓声──「やった!ママ死んだ!これでやっと颯花さんを堂々と迎えられるのだ!」 絵里はようやく悟った──いわゆる「真心には真心が返る」なんて、まったくの嘘だった! 生まれ変わった絵里が、冷ややかな夫と息子、そして図々しい顔をしている夫の幼馴染・小林颯花(こばやし さやか)を見つめ、にやついて宣言した。 「椎名家夫人の身分も、旦那も息子も、全部譲るわ」 そう言って、財産も要らず、さっぱり離婚。夫も息子も、もうこりごりだった!
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僕と彼女の交わらない真実 - All novels & stories
小木
これは私が自殺を試みた17回目だ。もちろん、また失敗に終わった。 ただの冗談のように自殺を試みていた。自分が死ぬことはないと分かっているから。
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恩讐の彼方 - All novels & stories
ちょうどよかった
桜木南(さくらぎ みなみ)は、特区の官舍で誰もが知る「棘のある薔薇」だった。 財閥令嬢の出身で、海外留学経験があり流暢な外国語を話し、さらにダンスカンパニーのトップスター。彼女を追う男性は数え切れないほどだった。 しかし彼女は、親同士の命の恩義から、スラム街出身で無骨な警備隊長・北村剛(きたむら ごう)と結婚することになった。 人々は皆、「美しい花が泥沼に捨てられたようなものだ」と噂した。 だが南だけは知っていた。自分が剛に惹かれたのは、最初は顔だったかもしれないが、最後はその誠実な人柄に忠誠を誓ったからだと。 初めての出会い、剛は彼女を下品な冗談のネタにする部下たちを一喝した。 二度目の出会い、南は普段笑わない彼が裏庭でこっそり野良猫の親子を世話しているのを見た。 三度目の出会い、剛は命懸けで暴漢から彼女を救い、片腕が骨折した。 その時から、南は自分が彼に堕ちたことを悟った。 必死のアプローチの末、彼女はようやく念願叶って剛と結婚した。 愛のある結婚だと思っていた。しかし結婚して七年、彼女はようやく気づいた。剛は一台の機械のようだった。 夜の営みさえも毎月決まった時間、決まった場所、決まった体位で。 妊娠しても、彼の計画にないからという理由で中絶させられた。 剛はミスを許さない精密機器のように、すべての物事を規定通りに進めなければ気が済まない男だった。 彼女は、剛が取り乱す姿など想像すらできなかった。 あの日、行為の最中に彼が一本の電話を取るまでは。 山が崩れても顔色一つ変えないはずの男が、初めて慌てふためく表情を見せたのだ。
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遅咲きの夢と、捨てた約束 - All novels & stories
ワンワン
東都の名門子息たちは皆、橘家が跡継ぎを絶やしたことを知っていた。 なぜなら橘透也(たちばな とうや)は、東都第一の名門である橘家の唯一の後継者でありながら、確固たる子供を持たない主義の実践者だったからだ。 両親がどれほど説得しようと、どれほど死をもって脅そうと、妻の水瀬さくら(みなせ さくら)がどれほど誘惑しようと。 彼の答えは一貫して同じだった。俺は子供を持たない主義だ、子供は好きではない、子供を作ることはあり得ない、と。 結婚して四年、いつもと変わらないはずだったある日―― さくらが病院で勤務する時、偶然にも透也が見知らぬ女性の妊婦健診に付き添っているところに遭遇した。 超音波室を通りがかった時、彼女ははっきりと見た。透也が優しく相手を支え、顔には淡い笑みを浮かべ、右手を相手のまだ膨らんでいない腹部に添えているのを。 そして、超音波室の担当医師に緊張した様子で現在の妊娠状況を尋ねているのを。 さくらは震える手で同僚に電話をかけた。緊張で心臓が喉元まで飛び出しそうだった。 「さっき……来た人……名前は何?」
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声なきエンジェル - All novels & stories
抹茶の時間
加藤拓海(かとう たくみ)の愛人が、またごねているらしい。 彼は私に離婚協議書を差し出した。 「サインしてくれ。形だけだから。百合をなだめるためなんだ」 私はスカートの裾を強く握りしめ、頷いた。 そして、黙ってサインした。 部屋を出ようとした時、拓海の友達がからかう声が聞こえた。 「明里さんは聞き分けが良すぎるな。あなたが本気で離婚届を出せって言っても、何も言わずに従うんじゃないか?」 拓海は楽しそうにタバコに火をつけた。 「賭けるか?」 彼らは賭けをしていた。1ヶ月後、私が役所でどんなに泣きじゃくっても、結局は大人しく言うことを聞いて、離婚届をきちんと提出するほうに。 スマホを握りしめ、私は何も言わなかった。 ただ、さっき届いたメッセージに返信しただけ。 【俺と、結婚してくれないか?】 【いいわ】
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潔癖な女王の断罪:ゴミを捨て、私は頂点へ - All novels & stories
小四郎
実習生の女が散々おもちゃにした指輪。彼氏にそんなものでプロポーズされた瞬間、私はこの恋に終止符を打つ決心をした。でも、彼らは私の手にある「ある物」を見て、どうしてそんなに慌てているのかしら? 付き合って七年目。周藤蓮也(すとう れんや)は、激しい豪雨の中で私、江口智美(えぐち ともみ)の退勤を待っていた。 助手席のドアを開けると、そこには最悪な光景が広がっていた。座席はびしょ濡れで、長い髪の毛が一本、不自然に落ちていた。 蓮也はハンドルを握ったまま、こちらを振り返りもしない。 「さっき、企画部の実習生を家まで送ったんだ。傘を持ってなくてずぶ濡れだったからな」 私はその冷たく湿った座席に腰を下ろした。心までがじわじわと、一気に冷え込んでいく。 「蓮也、私がひどい潔癖症だって、知っているはずよね」 彼は鼻で笑った。その声には、隠しきれない疲れと苛立ちが滲んでいた。 「たかが座席一つでガタガタ言うなよ。彼女は君より若いし、一緒にいて楽しいんだ。雨に濡れた姿だって、君よりずっと綺麗だったよ。 正直、彼女とはもう一通り試してみたが、確かに君といるより楽しかった。 でも、プロポーズは予定通りする。君が知らないふりさえすれば、これからも上手くやっていけるだろう」 窓の外では激しい雨がカーテンのように視界を塞いでいたが、車内の空気はそれ以上に重く、私を窒息させた。
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思い出の中にだけ、いてほしい - All novels & stories
ココア
父の心臓バイパス手術の日、心臓外科のエースである夫の横山竜也(よこやま たつや)は、欠勤していたのだった。 何十回も電話をかけたけど、返ってきたのは【手が離せない】という、そっけないメッセージだけだった。 手術室の外で、私はたった一人で渡された急変連絡書を見ながら、目の前がかすむほど泣きじゃくった。 そして、その日の明け方、竜也が指導している女性実習生のインスタで、キャンドルディナーの写真が上がっているのを見かけたのだ。 写真の中では、あのいつもメスを握っているはずの彼の手は、若い女性のために丁寧にステーキを切り分けているのだった。
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声々の想い - All novels & stories
ラッキーセブン
私はヤクザの親分・荒川正幸(あらがわ まさゆき)に十年も付き従ってきた。だが、彼が足を洗ったその日、舎弟たちが別人を「姐さん」と呼んでいた。 銃を握り、血を浴びたその手が、少女にズック靴を履かせている。 「矢崎琴乃(やざき ことの)、あの子はお前とは違う」 「お前は名分なくても俺と道を外せるが、あの子は無理だ」 あの日、私は振り返らなかった。 正幸は知らない。私が道を外したことを家族は承知で、ちゃんとした男を育てておき、名分を待たせていたことを。
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月明かりの下でさよならを - All novels & stories
キャンディーとても甘い
笠原南雄(かさわら みなお)と付き合い始めて五年目。 門司茜(もんじ あかね)は密かに婚約指輪を買い、勇気を振り絞って彼にプロポーズするつもりだった。 しかし運悪く、その日、パーティーに数分遅れてしまった。 ちょうど彼が友人と話しているのを耳にした。 「お前、周防希枝(すおう きえ)のために茜と五年も付き合っただけでも十分なのに、今度は彼女と結婚までしようって?正気か?」 南雄の声は冷ややかだった。 「希枝が幸せになれるなら、愛していない相手と結婚することだって厭わない」 だが、今回は茜は騒ぎ立てなかった。 指輪を投げ捨て、ラブレターを切り裂いた。 そして深夜の便に乗って去り、家同士の縁談に縋る道を選んだ。
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