Short Stories & Novels

Explore a diverse collection of captivating short stories that span various genres. Perfect for readers looking for quick literary escapes and engaging narratives.
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さよならの記念日 - All novels & stories
シュンエイ
私は白石日和(しらいし ひより)。来月には結婚するはずだった恋人・神崎玲央(かんざき れお)が、記念日の夜に初恋の相手・橘美月(たちばな みつき)を連れてバーでラブソングを歌っていた。 その場でキスして抱き合うところまで友だちに撮られて、動画はインスタのプロフィールにピン留め。 コメント欄は「付き合っちゃえ」で溢れ返る。 面白がり屋の一人が、わざわざ私の前で言った。「あの二人、もうくっつくぞ」 私は冷たく一瞥して返す。「誰とくっつこうが、あんたに関係ないでしょ?」
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浮気相手との修羅場、7年の恋を捨てる誕生会 - All novels & stories
風音
長谷川勇太(はせがわ ゆうた)と付き合って7年目、彼は私・黒崎奈々(くろさき なな)のために盛大な誕生日パーティーを開いてくれた。 その席で、彼の友人や同じ研究室の仲間たちに私を紹介するつもりだと言っていた。 プロポーズされるのだと信じ込み、私はお気に入りのドレスを着て、丁寧にメイクをした。 しかし、パーティーが終わる直前になっても、彼にその気配は全くない。 ただ、途中で一本の電話に出るために席を外しただけだった。 「分かってるよ母さん。奈々とは別れるつもりだ。ただ、今はタイミングが悪いんだ。 彼女の母親が入院中だし、本人も失業中なんだ。もし俺と遥が付き合ってるなんて知れたら、仕事場に怒鳴り込んできたら困るだろ? 彼女が再就職できたら、適当な理由をつけて別れるよ」 頭から冷水を浴びせられたかのように、私はその場に立ち尽くした。 私はぼんやりと自分の手を見つめる。掌の中にある、少し色あせた縁結びの組み紐が、汗でじっとりと湿っていた。 あれは、勇太が私に告白してくれた時にくれたものだ。 いつか結婚する時の証だと、一生一緒にいるんだと言ってくれたのに。 一生なんて、こんなにも短いものだったのか。
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七年の嘘、愛も憎しみも虚しく - All novels & stories
半夏moon(はんかのムーン)
結婚して七年間、夜を共にするたびに、私は仏壇の前で朝までひざまずいていなきゃいけなかった。 「これは真夏への償いのためだ」そう言ったのは、夫の相澤嘉山(あいざわ かやま)だ。 また義母の相澤夫人に命じられ、夫のもとへと向かったある夜のこと。ふと、廊下で彼の兄弟たちの話し声が耳に入った。 「さて、今年で時雨(しぐれ)は何度目の体外受精だ?あいつマジで必死だな」 「まあ……本人は知らないんだろ?嘉山の子どもなんか、一生できるわけないのにな」 嘉山が冷たく鼻で笑った。「バカだよな。毎回終わったあと、俺がわざわざ牛乳飲ませてんのに。何年もずっとピル飲まされてて妊娠できるわけないだろ?」 「あいつが体外受精で苦しんでんのも、全部真夏のためにやってんだよ。あれは、罰だ」 私は虚しく笑い、その会話を録音してそのまま嘉山のお爺さん――相澤当主に送った。 「私はもう、相澤家に跡継ぎを残す運命にはない。だから、もう、私を自由にしてくれないか?」
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10度目の離婚届。捨てられたクズ夫が泣いても無駄 - All novels & stories
あめちゃん大好き
結婚して3年、離婚と復縁を繰り返すこと、すでに9回…… そのどれもが、木村直樹(きむら なおき)が自分の「初恋の人」を助けるために仕組んだ、「その場しのぎの離婚」だった。 そして今日で、10回目を迎える。 木村真奈美(きむら まなみ)は役所のベンチで一人、ポツンと座っていた。スマホのアルバムを開き、過去の思い出を一枚一枚指でスクロールしていく―― 3年前の今日、直樹がプロポーズした。 写真の中で微笑む真奈美は、まるで世界で一番幸せな女のようだった。しかし、そんな彼女を見つめる直樹の優しい眼差しは――今思えば、すべて周到にリハーサルされた演技でしかなかったのだ。
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愛とは十の誓いと九つの偽り - All novels & stories
卵焼き
「お嬢さん、この婚姻証明書の番号は偽物ですよ」 山口真奈(やまぐち まな)は目を見開いた。 「そんなはずないです。もう一度確認してください」 「確認した結果、証明書の番号も押印も偽物でした。妊娠の登録には、正式で有効な書類が必要なんです」 真奈の指先がかすかに震えた。偽の婚姻証明書をぎゅっと握りしめ、ふらつく足取りで産婦人科を後にした。 急いで家に戻ると、リビングには六年間行方不明だった姉・山口結菜(やまぐち ゆな)の姿があった。 「真奈、やっと帰ってきたのね」 母が一番に駆け寄ってきて、真奈の手を取った。目には涙が溢れていた。 「真奈、結菜は病気なの。肝臓がんの末期で、もう時間がないのよ。彼女の最後の願いは、航平と結婚すること……お願い、叶えてあげて」
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危篤後、元彼が私の腎臓提供に気づく - All novels & stories
匿名
月島雅人(つきしま まさと)が世界のテクノロジーの頂点を極め、表彰台に立った日。 私・牧瀬心未(まきせここみ)は腎不全の治療費を支払うことができず、病院から治療を打ち切ると宣告された。 テレビの中で、司会者が彼に一番感謝している人に電話をかけるように促した。 彼は迷うことなく、私の番号に電話をかけた。 「心未、俺から離れて後悔したか?」 手に持った高額な治療費明細書は、握りしめられてシワシワになっていたが、私は平然を装って答えた。 「雅人、あなた今や有名人じゃない。私を養ってくれない?」 画面の中の彼は無表情のまま電話を切り、その後、聞き慣れた声が感情を込めずに耳に突き刺さった。 「今、感謝したい人は誰もいない」 しかし、彼は知らない。彼が危篤状態になった時、腎臓を彼に提供したのが私だということを。
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雪降り、雲深く我を渡さず - All novels & stories
安寧を祈る
三年前絢瀬若菜の両親は、鬼塚グループのビルで不可解な死を遂げていた。 上場を控えた鬼塚家は世論を鎮めるため、鬼塚隼人に絢瀬との結婚を強要した。 絢瀬はずっと、鬼塚が白鳥千早と結ばれなかったことを恨み、自分に怒りをぶつけているのだと思い込んでいた。そして彼女は両親の死の真相を探るため、鬼塚の全ての怒りと屈辱に耐えていた。 ある日、絢瀬は鬼塚のオフィス前で白鳥の甘えた声とその思わず漏れた言葉を耳にした。 「大丈夫よ。三年前、あの夫婦に私たちの関係を知られてしまって、このビルで死なせたんじゃない?」 絢瀬はよろめきながらその場を離れた。 「叔母さん、両親を殺した犯人が分かったわ。全て準備ができたから、一ヶ月後のヨーロッパ行きのチケット用意して」
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愚かな裏切り者と冷徹当主の寵愛 - All novels & stories
橘州一
空港での迎え。そこで私は二年間も結婚から逃げ出し、義妹に付き添ってA国でサファリ旅行に興じていたはずの工藤健二(くどう けんじ)と鉢合わせした。 私はサングラスをかけていたが、彼の方は人混みの中で一瞬にして私に気づいた。 「梨花、君を娶りに戻ったよ」 私はレンズ越しに戸惑いの視線を送った。「どちら様でしょうか?」 健二は困ったように笑った。 「ほら、いい子だから機嫌を直せよ。わざと結婚から逃げ回っていたわけじゃないんだ。美月がどうしても写真に収めたいって聞かなくてね。俺にとってはたった一人の妹なんだ。甘やかしてやるのは仕方ないだろ? ようやく二年にわたる撮影を終えて、婚約を果たすために急いで帰国したんだ!」 目の前に立つ、日焼けして痩せこけ、白い歯を覗かせるこの男がかつての婚約者であることにようやく気づいた。 けれど…… まさか誰も彼に教えていないのかしら。彼が結婚から逃げ出したまさにその日、私、浅井梨花(あさい りか)が彼の叔父に嫁いだっていうことを。
6.8
10.4K
愛あるところ、すべては虚妄 - All novels & stories
星崎
私・篠原美月 (しのはら みづき)と藤崎彰人 (ふじさき あきひと)は大学時代に出会い、恋に落ちた。 卒業後、私たちはごく自然な流れで結婚した。 翌年、藤崎遥斗 (ふじさき はると)が生まれた。けれど、不幸にも聴力を失うという後遺症が残ってしまった。 それでも、私はその運命を甘んじて受け入れ、彰人が築いてくれた幸せな世界に、満ち足りた想いで浸っていた。 けれど、ある日突然、私の耳が再び聞こえるようになってしまったのだ。 彰人が部下の女性と睦言を交わす声。 遥斗が、誕生日のパーティで「ママなんて、永遠にいなくなればいいのに」と願う声。 それらを聞いてしまった瞬間、私の心は音を立てて崩れ落ちた。 再会は、アズマニア共和国。 遥斗がみすぼらしい姿で駆け寄り、泣きながら私に抱きついてこようとした時だった。 私はその手をすり抜け、そばにいた別の子供を愛おしそうに抱きしめると、平坦な声で言い放った。 「私はあなたのママじゃない。今度は……私があなたを捨てる番だ」
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10.4K
恋する十五年 - All novels & stories
夏のアヒル
裕也と付き合って15年間、ずっと幸せな時間を過ごしていた。 ある女性が現れるまでは。 彼は突然冷たくなり、あらゆる手段を使って私に離婚を迫るようになった。 私は必死に彼にしがみつき、どんなに傷ついても、いつか彼は心を入れ替えてくれると信じていた。 だが、ついに悟ったのだ。 この思いは、確かに終止符を打たなければならないと。
10.4K
愛に尽したあなた、さようなら - All novels & stories
真夏の猫
新婚の夜、藤原翔太(ふじわら しょうた)に手で初夜を奪われた後、楚山梓(そやまあずさ)はついに彼への未練を断ち切り、離婚を決意した—— 梓の下半身に異様な感覚が広がり、彼女はかすかな呻き声を漏らした。敷かれた白い布には、紅梅の花びらのように点々と赤い染みが広がっている。 梓は熱にうかされたように体をくねらせ、続きを待ち続けた。しかし、待っても次に進む気配はなく、かすんでいた目が徐々に焦点を取り戻し、「……続けないの?」と問いかけた。 「終わった。明日、この布をお婆さんに見せる。そのうち体外受精の手続きをしよう。あんなことに興味はない」翔太は淡々と言い放った。 「翔太、あなたはセックスそのものに興味がないの?それとも私という女に興味がないの?」梓の目尻が赤く染まった。彼の身体の変化は、確かに感じ取っていたのに。 「違いなどあるか?」翔太は右手を丁寧に消毒しながら、ゆっくりと返した。申し訳なさなど微塵も見せなかった。 梓は胸が締め付けられるようになり、言葉が出なかった。 「翔太……私たち、離婚しよう」
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10.4K
家族に見捨てられた件について - All novels & stories
慶安
結婚式当日、新郎である高瀬悟志(たかせ さとし)が突然、式を中止した。 理由は、樋口寧々(ひぐち ねね)がSNSに【帰国しました】と投稿したからだ。 悟志は自らデザインした結婚指輪を置くと、教会を駆け出していった。 ウェディングドレス姿の私は立ち尽くした。私を支えてくれた兄――梅澤拓巳(うめざわ たくみ)も手を離した。 「遥香、お前は昔から強い子だからな。一人で何とかできるってわかってる。今は寧々のほうがお前より俺を必要としてる」 そう言うと、彼も去っていった。 二人は同じ女のために私を置き去りにしたのだ。 夜、結婚式の後始末を終えた後、寧々から写真が届いた。 写真には、拓巳と悟志が寧々のベッドに寄り添う姿が映っていた。 悟志が自ら作り、私に贈るはずだったネックレスが、今は寧々の首元に光っている。 拓巳が私のためにデザインし、仕立て上げたドレスが、寧々の身体を包んでいる。 それらはすべて、本来は私のものだった。 ついに私は諦め、涙ながらに電話をかけた。 「お父さん、お母さん……気が変わった。家に帰りたい」
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思い出の中にだけ、いてほしい - All novels & stories
ココア
父の心臓バイパス手術の日、心臓外科のエースである夫の横山竜也(よこやま たつや)は、欠勤していたのだった。 何十回も電話をかけたけど、返ってきたのは【手が離せない】という、そっけないメッセージだけだった。 手術室の外で、私はたった一人で渡された急変連絡書を見ながら、目の前がかすむほど泣きじゃくった。 そして、その日の明け方、竜也が指導している女性実習生のインスタで、キャンドルディナーの写真が上がっているのを見かけたのだ。 写真の中では、あのいつもメスを握っているはずの彼の手は、若い女性のために丁寧にステーキを切り分けているのだった。
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転生後、私は夫を地獄に落とす - All novels & stories
黒か白か
専業主夫の夫から写真が送られてきた。 写真には、私たちのお利口でしっかり者の娘が、丼を持っている姿が映っている。 夫はキャプションにこう書いている:「僕の熱心な指導の下、娘はついに初めての『娘の愛情ラーメン』を作ったよ。帰ってきて食べるのを楽しみにしてる!」 そのメッセージを見た瞬間、仕事の疲れが一気に吹き飛んだ。 でも、誰も予想していなかったのは、その30分後に帰宅した私が夫を殺した。
10.4K
真心は移ろいやすい - All novels & stories
u_u
私は桐島西洲(きりしま さいしゅう)の手紙に、少しずつ落とされた。 一通、また一通――あの人は、そうやって私を手に入れた。 遠距離恋愛。 私たちは、あの四年間をひたすら信じて、耐えて、続けてきた。 今でも覚えている。 お急ぎ便で届いた便箋の手触りも、最後に必ず書かれていたあの言葉――【愛してる、西洲より】 だから私は、一度たりとも、彼の本気を疑ったことがなかった。 あの女に会うまでは。 私の娘より二歳年上の、まだ幼さの残る女。 彼の子どもを宿したそのお腹は、少しだけ膨らみ始めていた。
7.5
10.4K
冬の雪を越え、光り輝く原点へ

 - All novels & stories
ライカ
港市の独り娘として育った私、羽生澪花(はにゅう みおか)が、佐々木遥人(ささき はると)のために帝都へ行くと決めたとき、両親は私を勘当した。 「あの身寄りのない男が、お前に何を与えてくれるというんだ!苦労を買って出るなら一生していろ!出て行くなら二度と戻ってくるな!」 五年。遥人が帝都でトップクラスのカウンセラーへと上り詰めていく姿を傍で見守り、彼は約束通り、私に温かな家庭を与えてくれた。 年末年始を控え、私は彼を連れて実家に戻り、両親の許しを請おうとしていた。しかし搭乗の直前、彼は一人のうつ病を患う女性患者のために、再び私を置き去りにした。 彼は私の手を離し、その瞳には張り裂けそうな苦渋が滲んでいた。 「澪花、彼女は当時の俺と同じなんだ……身寄りがなくて、俺が行かなければ本当にビルから飛び降りてしまう!ごめん、今回だけだ。すぐに次の便でお前を追いかけるから……」 遥人は振り返り、迷うことなく出口へと走っていった。 私はその場に立ち尽くし、手元にある港市に帰る二枚の航空券を見つめていた。 結局、彼は救いを求める患者たちの心をことごとく癒しながら、私だけは、何度もその救いの輪から零れ落ちる「置き去りの存在」にしてきたのだ。 私はゆっくりと、彼の分の航空券を引き裂いた。
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10.4K
我が往くは恩讐の彼方 - All novels & stories
メリッサゼット
私はC市で右に出る者のいない贋作師であり、最高レベルの情報屋だ。だが、この街のすべてを牛耳る男、ドンであるヴィンチェンツォ・ルッソに恋をしてしまった。 10年の間、私は彼の秘密であり、武器であり、そして彼の女だった。私は闇の中から彼の勢力圏を築き上げたのだ。 いつか彼から指輪をもらえると思っていた。だって、彼がこの街にいる夜は欠かさず私の奥深くに入り込み、快楽を貪っていたのだから。 彼は私の耳元で囁いた。お前は俺のものだ、これほど最高な気分にさせてくれる女は他にはいない、と。 だが今回、私を抱き終えた後、彼は北の大国のマフィアの姫君、カテリーナ・ペトロフと結婚すると言い放った。 その時、ようやく気づいた。私は彼の女なんかじゃない。ただの道具に過ぎなかったのだと。 同盟のため、そして彼女のために、彼は私を犠牲にし、見殺しにした。 だから私は、彼が与えてくれた人生のすべてを破壊した。I国にいる父に一本の電話をかけ、そして、私は姿を消した。 だが、C市を支配するドンは、一番のお気に入りの「玩具」を見つけられなくなった時……完全に狂ってしまった。
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未練ゼロ、私の新しい人生 - All novels & stories
パクチー好きの静香
成瀬柚葉(なるせ ゆずは)は妊娠中、婚約者である鳴海朔也(なるみ さくや)の幼馴染、望月莉音(もちづき りおん)に嘲笑われる。 朔也にあろうことか家を追い出されたことで、柚葉はついに目を覚ます。独りで中絶の手術を受け、未練を断ち切って彼のもとを去ると、自らの夢を追う道を選んだ。朔也は激しい後悔に打ちひしがれるが、彼女が振り返ることは二度となかった。
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10.4K
身代わり秘書、社長の親友に溺愛求婚されました - All novels & stories
むぎゅ
午前3時、琴川澄音(ことかわ すみね)はスマホの着信音で目を覚ました。 まだ夢と現実の境目にいるような意識の中で、氷室清陽(ひむろ すばる)の低い声が聞こえてきた。 「企画書をバー『ノクターン』まで持ってこい」 澄音は一瞬で目が覚め、慌てて身支度を整えると、企画書を手にタクシーで店へと向かった。 指定された個室は19階だった。スタッフはエレベーターの前まで案内すると、そのまま立ち去った。 澄音は化粧と身なりを整えてから、個室の前へ向かった。 扉にはわずかな隙間が空いていた。そこから、中の会話がはっきりと漏れ聞こえてきた。 「氷室社長、琴川さんはもう随分長くあなたのそばにいますよね。年齢的にも、そろそろ身を固める時期じゃないですか?」 ノックしようと持ち上げかけた澄音の手は、空中でぴたりと止まった。
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薔薇は棘の上に咲く - All novels & stories
蘇谷やや
裁判官である婚約者との婚約披露宴を控えた前夜のことだった。 朝倉恒一(あさくら こういち)は私情を挟んだまま、模擬裁判の勝利判決を浅羽琴葉(あさば ことは)に下した。 琴葉は優勝トロフィーを抱き、私に向かって微笑む。 「恒一さんってやっぱり私のこと気にかけてくれてるよね。ご飯を少ししか食べなかっただけで心配してトロフィーまで譲ってくれるなんて」 胸の奥に抑えきれない怒りがこみ上げ、私は恒一のもとへ向かった。 だが彼は事件記録を淡々とめくりながら、まるで些細なことのように言い放った。 「そんなに強気でどうする。これから妻になる人間の態度じゃない。少しはその鋭さを削がないとな」 信じられなかった。 私は裁判所で彼と激しく言い争い、後味の悪さだけを残してその場を去った。 ――そして婚約披露宴当日。 式場で私を待ち続けた恒一から苛立ちを滲ませた電話がかかってくる。 「今日は何の日か、分かっているのか?お前の婚約披露宴だぞ」 その頃、私は海外の大学キャンパスに足を踏み入れていた。 そして、淡々とこう答えた。 「覚えているのは一つだけ。今日は私の入学初日よ」
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