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短篇
男性視点
เรื่องสั้นและนิยาย 学園
พบกับเรื่องสั้น 学園 สุดมหัศจรรย์ที่สำรวจความหลงใหลอย่างลึกซึ้ง เหมาะสำหรับผู้อ่านที่กำลังมองหาเรื่องสั้นความยาวหนึ่งชั่วโมงเพื่อสร้างแรงบันดาลใจและปลุกจินตนาการเกี่ยวกับ 学園
ライブも後輩を優先する彼。私は無言で異国へ旅立つ
切ない恋
逆転
ひいき/自己中
紗々
彼・木村竜之介(きむら りゅうのすけ)が後輩の酒井遥(さかい はるか)とライブに行くと言ったのは、講義が終わった直後だった。 「今から行かないと。遥を待たせるわけにはいかない」 竜之介は、挨拶でもするような軽い口調で言った。 私・石川凛(いしかわ りん)は教科書を片付け、鞄に入れて言った。 「分かった」 彼は呆然とした。 スマホを打っていた手を止め、私をじっと見つめる。 「俺、遥と行くんだ。お前が一番好きな歌手のライブだぞ。怒らないのか?」 私は鞄を閉め、淡々と答えた。 「怒る必要なんてないでしょ」 そのライブに一緒に行きたいと、私は99回も頼んでいた。 100回目で、ようやく彼は二枚のチケットを手に入れたが、後輩の遥と行くためだった。 不思議と、ショックではなかった。 遥が入学して以来、こんな扱いにはもう慣れていたのだ。 私は鞄を背負い、教室の出口へ向かった。 彼は動かない。 教室を出ようとした時、彼はようやく我に返って慌てたように追いかけてきて、私の手首を掴む。 「凛、3日後に深津市で同じ歌手のライブがある。その時は必ず一緒に行ってやるよ。 その日は俺たちが付き合って3周年の記念日だ。絶対にすっぽかさない」 私は彼の手に視線を落とし、それから顔を上げて微笑んだ。 「うん」 ここ半年、彼は「来週行く」と9回、「必ず行く」と13回、「安心しろ」と16回も言った。 でも、その約束が守られたことは一度もなかった。 そして次のライブも、きっと行けない。 だって今度は、私が彼との約束をすっぽかす番だからだ。
出会いも別れも、答えのない青春
切ない恋
逆転
愛人
おもちうさぎ
二次試験が終わった後、河野結人(こうの ゆいと)はストーリーを更新した。 画像には、【合格通知も君も、俺のものだ!】という一文が添えられていた。 一瞬でコメント欄がお祭り騒ぎになった。 【これが学年トップの人にしかできないロマンスってやつ?】 【これ以上ない、最高の告白だね】 卒業式の日、結人はクラス全員に結構な額のプレゼントを配った。だが、家が裕福ではない井上梨花(いのうえ りか)が急に、それを返したいと言い出した。 「ありがとう。でもこんな高価なものはもらえないわ。いくらお金がなくても、自分の力で頑張らないといけないって、言われてるから」 それを見て、いつもは口数の少ない結人が言った。 「じゃあ、こうしよう。俺と夏美が海外旅行に行く間、うちの犬の世話をしてくれないか。これはバイト代ってことで」 私、菊地夏美(きくち なつみ)は、また御曹司の気まぐれな同情心なんだろうなって、そう思ってた。 でも、その後の打ち上げで、それが全部、結人が仕組んだことだと知ってしまった。 「河野くん、気が利くじゃん。井上さんが受け取らないと思って、わざとみんなにも送ったんだろ」 「お前、分かってないな。困ってる子を助けてるんだよ。この前も井上さんがバイト先で客に絡まれてた時、河野くんが相手を病院送りにしたんだぜ」 ドアを開けようとした手が止まった。息もできないほど、体が震えていた。 そうだったんだ。結人が、私の一度きりの18歳の誕生日に来られなかったのは、事故に遭ったからじゃなかった。他の女のために、喧嘩してたなんて。 結人のクールな表情が、こわばった。彼は現金の束をいくつかテーブルに投げ捨てた。 「もうその話はやめろ。夏美に聞かれたら、またお嬢様が騒ぎ出すぞ」 誰かがぼそっとつぶやいた。「やっぱり井上さんだよな。優しくて、可愛くて、純粋で」 私は自嘲気味に笑うと、すぐに開き直って、学校で一番の不良からのバイクレースの誘いを受けた。 そういうことなら、結人、あなたのその優しい同情心、叶わせてあげるね。
幼馴染に騙され転校した俺の逆転劇
逆転
幼なじみ
切ない恋
さざ波
いじめられている幼馴染を守るため、俺・北条奏多(ほうじょう かなた)は一緒に転校すると約束した。 だが、彼女はハンコを押す前日になって、突然約束を破った。 彼女の友人が、面白そうに茶化した。 「やるわねえ、結衣。あんないじめられてるフリを続けてたのは、全部、奏多を追い払うためだったの? でも、あいつとは幼馴染なんでしょ?知らない学校に一人で放り出して、平気なの?」 長瀬結衣(ながせ ゆい)の声は、驚くほど冷めていた。 「同じ市内の別の高校に移るだけじゃない。大して遠くもないわよ。 毎日毎日付きまとわれて、正直うんざりしてたの。これでやっと清々するわ」 あの日、俺は個室のドアの外でしばらく立ち尽くしていたが、結局、何も言わずに背を向けた。 ただ、提出する転校届の志望校欄を、予定していた「帝都第三高校」から、両親が以前から勧めていた海外の高校へと書き換えただけだ。 みんな忘れているようだが、俺と彼女とでは、もともと住む世界が違いすぎたのだ。
3時間で会える?親友を選んだ元彼に報いを
スカッと
クズ成敗
妻を取り戻す修羅場
めぐる
「一緒にZ大学に進学しよう」と約束していたのに、入学式の日、彼氏・桐島航(きりしま わたる)も親友・椎名寧々(しいな ねね)も姿を現さなかった。 待ち合わせの正門前、私・深見佳乃(ふかみ よしの)は一人立ち尽くし、不安で何度もスマホを確認していた。 その時、寧々からビデオ通話がかかってきて、彼女は目を赤く腫らしていた。 「ずっと黙っててごめんね!実は志願を出す時、急にS大に行きたくなっちゃって!S大の近くにできた、ラウンジ付きの超お洒落なシェアハウスの写真を見たら、どうしてもそこに住みたくなっちゃって」 航が彼女と肩を並べて座り、平然と言った。 「S大のWeb出願の締め切り直前だったから、俺たちの志望校を変える手続きだけで手一杯だったんだ。佳乃に言い忘れてた」 彼はそう話しながら牛肉を一切れ取り、寧々の口へ運んだ。 「泣くことないだろ。もう会えないわけじゃないんだから。 S市からZ市まではそんなに遠くないし、新幹線で3時間だし、毎月会えるよ」 寧々はきょとんとした後、牛肉を頬張ってモゴモゴと言った。 「佳乃ちゃん、航くんのこんな傲慢な性格によく今まで耐えられたよね。 今度から私が代わりにこらしめてあげる!」 航はフッと笑い、彼女の頬を軽くつねった。 「お前が?どっちがどっちをしつけるか分かったもんじゃないな」 私はその場に凍りついた。暖かい春の日なのに、私だけが氷点下にいるように寒かった。 航は極度の潔癖症だ。彼の物に触る前には手を洗わせるし、普段は誰かと料理をシェアしたり、飲み物を回し飲みするのを極端に嫌がる。 それなのに、寧々には自分の直箸で平気で食べさせ、素手で彼女の頬までつねっている。 彼の潔癖症も、相手によって変わるということだ。 突然、すべてがひどくバカバカしく思えてきた。 そんなに私のことが邪魔なら、こっちから願い下げだ。
あなたたちのゲームから降りた日
切ない恋
ひいき/自己中
本物と偽物のお嬢様
リスボンの海
大学受験をすべて終えた日、四人の幼なじみに誘われて、「真実か挑戦か」ゲームをすることになった。 私の番が回ってくると、つい最近、名家の実の娘だと判明して家に戻ってきた雨宮雛乃(あまみや ひなの)が、みんなに「第一志望を公開する勇気はある?」と持ちかけた。 四人が順番に見せた志望校は、全員そろって北嶺大学だった。 榎本朔臣(えのもと さくおみ)は志望校を書いた用紙を私の前に押し出すと、笑いながら、全国でもトップクラスだった私の模試の成績を指先で軽く叩いた。「首都圏の最難関大に受かっても蹴って、俺たちと一緒に北嶺へ行けるか?あとから心変わりしたやつは負け犬な」 その夜、私は彼らが見ている前で、国立先端エネルギー研究機構の特別研究員選抜に伴う早期受入同意書に署名した。 そして朔臣も、みんなに囃し立てられるなか、私の告白を受け入れてくれた。 ところが後日、選考結果が届いた頃、私は四人に会おうと、彼らが集まっている家を訪ね、リビングのプロジェクターがつけっぱなしになっていることに気づいた。 スクリーンに映し出されていたのは、私の知らない「雛乃を守る会」というグループチャットだった。 【透花、もうサインした?】 【した。嘘の志望校を書いた紙四枚だけで、向こうから北嶺に行くって決めてくれたんだから、こっちとしては大成功だろ】 【やっぱ雛乃はすごいな。ゲーム一回で、あの金魚のフンを追い払えたんだから】 【一番犠牲が大きいのは朔臣だろ。研究所に入るまで、透花と付き合ってるふりまでしなきゃならないんだから】 私はスクリーンの前に立ち尽くした。 そのとき、背後で玄関のドアが開く音がした。 振り返ると、朔臣、楡井岳(にれい がく)、柊木理玖(ひいらぎ りく)、椎葉奏多(しいば かなた)、そして雛乃が、首都圏の難関大学への合格祝いのシャンパンを手に立っていた。 私と目が合った瞬間、五人は揃ってその場で凍りついた。
君を描かない余白
切ない恋
ひいき/自己中
クズ男
水央
私、鴻上清歌(こうがみ きよか)と白原稔(しらはら みのる)は、2年近く秘密の交際を続けている。 「卒業したらみんなに言う」という彼の言葉を信じ、私は修学旅行中に、彼が一番好きなバンドのライブチケットを渡し、一緒に見に行こうと誘うつもりだった。 3ヶ月間必死にバイトして、ようやく手に入れた連番のチケット。これさえあれば、彼も喜んでくれると信じていた。 けれど、待っていたのはクラス全員の前での公開処刑だった。 「ストーカーみたいにまとわりつくの、いい加減にしてくれない? 俺がお前なんかと一緒にライブに行くわけないだろ!」 同級生たちの嘲笑、桜井優奈(さくらい ゆうな)の白々しい制止の声。それらが突然の土砂降りの雨に混ざり合い、彼へのサプライズとして徹夜で描いたスケッチを無残な紙くずへと変えていく。 彼は一度も振り返ることなく立ち去り、誰もいなくなった後で、私にメッセージを送ってきた。 【後でホテルの裏で待ってて】 私は行かなかった。 その日、冷たくて泥混じりの雨水を顔から拭い落とし、私は大学の志望校を誰も私を知らない、遠く離れた街の大学に変更すると決意した。 彼から届いたメッセージを見つめる。悲しみに暮れるのはもう終わりだ。あいつらに今まで舐められた分の代償を、きっちり払わせてやる。
4年付き合った彼女、婚約相手は別の男?
切ない恋
逆転
ドロドロ展開
みどりお茶
卒業旅行で雪山へ出発する当日、恋人の西森葵(にしもり あおい)と突然連絡がつかなくなった。 空港で焦りながら彼女を待っていると、ルームメイトから意味深なメッセージが届いた。 「隼汰、そんなに焦るなって。もうすぐ大サプライズがあるから」 俺・小林隼汰(こばやし はやた)はほっと胸を撫で下ろした。 葵は遅れているだけで、きっと着飾るのに時間がかかっているのだと思った。 彼女は以前、こう言っていた。卒業したら、すぐにウェディングドレスを着て俺のもとへ嫁ぐ、と。 ところがその直後、クラス委員長がグループチャットに祝福のメッセージを送ってきた。 【西森葵さんと佐藤玄一(さとう げんいち)さんの婚約パーティーにお越しいただき、ありがとうございます!3年間の交際を経て、ついに結ばれました!】 そのメッセージはすぐにグループ内の全員の注目を集め、クラスメイトたちは次々と祝福の言葉を寄せた。 そして、ようやく誰かが異変に気づいた。 【うわ、委員長。隼汰をグループチャットから外すって、忘れたの?】 その一言で、グループチャットは一瞬にして静まり返った。 直後、みんなが一斉に俺をメンションし始めた。 【隼汰、絶対に会場へ乗り込んで騒ぎを起こすなよ。2人は三年間も密かに付き合ってたんだ。ここまで来るのだって大変だったんだから】 【お前、普段から束縛が強すぎるだろ。玄一なんて、この3年間、顔を出すことすらできなかったんだぞ。あいつも可哀想だよ】 挙げ句の果てには、指導教員の関先生まで俺を諭してきた。 【この件は、もう水に流そう。君も男なんだから、もう少し大らかになりなさい。騒ぎを起こさず、あの二人にせめて顔を立ててやってくれ】 一言、また一言と追い詰められていくうちに、息が詰まり、問いただす気力すら失っていた。 どうやら、結婚の約束だけが嘘だったわけではないようだ。 この4年間に俺が経験したすべてさえも、最初から全部、偽物だったのだ。
愛とは繭を作ること
妻を取り戻す修羅場
スカッと
ひいき/自己中
猫は魚を食べる
私・橋本和紗(はしもと かずさ)のネット恋愛の相手である江口安英(えくち やすひで)は、姉・橋本寧々(はしもと ねね)の宿敵だ。 安英と姉は高校時代、席が隣同士だった。姉は学年一位で、彼は学年二位だった。 お互いに気が合わず、顔を合わせれば張り合っていたくせに、結局は二人とも地元の同じ大学に進学した。 休みのたびに帰ってくると、姉は何日もかけて私にその「宿敵」の愚痴をこぼしていた。 ところが今回は、珍しく笑顔でスーツケースを引きながら帰ってきた。 母がからかうように言った。 「今回はあの人の話をしないのね?ずいぶん機嫌がいいじゃない。まさか、何かあったんじゃないでしょうね?」 姉は笑いながら、母に金のネックレスを一つ手渡した。 「これ、お母さんの未来の婿さんが買ってくれたの」 その場にいた私は、その金のネックレスを見た瞬間、心臓がドクンと跳ねた。 スマホを開くと、安英とのチャット履歴は3日前で途切れたままだった。 彼が私に尋ねていた。 【どの金のネックレスが一番きれいだと思う?】 私はじっくり見比べて、その中の一つを選んだ。 それが、母の手にあるものとまったく同じだ。 姉が私に目を向け、突然尋ねてきた。 「和紗、大学入試の結果はもう出たんでしょう?どこの大学に行くか、もう決めたの?毎日スマホばかりいじってないでよ! お母さん、和紗はまだしっかりしてないんだから、お父さんと二人でちゃんと考えてあげないと……」 母が手を振って何か言おうとしたとき、私は突然口を挟んだ。 「もう決めたの。S市に行きたい」 姉は一瞬ぽかんとした。 そして反射的に口を開いた。 「S市?そこって家から200キロ以上も離れてるんだけど」
共テ当日に殺される?死に戻って復讐モード
転生
スカッと
逆転
ちょうどいい
大学入学共通テスト一日目。僕は同じ会場のクラスメイトたちと学校で落ち合い、一緒に出発することになっていた。しかし、恋人の二宮朝香(にのみや あさか)は、なかなか現れない幼馴染の藤村駿(ふじむら しゅん)を待つために、出発時間を遅らせていた。 しかし、試験開始まで残り1時間もなかった。このままでは確実に間に合わない。 前世で学級委員だった僕・神崎嶺(かんざき れい)は、みんなに先に試験会場へ向かうよう忠告した。 だが、返ってきたのは感謝ではなく、みんなからの冷たい視線と不満の声だった。 「駿と朝香の仲が良いから嫉妬してるんだろ?駿が受験に間に合ってほしくないって思ってるでしょ!」 土砂降りの中、僕が必死に頼み込んで、ようやくみんなは重い腰を上げた。試験開始5分前、僕たちはなんとか会場へ滑り込んだ。 しかし、試験後に駿に会場の窓から突き落とされ、僕は無残な姿で死んだ。 それなのに朝香は、クラスメイト全員を引き連れて警察に嘘の証言をした。 「駿が共通テストを受けられなくなったのは嶺のせいです!嶺はその罪悪感で飛び降りたのですよ!」 駿はその一件で世間の同情を買い、ネットで人気者になった。 母は僕の潔白を訴え続けたけれど、真相を知らない世間は彼女にまで容赦なく誹謗中傷を浴びせた。心をすり減らした母はある日運転中に事故を起こし、そのまま崖下へ転落して亡くなった。 命を落として初めて、すべてが駿の仕組んだ罠だったのだと知った。 ふと目を覚ますと、朝香がクラスメイトと駿を待っていたあの日に時を遡っていた。 今度こそ、僕は手を差し伸べない。あの恩知らずたちが自滅するというなら、その結末を見届けるだけだ。
愛をやさしく語り合った
スカッと
甘々
幼なじみ
水無月
安田翔真(やすだ しょうま)が可愛い転校生に告白したあの日、みんなは私が取り乱して泣き叫んで止めに入るだろうと思っていた。 しかし、告白が終わるまで、私は現れなかった。 翔真は知らなかった。そのとき私が、彼のルームメイトのパーカーを着て、そのルームメイトのベッドの上に座りながら、無邪気な顔でこんなことを言っていたなんて。 「ねえ、ベッド濡らしちゃったんだけど……今夜、どうする?」 島良太(しま りょうた)は視線をそらし、喉仏を動かして、私にタオルを投げた。 「先に髪、乾かしてきな。シーツは俺が替えるから、それが済んだら寝ろ」
もう隣の席には戻らない
切ない恋
幼なじみ
ひいき/自己中
遅日
遠矢真斗(とうや まさと)の机の中は、今日もまたラブレターでいっぱいだった。 彼はいつものように舌打ちしながら、私、陸原梓(くがはら あずさ)に千円札を四枚押し付け、さらに机の中から溢れんばかりの手紙の山をあごでしゃくって見せた。 「これ、処分しといてくれ」 私はただ無言で頷いた。 放課後、私は手紙の束をカバンに詰め込み、誰にも見られないよう校舎裏のゴミ集積所へと向かった。 手紙をすべて捨てようとしたとき、一番下にあった一通の封筒に目が留まる。その差出人は、真斗が密かに想いを寄せている転入生――柚木楓(ゆのき かえで)だった。
喋れない私を見捨てた幼馴染はもう要らない
妻を取り戻す修羅場
幼なじみ
ひいき/自己中
ピリ辛巾着
幼馴染の想い人は、私が「声を出せないこと」をよく嘲笑っていた。 ある日、彼女は私のコップに激苦の薬草をすり潰して入れ、お腹を抱えて笑い転げた。 「声が出せない人って、どんなに苦くても悲鳴ひとつ上げられないんでしょ?私、それをどうしても見てみたくて」 彼女のエスカレートする嫌がらせは止まらず、今度は私に「舌を出せ」と強要した。 声を出せない人間の舌が、普通の人とどう違うのか。 それを皆の前で見世物にしようとしたのだ。 私は縋るように、傍らにいる幼馴染の森永樹(もりなが いつき)を見た。 「俺がいる限り、誰にもお前を苛めさせない」 かつて彼がくれた、その約束だけを信じて。 しかし、彼は冷ややかな目で私を一瞥しただけだった。 「ちょっと見せるくらい、別にいいだろ。大した事じゃないんだから」 その瞬間、私の中で何かが完全に冷え切った。 込み上げる涙をぐっと飲み込み、カバンの中にある『転校届』をそっと隠す。 ――ええ、そうね。私があなたの前から消えることも。 決して大した事じゃないから、わざわざ教える必要もないわよね。
零れ落ちた8年
切ない恋
ひいき/自己中
クズ男
にゃんさま
誕生日の今日、私・瀧本望(たきもと のぞみ)は願い事をしていた。すると突然、越谷渉(こしや わたる)のスマホが鳴った。 「章太くんから急ぎの用事だって。すぐ戻る」 私が頷くのを待つこともなく、渉はそのまま店を出ていった。 私は長いこと待ち続けたが、渉は戻ってこなかった。電話をかけても出ない。 レストランが閉店する時間になって、ようやく私は店を出た。 冷たい風が吹きすさぶ中、私は彼のルームメイトの林章太(はやし しょうた)に電話をかけた。 ところが、章太は部屋でゲームをしているという。 一瞬、章太は言葉に詰まった。そして、慌てて言い直した。 「いや、今は病院にいる」 胸の奥がずしりと重くなった。私はすぐに渉のスマホの位置情報を開いた。 表示された場所は――カラオケだった。 私は位置情報を頼りにその店まで向かい、該当する個室を探し当てると、そっとドアを開けた。 そこで目にしたのは、渉が俯いて、北野明奈(きたの あきな)の額にキスをしている姿だった。
冷めたミルクティーで、彼を捨てる
切ない恋
ひいき/自己中
しっかり者
匿名
「別れよう」 自分の声とは思えないほど、それは酷く冷たく、凪いでいた。 月のモノが重く、下腹部を締め付けるような痛みに耐えていた私のため、恋人の結城陸斗(ゆうき りくと)は「温かいものでも買ってくるよ」と部屋を出た。……はずだった。 しかし、彼が持ち帰ってきたミルクティーは、すっかり冷めきっていたのだ。 理由を問う私、須永紬希(すなが つむぎ)に対し、陸斗は悪びれもせずに言い放つ。 「途中で美紅に会ってさ。あいつも温かいのが飲みたいって言うから譲ったんだ。お前はぬるくても平気だろ?」 白川美紅(しらかわ みく)――彼が昔から甘やかしている女友達。 窓の外で十一月の木枯らしが吹く中、私ははっきりと悟ってしまった。 この3年間、陸斗が私と美紅を天秤にかけ、私を優先してくれたことなどただの一度もなかったのだと。 その事実を突きつけられた瞬間、私の中で張り詰めていた糸が、ぷつんと切れた。 「別れよう」 再びそう告げると、陸斗は呆れたように鼻で笑った。 「はいはい、またそれか。今度はどのSNSをブロックする気だよ?どうせすぐ機嫌を直すくせに」 彼は、私がただの痴話喧嘩で拗ねているだけだと思っている。 でも、彼は知らない。 別れを切り出すより前に、私が海の向こうにある最高学府への特別留学枠を勝ち取っていることを。 ええ、ブロックなんて面倒なことはもうしない。 今度こそ、私はあなたから完全に離れるのだから。
流れ星よ、この願いを君に届けて
切ない恋
愛人
ひいき/自己中
流れ星
卒業旅行の夜、クラス委員長の高橋健(たかはし たけし)がくじ引きで部屋割りを決めようと提案した。 「誰と相部屋になるかは運命次第だぞ!男女関係なく、同じ番号を引いたやつ同士でペアな。ドキドキして最高じゃん!」 大学の四年間、そのうちの三年を私は瀬崎涼真(せざき りょうま)と付き合ってきた。そのことを、周りの誰も知らない。 私は段ボール箱に手を突っ込み、ボールをひとつ掴み取ってペアの発表を待った。 涼真の番が来て、彼が引いたのは「7番」だった。 健が、ひときわ大きな声を上げた。 「7号室のもうひとりは――白石莉桜(しらいしりお)!」 涼真がかつて猛アタックしていた女の子が、みるみるうちに頬を赤く染めた。 その場が一斉に沸き立った。運命の赤い糸だと、みんなが口々にはやし立てる。 声を上げなかったのは、私だけだった。 ゲームが始まる前、健が涼真にこっそり耳打ちしていたのを聞いていたのも、私だけだ。 「目印のついてるボールを探せ。お前と莉桜用に、わざと仕込んでおいたからな」 涼真は柔らかく笑い、莉桜のそばへ歩み寄って彼女のスーツケースを持ち上げた。 それを見て、私もふっと笑った。 三年付き合ってきても、彼の口から「俺たち付き合ってる」というひと言すら出てこなかった。 だから今度は、私のほうから身を引くことにした。
恋の勝負、夜明けまで待てない
切ない恋
親友
クズ男
7秒
私、渡辺杏梨(わたなべ あんり)と桐谷旭(きりや あさひ)は、いつもバチバチに張り合っているカップルとして有名だった。 幼い頃から、私たちは何事においても競い合ってきた。 成績トップの座、奨学金、そしてディベート大会の優勝トロフィー。 恋愛でさえも、まるで勝敗を決めるゲームのようだった。 私はずっと、それが私たちなりの不器用な愛し方なのだと思っていた。 旭が私を打ち負かす「最も簡単な方法」を見つけるまでは。 彼はただ、自分のそばに別の女の子がいるのを私に見せつけるだけでよかった。 それだけで私は激しく動揺し、自ら歩み寄ってこう言ってしまうのだ。 「旭、私の負けだわ」 以前は、この手が面白いように効いた。 旭が友達との飲み会で、私の親友の肩を抱き寄せるまでは。 小林梓(こばやし あずさ)は旭のジャケットを羽織り、彼のすぐ隣に寄り添い、甘えるように愛らしく笑っていた。 周りの誰かが囃し立てるように聞いた。 「旭さん、この子誰っすか」 旭は気怠げに視線を上げ、私を見た。 その口調は面倒くさそうで、ひどく意地が悪かった。 「新しい彼女」 カラオケボックスは一瞬にして静まり返った。 誰もが、私がどんな反応をするのかと息を潜めて待っていた。 けれど今回、私は数秒間じっと旭を見つめただけだった。 そして、ふっと笑みをこぼす。 「お似合いね。末長くお幸せに」 愛という名のもとに行われたこの勝負を、私は長く続けすぎた。 もう、このゲームは終わりにする。 旭のことも、もういらない。
傷痕を抱いて悔やみなさい
切ない恋
ひいき/自己中
クズ男
アイスコーラ
大学の同級生グループチャットで、匿名の暴露話が流行り出した。ルールは、ある人物の特徴を描写し、それが誰かをみんなで当てるというものだ。 誰かがこんなメッセージを送信した。【大学1年の新入生歓迎フェスで司会を務めた、クール系イケメン】 話題は瞬時に私の彼氏、九条北斗(くじょう ほくと)に絞られた。 続いて、その匿名の人物は爆弾発言を連発する。 【左の肩甲骨に火傷の跡がある。ある女子を熱湯から庇ってできたものだ】 【酔うと甘えん坊になって、ベタベタくっついてはハグをせがんでくる】 皆は騒然となり、次々と北斗をメンションして【本当なの?】と問い詰めた。 北斗は呆れたようなスタンプを送信した。【誰だよ、暇なやつ。でたらめ言うな】 しかし匿名の人物はさらに図に乗って送信した。【彼の背中には隠しタトゥーがある。アルファベットのTだ】 これにはグループチャットも蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。なぜなら、クラスのマドンナの名前が橘朋美(たちばな ともみ)だからだ。 タイミングを見計らったように、朋美が本アカウントでメッセージを送ってきた。【もうみんな、からかわないで。北斗が怒っちゃうから】 北斗は怒るどころか、私に個人メッセージを送ってきた。【同級生同士の冗談だから、本気にしないで】 私は呆然と北斗のアイコンを見つめていた。 彼の背中にある「T」は、そもそも彼が私を引っ張って彫りに行ったものだった。 「T」は私の名前である高梨紬希(たかなし つむぎ)のイニシャルで、私を一生守るために体に刻むのだと彼は言っていた。 今になってようやく分かった。あれは彼が他の女のために体に刻んだ証だったのだ。 私たちの秘密の交際は2年になり、彼はいつも「大学を卒業したら公表しよう」と言っていた。 だけど今回は、もう無理に求めるのはやめようと決めた。
卒業写真から消された、私の七年の恋
切ない恋
ひいき/自己中
クズ男
匿名
卒業記念パーティーで、経済経営学部の4年間を振り返る記念映像が上映された。 編集を担当したのは、柏木智也(かしわぎ ともや)だった。 最後の一枚が映し出された瞬間、会場から一斉に冷やかす声が上がった。 写真には、海辺に並ぶ智也と宮本晴香(みやもと はるか)が写っていた。二人の背後に夕日が沈み、まるで選び抜かれたカップル写真のようだった。 私は元の写真を知っていた。 あの日、海へ行ったのは3人だった。 私はもともと、智也の左隣に立っていた。 だが今は、写真から切り取られていた。 司会者は笑いながら、どうしてこの写真だけを残したのかと尋ねた。 智也はマイクを握ると、私――高瀬栞(たかせ しおり)にちらりと目を向けた。 「栞は目をつぶってたから、写りが悪かったんだ」 客席から笑い声が上がり、誰かが、さすが柏木家の御曹司、彼女の写りまでちゃんと気にするんだな、とからかった。 私も一緒に笑った。 その場にいた誰も知らなかった。 ほんの30分前、私は東都のプロジェクト責任者に返事を送ったばかりだった。 卒業後、私は汐見市へは行かないことにした。 智也が7年間思い描いてきた未来に、今度は私はいなかった。
さよならは言わずに、海を渡った
切ない恋
ひいき/自己中
クズ男
紗々
あなたはいつ、大好きな人を諦める決心をするのだろう。 私の場合は、留学の申請がようやく通った日だった。申請が通ったことを知った瞬間に、彼氏にメッセージを送って報告しようとした。 けれどLINEを開いて、下までスクロールしてやっと彼とのトーク画面を見つけた。 最後にやり取りしたのは1ヶ月前の何か小さなことで、大喧嘩をした日だ。 最後は彼から音声メッセージが届いた。声には、どこか投げやりな響きが混じっていた。 「芽依、茉優だってわざとじゃないだろ。そんなに根に持つなよ」 「先に茉優の実験データを印刷しに行ってくる。戻ったら、ケーキ買ってやるから」 その後から彼は、後輩の桃井茉優のコンテスト指導や実験に付き合うのに忙しくなった。 私も単位のことやプロジェクト、IELTSの対策とやることが山積みで、彼に返信をする余裕すらなかった。 あの時の自分が何を根に持っていたのか、それすら思い出せなくなった。 ただ、1ヶ月経ってこのやり取りを見返して、ふと気づいたことがある―― 本当の別れに「さよなら」の一言なんて要らないものなんだと。
南風の吹く夕暮れに、さよなら
切ない恋
ひいき/自己中
愛人
観月明
大学入試が終わったあとのクラス会で、私たちは試験前に自分宛てに書いた手紙を、順番に読み上げていた。 高瀬怜司(たかせ れいじ)の番になると、彼は言った。 「僕が書いたのは、ラブレターなんだ」 思わず顔が熱くなり、私はうつむいた。入試が終わったら付き合おうと、彼は私に言ってくれたから。 みんなが一斉にはやし立てた。誰もが憧れる彼の心を射止めたのは、いったい誰なのか。 「絶対、紗絵でしょ。クラス一の美人だし、前からお似合いだと思ってたんだよね」 「私もそう思う!紗絵、怜司が理想のタイプだって言ってたし!」 「怜司、早く読んでよ。みんなで祝ってあげるからさ」 白石紗絵(しらいし さえ)は両手で顔を覆っていた。耳の付け根が、ほんのり赤くなった。 怜司は照れたように笑うだけで、否定しなかった。 せっかちな学級委員長がつかつかと近づき、怜司の手から手紙をさらった。 「学年トップの高瀬怜司が誰にラブレターを書いたのか、見せてもらおうか」 便箋を広げた委員長は、最初の1行に目を走らせるなり叫んだ。 「告白の相手は、紗絵だ!」 カラオケの個室が、静まり返った。直後、耳が痛くなるほどの歓声が上がる。 「クラス一の美人と学年トップって、最高の組み合わせじゃん!」 「おめでとう!」 誰かが隣の紗絵をせかした。 「ほら、紗絵も何か言いなよ!」 紗絵は顔を覆ったまま、耳までほんのり赤くして、小さな声で言った。 「怜司、私にも何も言ってくれなかったから……」 秘密がようやく明かされたかのように、はにかんだ笑みを浮かべる。 みんな笑っていた。みんな、2人をはやし立てていた。 私だけが、ただ呆然とそれを見ていた。頭の先から足元まで、冷えきっていた。
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